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映画「仁義なき戦い」

2017-06-07 12:46:24 | 映画・テレビ
前回、お約束した通り、今回も千葉真一特集です。

今回、ご紹介するのは、ジャジャン!「仁義なき戦い 広島死闘編」です!!

え?
それって、もしかしてヤクザ映画じゃない???

そうです。

実は千葉真一さんはこの映画でヤクザを演じているんです。
私にしては、このセレクト、すごく意外でしょう?(笑)
そもそも、私が「仁義なき戦い」に興味を持ったのは菅原文太さんがお亡くなりになった時でした。
その菅原文太さんの追悼番組で、私はこの映画が代表作であることと、バラエティー番組で聞き覚えのある、♪チャララ~チャラ~という曲がこの映画の挿入曲だと初めて知ったのです。
だけど、私はそれまでヤクザの映画は観たことなかったんです。
だって、流血とか、暴力シーンは大の苦手ですから。

だけど、この映画を調べてみたら、日本映画の5本の指に入るほどの名作だと知り、驚いてしまったのです。

キネマ旬報が2009年(平成21年)に実施した<日本映画史上ベストテン>「オールタイム・ベスト映画遺産200 (日本映画編)」では、本作を歴代第5位に選出した。
Wikipediaより

ということは、あの黒澤明や溝口健二や小津安次郎の映画と肩を並べるほどの名作ってことじゃないですか!?

それに、私は脚本を書いた笠原 和夫という名前にも目が止まってしまったのです。
この人はあの三島由紀夫がギリシャ悲劇に通じると言って大絶賛した鶴田浩二主演の任侠映画『博奕打ち 総長賭博』の脚本を書いているのです。


それで、にわかに興味がわいてきた訳ですが、でも、これって、男性が観るもので、女性には向かないんじゃないかと思い、躊躇してしまったんです。
ところが、意外や意外!いろいろ調べるうちに、女性でも「仁義なき戦い」が大好きだという女性を発見しちゃったのです。
それは、誰あろう推理作家の柚月裕子さんです。



ねえ、すっごい美人さんでしょう?
しゃべり方もとっても女性らしくて、この容姿端麗な女性が暴力全開のヤクザ映画が好きだなんて、とても考えられないでしょう?
しかも、驚くなかれ、この人は「仁義なき戦い」や「県警対組織暴力」が大好きなあまり、ヤクザ同士が血で血を洗う抗争事件を扱った「孤狼の血」という小説を書き、直木賞の候補作にまでなったというのですから、筋金入りのバリバリであることは間違いありません。

しかし、このお写真、何で、こんなに胸を強調してるんだろ?

もしかして、胸に自信ありってこと???

まあ、それはともかく、この人が大好きなら、私も観ない訳にはいかないですよね?(笑)
そこで、観念して、いえいえ、意を決して、観ることに決めたのでした。

だけど、「仁義なき戦い 広島死闘編」はシリーズ第二作に当たるので、世界観を理解しやすいように第一作目から観てみることにしました。
ちなみに、深作欣二監督の「仁義なき戦い」シリーズは五作、「新・仁義なき戦い」シリーズは三作作られているそうです。
それで、第一作目から観た訳ですが、主演の菅原文太さんの眼光鋭い、睨み付けるような演技力に圧倒されっぱなしで、しかも暴力や流血や殺人の連続で、ただただ圧倒されんばかりでした。
でも、菅原文太さん演じる広能昌三は、ヤクザではあるけれど、どこかしら男性的な魅力にあふれてるように感じました。
推理作家の柚月裕子さんが、この映画が好きなのは、もしかしたら、この辺にあるのかも知れません。
しかし、これだけ、菅原文太さんが男性的で魅力あるヤクザを演じていたら、千葉真一ヤクザはたいしたことないかも?

ところが、さにあらず!

この人、本当に正義の味方「新・七色仮面」で、子供達に大人気だった千葉真一さんなの?と思いたくなるほど、その姿はまるで野獣そのものだったのです!

う~ん、これなら、菅原文太さんに負けてないかも?

しかも、セリフがすごい!

「センズリかいて、仁義で首くくっとれぃいうんか!」


        
「なにが博奕打ちなら!
  村岡が持っちょるホテルは何を売っちょるの、
  淫売じゃないの。
  いうなりゃ、あれらはおめこの汁で飯食うとるんで。
  のう、おやじさん、神農(てきや)じゃろうと
  博奕打ちじゃろうとよ、わしらうまいもん喰ってよ、
  マブいスケ抱くために生まれてきとるんじゃないの」


こんなセリフ、正義の味方が言うかな?
私がどれだけ、びっくり仰天しちゃったの分かるでしょ。(苦笑)


でも、この迫真の演技力が功を奏して、国内外から、千葉真一さん演じる大友勝利は大絶賛されているとか。

それで、私は千葉真一さんの偉大さをあらためて知った訳ですが、暫くしたら、この「仁義なき戦い」シリーズのキャストに、かつて子供番組の正義の味方を演じていた人が多数いることに気づいちゃったのです。

千葉真一「新・七色仮面」
梅宮辰夫「遊星王子」
山城新吾「白馬童子」
松方弘樹「伊賀の影丸」


これは、一体、何を意味するのでしょうか?

私の考えではおそらくヒーロー達が悪を暴力でねじ伏せるところに理由があるような気がしてならないのですが。

つまり、正義のためなら、暴力をふるっていいのか?
果して、暴力は正義なのか?
なぜ、悪の暴力はいけなくて、正義の味方の暴力だけは許されるのか?

おそらく、正義の味方を演じた人は、暴力をふるうことに、矛盾を感じていたのでないでしょうか?

矛盾といえば、私にはほかにもあるんです。
その1
正義の味方は普段は、正体を隠して、努めて知られないようにしています。
本当に正義の味方だったら、なぜ、普段から正々堂々と出来ないのか?
こそこそ、正体を隠してるなんて、まるで泥棒か、悪人みたい。

その2
正義の味方の周りには綺麗な女性が必ずいるのに、なぜ好きにならないのか?
例えば、「まぼろし探偵」にはまだ十代だった吉永小百合さんが出てらっしゃるのですが、あんなに可憐で可愛いのに、まぼろし探偵は吉永小百合さんに決して好きな素振り一つ見せないのです。
それは、吉永小百合さんに対して、失礼でしょう?
まぼろし探偵は女性の美をまったく理解しない堅物なの?
でも、これはまぼろし探偵に限らず、殆どの正義の味方がそうなんです。
ただ一つの例外、ウルトラセブンを除いては。

その3
正義の味方はスポーツみたいにしっかりしたルールのもとに戦っているのではなく、しかも最後には必ず勝つようになっている。
スポーツだったら、スポーツマン精神とルールに則り、対等に勝負するわけですから、一方が必ず勝つということはありえないですよね?

その4
正義の味方は日夜、世のため人のために活動し、ギャンブルや女など、人間的な欲望に興味を示すことがないですが、果して、それだけのために生きられるものなのか?

私は正義の味方が好きだと言いながら、パチンコに興じたり、次々に女性に手を出す大人の男性を知っていますが、そういう自分になぜ矛盾を感じないのか不思議で仕方ないです。
しかも、その男性は弱いものいじめをしたり、すぐに仮想敵を作ってはめちゃくちゃなことをブログに書いたりしているのです。
それはまるで自分だけが正しくて、自分の意に沿わないものはみな間違っていると言ってるようでもあります。
だから、弱いものいじめや、すぐに仮想敵を作ったり、必ず勝つ正義の味方しか応援しないなんて、弱虫の卑怯者としか思えないです。

そういう訳で、正義の味方はフェアな存在ではないということを、演じた人はよく分かっているのかも知れません。

そこで、正義の味方とはまったく別の役をしたくなり、対等に相手と勝負する究極の闘争本能を具現化したヤクザを演じたくなったのではないか?

必ず勝つ勝負しかしない正義の味方より、勝つか負けるか分からないヤクザの方がよっぽどフェアだし、闘争本能のみを追究している点において、格好のキャラクターと言えるのではないか。

だから、七色仮面も遊星王子も白馬童子も伊賀の影丸もみなヤクザを演じたのではないでしょうか?

ところで、この「仁義なき戦い」シリーズには子供番組のヒーローを演じた人のほかに、今なお人気の高いアンヌ隊員こと、ひし美ゆり子さんも、特撮ヒロイン中唯一、仁義なき戦いシリーズの「新・仁義なき戦い 組長の首」にご出演されているのです。
アンヌ隊員といえば、「ウルトラセブン」で一世を風靡しましたが、現在でも、若い人を次々に虜にしているそうで、永遠の特撮ヒロインと言っていいのではないでしょうか?
そのアンヌ隊員がヤクザに好かれるホステスの役を演じ、見事な肢体を惜しげもなくご披露されているのです。


「ウルトラセブン」でのアンヌ隊員はいつも諸星ダンと行動を共にする清純な役で、そこはかとない大人の女性の色気も漂わせていたのは、皆の知るところです。

だけど、アンヌ隊員を演じるのは当初、別の女優さんで、その人が映画に出ることになったので、急きょ、ひし美ゆり子さんに役が回ってきたと聞いたことあります。

そして、ひし美ゆり子さんがセクシー女優に転身した訳も、彼女の意志ではなく、ある運命に動かされたのが直接のきっかけらしいです。

「新・仁義なき戦い 組長の首」にご出演された理由はよく分かりませんが、これらのことを考えた時、ただの偶然とか、簡単な気持ちでご出演されたのではないような気がしてならないのです。
強運とでも言えばいいのか?

つまり、アンヌ隊員を演じたあとのひし美ゆり子さんの足跡を見てみると、大人の女性の神秘へと、セブンでアンヌ隊員を熱中させた少年たちを導いているように思えるのです。

少年はいつまでも少年のままではいられない。
やがて、大人へと成長し、愛する女性を得て、初めて一人前の男になれるのだと、それとなく教えているのではないのか?

そして、自分だけが正しくて、必ず勝つ正義の味方よりも、勝つか、負けるか分からないヤクザの姿を通して、闘争本能は男性にとって欠くことの出来ない大切なものだと、かつての正義の味方は「仁義なき戦い」シリーズで教えているのではないでしょうか?

ね?
だから、いつまでも過去に縛られてないで、前に進む勇気を持ちましょうよ、とね。

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2 コメント

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千葉真一の映画では (さすらい日乗)
2017-06-18 11:50:33
『沖縄やくざ戦争』が最高でしたね。

大友勝利をさらに発展させたような凄い主人公で、本土の暴力団が上陸してきて、「戦争」を恐れる連中に対して、
「戦争、いいじゃないの、俺たちはアメリカと戦ったんじゃないの」と言う。
実に爽快でしたね。
さすらい日乗さんへ (奈々)
2017-06-18 12:36:43
千葉真一さんは、この記事で紹介したセリフ、びっくりしました。
今までの正義感あふれるイメージをかなぐり捨てて、よくこんなセリフを喋ったなと思います。
でも、それだけ、この映画と監督の深作さんに賭けていたのでしょうね。
だけど、「沖縄戦争」って、大友勝利より、すごいのですか?

それじゃ、観るのどうしましょう?(苦笑)
でも、機会があれば観てみようと思います。