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ブラジルとブラジルのマーケティングあれこれ

ブラジルで日々おこることをマーケッターの目で解説するページ。広告業界の情報も。筆者はブラジル在住29年目。

ポンテプロンタ広告ブログ

ブラジル、サンパウロで活動する広告会社のブログです。展示会、イベント、マテリアル製作、調査・マーケティング・コンサルティングの分野で、主に日本の企業、政府関係機関の業務のお手伝いをしています。日本語とポルトガル語のバイリンガルでアテンドいたします。 www.pontepronta.com.br

落ち込みひどい個人消費

2016-12-28 00:01:13 | マーケット

 ナタール(クリスマス)が過ぎて、ショッピングセンターの売上げのデータがAlshop(ショッピングセンターに出店している店で組織する業界団体)から発表された。今年の売上げはインフレを引いてマイナス9.1%とのことである。去年は下げ幅は8.8%。予想されていたことであるが、ここまでひどいとは。なかなかインパクトのある数字である。Folha de S.Paulo紙は一面トップで扱った。

 
 落ち込みがもっとも大きかったのが家具(-14.55%)、通信機器(-12.21%)、電化製品 (-10.33)で、微増で健闘したのが香水・化粧品で0.75%増えている。化粧品などは単価の安い商品が多くて、それが売上げを支えているはずである。
 
 極端な消費力の減退を表している。消費者が金を使わない、あるいは使えないということである。まず第3四半期の失業率が11,8%に達している、職を失っていないにしても残業が減っている、金融機関への借金が膨らんでいる、借りている金の利子が大きい、銀行が貸し渋りをしているという状態だ。とくに借金に対する利子は極端になっていて、それでなくても高い公定歩合(年間13.65%)どころではなく、クレジットカードの場合、払い残したものに年間482.1%の利子がかかる。銀行の自動貸出は330.7%。カード会社や銀行も無茶苦茶して莫大な利益を得ていると思うけど、実際は貸し倒れがひどくて、それをヘッジするためにこれだけの利子を設定しているといわれる。
 
 銀行利子については政府系のもの(ブラジル銀行、カイシャ・エコノミコ)に利子を下げるようにプレッシャーがかかっているといわれるが、今日の報道によるとブラジル銀行の総裁は過去にやったような現実に合わない利下げはしない、利益を守ると明言しているので、この先しばらくは続くだろう。
 
 その結果おこるのは景気の停滞、減退の長期化である。GNPは昨年はマイナス3.8%だった。そして中銀のFocusの予想では今年が3.5%のマイナスで、来年がよくてプラス0.5%。雇用もも来年は回復するという期待があったが、ブラデスコ銀行とサンタンダール銀行のエコノミストの予想では、来年はまだ失業率が上昇し、それぞれ12.9%、12.7%と予想している。これは2014年の2倍近い水準である。
 
 要するにジルマが罷免されてテーメルが就任したときに皆んなが期待した回復は見られず、来年もまだ駄目だということである。さらに2014年の選挙のときの不正会計が指摘されて、今日などはジルマとテーメルの選挙用マテリアルの印刷を受注して莫大な売上げがあった印刷会社に連邦警察の捜査が入っている。売上げに見合うだけの量の印刷をするキャパがあったのかを検証するのが目的である。ジルマとテーメルは大統領、副大統領で連名(シャッパ)で立候補しているのだから、連帯責任が問われる可能性もあり、政局の流動化の可能性も残っている。そうなると現在、通そうとしている年金法、財政支出制限法、労働法の修正などリセッション脱出と財政赤字の削減のために必要とされている法案の承認・施行が先延ばしになるリスクが出てくる。PTや世論調査でいい数字がでているマリーナ元上院議員が求めるように、大統領選挙の前倒して実施されたりしたら、それこそ景気対策は後回しになってしまう。
 
 でもどうせ悪いのが続くなら5年先を見て、この際、選挙をやって国会をリセットしておくのもいいかなと思ったりもする。


ノートブックの販売数が5年で10倍に

2011-07-27 12:48:25 | マーケット

 2010年のパソコン販売でノートブックがデスクトップを追い抜いた。ノートブックが715万台で、デスクトップは685万台。なんとノートブックは2006年比で10倍の増加だ。一方デスクトップは2006年の785万台から減少している。2011年はさらに30%増えるという予想もある。
 
 新興中産階級の登場でパソコンユーザーが急増したが、それをノートブックがすべて吸収したということだ。たしかにノートブックは安くなった。1300レアル(約6万円)で買えるものがいっぱいあり、事実そのクラスのものが販売の70%を占めているそうだ。
 
 元記事はここで読める。
 
 たしかに売れるだろう。新聞でノートブックの広告を見ない日はないし、ブラジルらしく大手大衆家電チェーンがガンガン売りまくっている。因みに携帯電話もこうした小売り大手が販売の主力となっている。
 
 かつてはブラジル生産がなくてすべて輸入品、日本語や英語のキーボードで苦労しながらポルトガル語を打ち込んだものだ。1998年に僕がはじめて買った東芝のものは、2300ドルした。ウィンドウズは95だった。デスクトップを持ち込んでやったプレゼンでコンペに勝って、仲間といっしょに買いに行ったのがいい思い出。


パウリスタ再開発

2011-07-27 12:14:16 | マーケット

 パウリスタ通りのMASP(サンパウロ美術館)の近くに)1904年に建てられたけど、93年から閉鎖されている病院の敷地・建物があるのだけど、それが最高級ホテル(五つ星、六つ星以上って新聞には書かれている)とレストラン街、そしてカルチャーセンター(これってなんだろうね? 劇場、映画館か?)に生まれ変わると報道された。敷地面積は2万7000平方米、建物はコロニアル風のクラシックなものだ。もちろん歴史的な建物なので、取壊しは不可。ずっとブラジル銀行職員の年金基金が所有していて、それをAllardというグループに売却したそうだ。値段は1億1700万レアル(約58億円)。
 
 シックなパレスタイプのいいホテルに生まれ変わるような気がする。。2014年に一部完成だそうだ。
 
 それにしても市内の一等地にこれだけの物件が眠っているということ自体が驚きだ。実際プロジェクトそのものは何年も前から考えられていて、金が回りだしたこの時期に、それらを引き出しからだしてきて着手しているという感じだろう。

 写真を見たい人はここ

 
 同じくパウリスタに面した旧マタラーゾ財閥の旧邸は2万1000メートル平方米のショッピングモールがつくられることになっており、建設がはじまっている。この敷地も長い間、利用されずにきた。
 
 サンパウロ市内の開発は主に南部のヴィラ・オリンピアやブルックリンが中心で、そこにたくさんのインテリジェンスビルが建てられて街の様子を一変させたが、またパウリスタ周辺も活気づいてきた。


3Dフィルムが映画館の売上を押し上げる

2010-09-20 23:46:50 | マーケット
ブラジルの映画館の観客数と売上が伸びている。『Exame誌』のサイトによると、1月から8月までの観客数は前年比13.3%増の8770万人、売上は24%増の8億2230万レアル)。観客数より売上の伸びが大きいのは3Dのフィルムが増えてきて、それが人気を呼んでいるため。3Dのフィルムのチケットは40%ぐらい高い。

今のヒットは、ブラジル国産の「nosso lar」

やはり強い「新興中産階級」(Cクラス)

2010-09-20 07:16:18 | マーケット


2014年のワールドカップ開催で心配されていて、FIFAが心配していて、また開催地選定の条件としていることにスタジアムの質についての他に、交通インフラとホテルなどの宿泊施設の完備がある。そのためそれでなくても欠陥の多い空港の整備が急務で、いろいろと計画が発表されている(期間中空軍の空港を開放するというアイデアもあるという)。

観光省はワールカップの期間に外国人が60万人、ブラジル人が300万人が旅行すると推計している。

しかし、それ以前にブラジルの旅客の増加によってパンクするのではないかと心配されはじめた。パンクしなくてもこれ以上サービスが悪くなったり、延着、キャンセルが増えれば嫌になる。ブラジルの在住の方は現状をご存知ですよね。この間もTAMが大量のキャンセルと延着をだして国が止まった。また管制官のストのときはパニックになっている。

旅客数の増加を支えているのは「新興中産階級」と呼ばれているCクラスで、Data Popularという低所得者向けのマーケティングのコンサルタント会社によれば、この先12ヶ月で1070万人の人が初めて飛行機で旅行して市場に流れこんでくるという。前にも書いたけど、各航空会社はこのクラスの市場を広げようと大衆電化チェーンとタイアップして航空券を販売したり、長期の分割払いの条件をだしてさかんにアプローチしている。面白いのは低所得者といえどもサービスへの要求度は高く、到着した空港から目的の町までのバスもパッケージにしたものが求められているという。低所得者の旅行の目的はレジャーもあるけど、生まれ故郷への里帰り需要も多いので(サンパウロなどの大都市の底辺労働をになうのは東北伯出身者が多い)、主要都市からのバスの手配もしてくれたら助かる。

もっと長期の予想ではこの先15年で旅客数は3倍に増加するというものもある(ANAC=連邦民間航空庁)。この広いブラジル、飛行機の需要も無尽蔵といえる。

総論めいたものになってしまうけど、ブラジルのこの流れは変わらないと思う。所得格差が少なくなり(高所得者層はますますパワーをつけると思うが)、かつてのような中産階級が贅沢に暮らす社会ではなくなってくるのではないか。

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