ブラジルとブラジルのマーケティングあれこれ

ブラジルで日々おこることをマーケッターの目で解説するページ。広告業界の情報も。筆者はブラジル在住29年目。

ポンテプロンタ広告ブログ

ブラジル、サンパウロで活動する広告会社のブログです。展示会、イベント、マテリアル製作、調査・マーケティング・コンサルティングの分野で、主に日本の企業、政府関係機関の業務のお手伝いをしています。日本語とポルトガル語のバイリンガルでアテンドいたします。 www.pontepronta.com.br

ユニリーバがネイマールと契約

2011-11-28 22:50:17 | マーケティング
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またネイマール関連。決して僕はサンチスタというわけではありませんが。

ネイマールにまた新しいスポンサーがついた。今日発表されたのは、ユニリーバ。ワールドカップまでの契約で、キャンペーンキャラクターを務めるというもの。先週、スペイン系の銀行のサンタンデールと契約を結んだばかりで、これで8社目。

「ネイマールのスポンサーマーケティングが絶好調」参照

今回のニュース(『Exame』誌サイトの速報)では、「交渉の関係筋の情報」ということで、具体的な金額がでた。それによると500万レアルから600万レアルとのこと。日本円で約2億円から2億4000万。先週のサンタンデールとの契約は500万レアルとのこと。

記事の推計ではネイマールの月収は、サントスクラブの給料、スポンサー料、移籍権を合わせて300万レアル(1億2000万円)に達する。このうち大きいのはスポンサー料だろう。ヨーロッパに行っていれば、これだけの額の契約はとれなかったわけで、いい判断をしたと思う。なんせ2014年のワールドカップで、サッカーマーケティングはそれまで最高の盛り上がりを見せるのは間違いないから。

いいタイミングに恵まれたものだ。

ネイマールのスポンサーマーケティングが絶好調

2011-11-25 16:32:01 | マーケティング
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昨日、サントスのネイマールとスペイン系の銀行のサンダンデールのスポンサー契約が発表された。サンタンデールはリベルタドーレスのメインスポンサーとなっている銀行で、サッカーを媒体にした南米でのブランド展開に力を入れている。大会名も「コパ・サンタンデール・リベルタドーレス」となっている。余談だがこのリベルタドーレス、以前はトヨタがメインスポンサーで、その名も「コパ・トヨタ・リベルタドーレス」だった。

今年のリベルタドーレス、サントスが優勝し、ネイマールは同大会の最優秀選手に選ばれており、スポンサーのサンタンデールが触手を伸ばすのも自然な流れ。

このサンタンデールとの契約でネイマールのスポンサーは7社となった。その他の6社は次の通り。

Nike、Lupo(下着メーカー)、Ambev(ガラナ・アンタルチカ)、Red Bull(エネルギー飲料)、Baruel(制汗剤のTenys P?)、そしてパナソニック。サンタンデールとの契約では、スポンサー料の90%をネイマールがとる、残りの10%をクラブに入れるというものだ。まだ車、通信会社などが残っているので、さらに増える可能性もある。

これが旬というものだろう。これより先にサントスとの契約をW杯の2104年まで延長しているが、これがスポンサー契約でいい結果を生んだと思う。記者会見その他で「サントス愛している」「家族といっしょにいたい」といった発言を繰り返し、非常にいいイメージを作り上げてきているのだ。いい選手が皆んなヨーロッパのクラブにとられてフラストレーションがたまっている、ブラジル人の耳には心地よく聞こえる。もちろん本音も含まれているのだろうけど、そこに高度なコミュニケーション戦略がとられていることを僕は感じる。

レアルマドリなどヨーロパのチームからの誘いを断ってブラジルに残ったのも、今の時点でどこで自分に一番高い値段がつくかを見極めた選択だったのだろう。2014年になってもまだ彼は22歳だ。それからヨーロッパに行っても十分稼げる。

19歳の若者にこれだけの企業が自社のブランドイメージを重ねようとしている。12月には日本で開かれるクラブ・ワールドカップにリベルタドーレス優勝チームのサントスは出場する。日本でまたネイマールのブランド価値が生まれるかもしれない。その前哨戦として、今週サンパウロ総領事館主宰で行われた壮行のレセプションパーティーにも出ていて、総領事夫人とのツーショットが新聞に大きくでている。幸先のいいスタートだ。

スーパーでのビニール袋使用禁止令で裁判沙汰

2011-11-24 20:46:07 | 政治
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 市内のスーパー、小売店でのビニール袋の使用を禁止するというサンパウロ市条例が5月の議会を通過して、来年1月から施行されることになっていたのが、それを差し止めようとするメーカー団体の訴えがサンパウロ地方裁判所で認められている。市としては連邦裁判所へ差し止め撤回を訴えでているが、まだ結果はでていない。もちろん目的は資源の有効利用と環境問題。でもメーカーにとっては死活問題であることは間違いない。企業家だけでなく、そこで働く人も同じだ。今、ポンデアスーカなどで行われている、袋持参のお客にポイントをだすような仕組みで解決できないものだろうか。

 この「ビニール袋禁止令」は現地市長のカサビの肝いりの法律だが、この人、人気取りのために極端なことをするのが好きだ。サンパウロ市景観を美化するといって屋外広告の禁止(Lei Cidade Limpa)、未成年へのアルコール販売に対して店側に極端な罰金を課すアンチアルコール令(Lei Antealcool)などを簡単にだしてしまう。

 Cidade Limpaは屋外広告業界を一夜にしてぶっ壊したものだが、それ依頼とくにサンパウロの街がきれいになったとは思われない。また未成年へのアルコール販売の禁止はけっこうだが、バー、レストランがそんなにきちんとコントールできるわけでもなく、罰金に店をびびらせるだけだ。

 もっともとくに彼だけでなくブラジルは各種の法律を安易に作り、とにかく罰金で抑えつけようとする傾向にある。こういうのをポルトガル語のスラングでカネッターダ(Canetada)という。ボールペンを走らせるだけで決めてしまうという意味。

 今承認の最終段階にきている新しい森林保護法などの目立つものは、比較的長期間かけてオープンに検討されるが、細かいものは市民や国民のコンセンサスを作って立法・実施したり、公共教育によって目的を達成していこうというプロセスを経ずに決められてしまう。以前、コレラ患者がサンパウロででたときは、市内の日本食レストランで寿司、刺身の提供が禁止されたことがある。またチリ産のサーモンで中毒がでたときは、冷凍させれば虫が死ぬといって、生鮮のサーモンの輸入が禁止された。

 だからこういうところでビジネスをする場合、ある意味、企業は「政治的」にならざるを得ない。業界団体を作って自分たちの代表を議会に送り込んだり、普段からロビー活動を丁寧に行い、情報収集や働きけかけを行うことが求められるわけだが、それを日本企業が上手にできるだろうか。


もうブラジルでiPhoneが製造中だって?

2011-11-24 16:47:08 | 投資

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 iPhoneとiPadの生産がFOXCONNによってブラジルではじまるという話は、今年のはじめくらいからでていたが、iPhone専門に扱っているブログ「Blog do iPhone」が現場に行って実際に作っているのを確認して記事にしている。それによると工場の所在地はサンパウロ市近郊のジュンジアイ市で、今工業都市として発展中の地域だ。
 
 Blog do iPhone
 
 このブログ、けっこう細かくオタクっぽくブラジルのiPhoneについて追いかけているので、要チェックだ。
 
 工場はサンパウロとカンピーナス市を結ぶアニャンゲーラ街道沿いの大きく「FOXCONN」でているものではなく、他の場所にあるもので「FOXCONN」の名前はでていないとのこと。住所はANATEL(ブラジル国家電気通信局)の製造許可書にでていたところと同じで、同ブログは現地を訪れて工場の従業員にインタビュー、実際にiPhoneを作っているか確認し、iPadもこの工場で作られることになるといっている。
 
 でも実際、いつ「ブラジル製」のiPhone、iPadが市場に出るんだろうね。今、電話会社との契約によってR$ 1000からR$ 2.000ぐらいするのが下がればユーザーとしてはうれしい。またうれしいと思う潜在的な将来のユーザーも膨大だと思うので、少し値段が下がるだけ一気に市場を広げてしまう可能性大。競合はGARAXYだけど、値段が同じになれば、使いやすさとデザインからいってブラジル人的にはiPhoneに流れるだろう。
 
 実はFOXCONNはこのジュンジアイの工場だけでなく、大掛かりな進出(総投資金額120億ドル)を計画している。それですごいというか大胆なのは、ブラジルの投資開発銀行のBNDESを出資者として巻き込もうとしていること。当初の投資金額は40億ドルとのことだが、このうちの30%を同銀行に求めている。融資ではなく出資である
 他の出資者で名前がでているのは、EBXグループのエイキ・バチスタである。2011年のフォーブスのランキングで世界8位(もちろんブラジル一)で300億ドルの資産をもつといわれる実業家で、5億ドルの投資について約束していると報道されている。彼はだいたい資源や運輸の分野に投資してきた男で、テクノロジーの分野での投資についてはあまり聞かないが、ただ確実に儲かりそうな話であるので、マイノリティであっても金を入れておこうとしていのだろう。
 
 しかし、このプロジェクトですごいのは、FOXCONN自身は一銭もお金を入れずに工場を作ろうとしていることで、テクノロジーだけを提供をして、それで株主になるモデルを描いている。同社のテクノロジーはたしかにすごい金額で評価されるのだろうけど、それにしても相当強気なビジネスモデルだと思うのは僕だけだろうか。
 
 もう一つのこのモデルの特徴はBNDESを通じてブラジル政府を人質に取ろうとしていることだと思う。政府とFOXCONNの交渉の焦点の一つは税制恩典などの特典の獲得といわれており、BNDESが出資者になれば、ブラジル政府もその事業がうまくいくように動かざるを得ないのではないか。
 
 一方、ブラジル政府は自国のマーケット、つまり消費者の購買意欲がどれだけの価値を企業にもたらすか知っているから、以前のように企業誘致に血眼にならず、冷静にタフに駒を進めていくだろう。
 
 それにしてもiPhone、iPadという一企業(アップル)が生み出した製品がこれほどのネゴになり、一国の政治、産業に影響を与えようとしている事実に驚く。


膨張するサンパウロ、高級住宅街も車の洪水

2011-11-23 12:49:11 | その他

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 アルファヴィーレ(Alphaville)という高級住宅街サンパウロから20キロ少し離れたところにある。1970年代から開発がはじまったところで、もうそのころから都市化が激しかったサンパウロの中心街を逃れて金持ちが移り住んだところである。余談だがアルファヴィーレのデベロッパーはタカオカという日系のグループで戦前日系社会の医療に貢献した高岡専太郎医師の子孫である。

   いわゆる周りを塀で囲み人の出入りをコントロールするコンドミニアムだが、ブラジルでは珍しい前庭付きでオープンな豪邸が充分な間隔をおいて並んでいる。そこに住んでいるお金持ちの知り合いなんていないけど、何回かコマーシャルフィルムの撮影で僕も中に入ったことがある。それらの家は優秀な建築家が設計、材料費を惜しまず建てられたものだから内装も素晴らしく、撮影にはもってこいなのである。

  コンドミニアムの中にはスポーツクラブもあり、いわば金持ちが自分たちのための街を作ってしまったようなものである。ここからヘリコプターで渋滞を避けてサンパウロにビジネスで通うというのが一つのスタイルとよくいわれる(そんなことにしているのが何人いるか知らなけが)。

   しかし、このモルドミア(特権)が怪しくなってきている。コンドミニアムの周りに住民相手のレストランや店などの建物、そして高層のアパートが増えすぎ、またオフィスや工場などもできたので、渋滞がひどい状態になっているのである。先日、仕事で用があり久しぶりに出かけたが、コンドミニアムにつながるメインストリートがまったく車の列で動かない。この渋滞はひょっとするとサンパウロ市内よりひどいのではないか。住んでいる人というより、そこで働く人たちの車でごった返している。これには驚いた。サンパウロとの間を結ぶカステーロ・ブランコ街道も朝夕は混むので、実際、仕事場まで何時間かからるのだろう。

   これでは何のためにサンパウロから逃げ出したのかわからない。聞いた話によるとアパートの家賃なんかもそれを反映してサンパウロ市内より安くなっているそうだ。    アルファ・ヴィレに限らず、2002年からの好景気による建築ラッシュで新しい建物がどんどんできているが、インフラ、つまり道路が追いついていない。大規模な開発は道路を作るための立ち退きも伴うから、需要予測というのは行われているんだろうけど、それに追いつかないということだと思う。

   例えば南部のビラ・オリンピア。ここにパートナーの広告会社があったので、10年ぐらい前によく通った。そころはまだいわゆるガラス張りのインテリジェンスビルができ始めたころで、その会社も新築のビルのワンフロワーを買ってオフィスにしたのだが、それから周囲にニュキニョキとビルが増え始め、すっかり様相が変わってしまった。ショッピングモールまでできた。当然働く人間は増えて、朝夕は大変なことになっている。

   ブラジルは道路に限らずインフラが経済成長にとって最大のネックになっていて(教育もそうだがこれは別のところで)、今のリズムでの成長を実現するなら、港湾、エネルギーなどの問題を解決しなければいけならず、政府はそれに必死となっている。そのさじ加減を間違えれば、アルファヴィレのような問題が国単位でおこってしまう。