今回のバス・地下鉄の値上げ反対の抗議集会、最初、パウリスタを通行止めにして渋滞を招いているな、ぐらいの意識しかなかったけど、あのコーロル弾劾時の抗議デモに匹敵すると知って正直、驚いている。
バス代が3.00から3.20に値上がりしたことに対する抗議としてはなんともラジカル過ぎるという印象だが、もし主催者というか仕切っているリーダーがいるとすれば(Movimento de Passe Livreというのが新聞にでているが詳細はよく知らない)、バス賃の値上げという誰にとってもわかりやすいテーマをシンボリックに使って、それが非常な効果を発揮したというところだろう。SNSが威力を発揮したともいわれるけど、興味のないことに人は集まらない。
その興味というのは、やはり昨年から今年にかけての景気の後退による家計の圧迫であろう。昨年のインフレ5.84%(IPCA=消費者物価指数、IBGE)というのは公式の数字で、「体感インフレは15%ぐらいあるような気がする。ブラジルはインフレ率とシンジケートとの話し合いで給料の調整があるけど、それはhハイパーインフレ時代と違って一年に一回だ。じわじわと可処分所得は減るし、ローンで買った家や車、家電の借金はまだ残っている。もう借りれない状況で、やはり面白くない、というのが今のブラジル人の気持ちの公約数だといえる。
失業率は上がっていないけど、ある会社で聞いたところによると、「辞める人が減った」とのことである。あれほど楽観的なだった再就職、転職を恐れ始めているだ。
でも、と言いたいのは、あのハイパーインフレの時代、失われた20年の時代に比べたら、確実に生活、所得は増えている(かつて賃金格差による贅沢を謳歌していた中の上は別にして)。人は一度手に入れたものは手放したくないということか。これで来年の大統領選挙の行方が不透明になってきた。