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新コーナー「Day-1-pics」開始。どうなることやら。

「無防備都市宣言」の嘘(2)

2004-03-11 20:16:08 | JPN/日本のニュースなどにからむ
まず、第2項前文に注目したい。「軍隊が接触している地帯の付近又はその中にある居住地」とある。わかりづらいが、「(敵対する2つの軍隊が)接触している地帯」という意味であり、戦闘の最前線を指している。こうした状況が発生するのは「日本に敵対する勢力が上陸し、陸上部隊による防衛戦となっている」という前提のもとであると考えられるのだが、こうした説明はいっさいなされていない。さて、この状況において「敵対する紛争当事国による占領のために解放されているもの(居住地)」となっている。また言い回しが厄介なのだが、この部分をよりわかりやすく具体的に言い表した条約がある。それは1907年のハーグ陸戦条約、第二五条[防守されない都市の攻撃]である。これによると

防守セサル都市、村落、住宅又ハ建物ハ、如何ナル手段ニ依ルモ、 之ヲ攻撃又ハ砲撃スルコトヲ得ス。

となっている。「防守セサル都市」つまり、防衛を放棄された都市、それが「敵対する紛争当事国による占領のために解放されているもの(居住地)」である。なぜこのような条項が生まれたのであろうか?
少なくとも、「無防備地域宣言をめざす大阪市民の会」の主張する『「戦争は違法であり犯罪である」という考え方』によるものなどではない。なぜならばジュネーブ条約それ自体が「戦争をより紳士的に、クリーンに」行うために生み出された「戦時国際法」であり、「戦争のルール」すなわち「これを守れば戦争行為自体を罪に問わない。だから守ってね」という条約だからだ。戦争は違法で犯罪ならば、戦争を起こした時点で罪なのだからそれ以上の規定は必要ないではないかw (殺人罪があるのに、その中に「殺人する際には、ナイフで心臓をえぐってはならない」などの規定が存在しないのと同じ事である) ここ以降の説明は彼らの勝手な想像、と言って差し支えない。

さて、さきほどの疑問、この条項の存在意義とは第一に「徹底抗戦」を避けるため、である。民間居住地の絶対的な安全が保証されなければ、いっさいの敵を近づけぬよう死守する判断が下される可能性もある。恐怖や不信感のみでなく、戦後に「国民を見捨てた」などの批判を受ける可能性までが、そうした判断を呼び起こす。そして、こうした不利な防戦が続けば無駄な死傷者を招いたり、民間への被害が発生する。それを回避するための「無防備地域」条項であり、要するに不利な側の当事国が「撤退」の判断を軍民が共に「安全」(より強度の危険に晒されないという意味での「安全」)であるうちに下せるよう、撤退に関わるルールの一環として「この地域は防衛できないので、完全に明け渡す」と宣言することを可能としたのである。

そしてまた、この条項における「無防備地域宣言」がなされた場合、通告された「無防備地域の境界」までは敵軍(つまり撤退する側の軍)の脅威に晒されることなく進攻できる(条約に基づく宣言なので、警戒の必要がない)ため、速やかな占領が実現する。「速やかな占領」が実現することは、自国軍撤退以後に予想される当該地域の混乱や暴動を最小限に抑えるために必要不可欠な項目の一つである。撤退する側の政府は、占領による治安維持の提供が迅速かつ十分に行われることが明らかであり、なおかつその占領が条約に基づいた人道的なものであるという前提があってはじめて「民間人居住区を敵国占領下に委ねる」つまり「敵対する紛争当事国による占領のために解放」する判断が下せるのである。
(以下(3)に続く)

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