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奈々の これが私の生きる道!

映画や読書のお話、日々のあれこれを気ままに綴っています

マンガ「ガラスの脳」手塚治虫

2010-08-26 07:25:21 | 読書
ある少女が、病院のベッドで、何年も眠り続けていた。

少女の母親は、電車の転落事故で亡くなり、その直後に、少女は産まれたのだ。
ところが、脈拍は正常なものの、産まれた時から、昏睡状態が続き、泣き声一つ立てないのだ。

そうして、少女は、生まれた時から、ずっと眠り続けているのだが、同じ病院に入院した少年が、「まるで、眠り姫みたいだね。だったら、ぼくのキスで目が覚めないかしら?ほら、眠り姫は王子様のキスで目を覚ますでしょう?」
そう言って、毎日、少女にキスをするようになった。
やがて、少年は退院するのだが、日曜日毎に病院を訪れ、何年もキスし続けた。

いつしか、七年の月日が流れた。

それは、少女が十七歳になった嵐の夜に起きた。
叩きつけるような強い雨と、すさまじい雷鳴と稲光の中で、少年が少女にキスをした時、少女の目が、突然開いたのだ。

やった!
ついに、意識を取り戻したぞ!


それから、少女は失われた時間を取り戻すかのように、言葉や文字など、あらゆる知識を、猛スピードで吸収しだした。
そして、目を覚まして、三日目、少女の実際の年齢に、心が追いつき、少女は少年に、初めて恥ずかしい素振りを見せた。
思春期にたどり着いたのだ。

二人は公園の池で会話をする。

「十七年も眠ってたなんて、自分でもあきれちゃうわ。
人生って、何かしら?
何のために、人間って、生まれて、死ぬのでしょうね?
私ね、・・・五日しか生きられないの。
五日だけ時間をもらったの。
もっとほしかったけど、それで充分だって言われたの。」

驚いた少年は、思わず聞いた。

「誰に、誰に言われたんだい?」


「ううん、わからない。自分で思いこんでいるだけかも知れないし・・・

ねぇ、愛するって難しい?

私、誰かを愛したいの」

その時、少女は、入院先の院長の名前を告げるのだが、院長は少女が眠り続けていた時、からだをもてあそんでいた事が分かり、少年は、かっとなり、院長をなぐってしまう。

そして、少女を連れて、自宅のある東京に向かうのだ。

ああ、今日で、五日目だ。

二人は不安な五日目の朝を少年の自宅で迎えた。

その日、二人は結婚の契りを交わし、ベッドでかたく抱き合い、愛の炎を燃やした。

「由美、ふるえているのかい?」


「ええ、最高にしあわせで恐いの・・・
雄一さん、眠らないでね。
私も眠らないから・・・
愛してる、愛してる。
あなただけを、ずっと愛してる・・・」


そうやって何度も二人は抱きしめあって、熱いキスをするのだ。

しかし、時計の針が、夜中の十二時を指し、鐘の音が鳴り響く中、少女は再び永遠の眠りに・・・


少女は五日間だけで幸せになれたのか?

幸せとは、何なのか?


雄一は、由美と過ごした五日間の思い出だけを胸に、その後の生涯を生きたのであった。
















 

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