大学の遠隔授業(EAD)が急増している。2014年から15年で3.93%増えている。ネットで好きな時間に授業を受けることができて、授業料は月に250レアルくらいからある。授業内容のクォリティが上がったということも理由だが、働きながら勉強する学生の多いブラジルでは、通学時間の負担も大きい。また授業料の負担もこの不景気でさらに重くなっているということが影響しているだろう。
遠隔授業は完全にバーチャルで行われるかというとそうではなく、MEC(教育省)の規定では一年に決まったスクリーングを受けることが義務となっている。そこで大学側ではPoloと呼ばれる、拠点を全国におくことによって、ブラジル中から学生を集めている。
おもしろいのはUNIP(Universidade Paulista)という私立大学は、日本の浜松市にもPOLOを開設して、日本在住の日系ブラジル人の学生の便宜をはかっていることである。日本のブラジル人の間では日本定住志向が高まり、子どもたちも日本の学校に通うことが多くなっているが、まだまだ日本語に馴染めない子どもたちも存在する。実際にそういう子どもたちのためのブラジル人学校も各地に存在する。そういう子どもたちに遠隔授業とPoloは大学進学の機会を与えることになるのである。
日本のいくつかの大学にあるポルトガル語学科の学生にもいいかもしれない。自分の興味のある分野の学科に登録して授業を受ければ、通常の授業でのポルトガル語学習のバタッシュアップになるこだろう。
正直、最初は多少の偏見をもって見ていたが、遠隔事業というのはこういうことも含めて、これからさまざまな形で広がっていくと思うようになった。
日本のある外食チェーンのコンサルティングのために、先月のはじめにイタリアののミラノに行ってきた。外食のグループなので、やはり食事には気を使ってもらい、イタリアンのほか日本食のお店も何軒かアレンジしていただいた。長年、ブラジルにいるといっても、ほとんど日本食で生きているので、連日イタリアンというのはさすがに辛いです。
さて、そういう中で食べたイタリアの日本食だけど、いわゆるフュージョンというのはこういうもんだというのがわかり、勉強になった。日本食で使われる食材をイタリア式(他の国ではそこの)に解釈してクリエイティブに作り込むということだが、例えば大変素晴らしい蟹肉があれば、それを使う時、サラダ様にして、イタリアだとオリーブ油をきかして、醤油をアクセントにする、そういう方向性をフュージョンだと僕は理解してしまった。日本の素材をイタリア式に処理するか、反対にイラリアの素材を日本的にこなすということかな。要するに素直ではないのだ。でもこの視点を軸に世界のいろんなフュージョンを食べて歩くのは面白いと思ったけど、スポンサーが必要だね。
たしかに素直ではないのだが、美味しいのである。聞いてみるとほとんどのそういう日本食レストランの経営者は中国人だそうだ。理由はよくわからないのだが、中華料理がイタリア人にあまりうけず、本来なら中華レストランをやっているはずの中国人が、こぞって日本食の分野に進出したという。駐在員を除けばミラノに日本人移住者、定住者というのは数えるほどしかいなくて、ブラジルのように日系コミュニティをオリジンとする日本食のマーケットなんて存在しようがないので、数の多い中国人が活躍するのだと思う。
中国人がやるなら味のセンスも安定しているし、日本職の伝統のスタイルへのこだわりなどもなく、またミラノ、イタリアの美食の文化に鍛えられた人たちだから、クリエイティブで美味いと思う創作日本食が出てくるのも当然かもしれない。ブラジルでの「フュージョン」と比べると、かなり差がついているのは間違いないと感じた。
ミラノを見た後で、我がブラジルの日本食市場を振り返ると、私たちの国の日本食レストランは味のレベルを度外視すると、まったく正統派であることがわかった。フュージョンもどきをやっている店はあるけど、少数派であり、多くは日本の料理にできるだけ近づこうとして、そして多くは失敗はしているが、目指すものは日本のそれである。努力して少しでも日本と同じものを作れば、それで評価されるという世界である。一方、ミラノはそのこだわりがなく、自由にやっていると僕には見えたのである。もちろん日本人駐在員が3000人くらいいる街だから、その人たち対象の日本食屋はあり、それらは「正統」を実現しているけど、イタリア人向けにやっているところはそういう傾向であると思われる。
イタリアは自分たちの食文化に絶対的な自信をもっていると現地で聞いた。たしかにそうだと思われ、素晴らしい料理を上から下まで一様に楽しんでいると、何気なく入った大衆レストランのパスタや前菜を食べながら理解できた。それだからこそ他国の料理(もっとも遠いと思われる日本食さえ)を飲み込んで、アレンジしてしまうのだろう。自国の料理に対する絶対的な自信とアレンジする技術、これがブラジルとの最も大きな違いだと思われ、それが日本食にも表れているというのが、この旅での僕の感想。
10月はじめにサンパウロで開かれた、日本食向けの食材やシーフードの展示会の「Asian & Sea Food Show」でA5の和牛を試食する機会に恵まれた。炙り寿司、蒸し野菜の上にのせたものに加え、薄切りを生で食べさせてもらった。やっぱりさっと口の中で溶ける、素晴らしい肉だった。
展示会での試食イベントの目的は当然、こちらでの販路開拓だが、どう考えても末端価格はキロ数百ドルになる。さてこの肉をどう売るか。牛肉大国らしいブラジルの分厚いステーキはどう考えても無理だろう。あの脂を最後まで飽きずにブラジリアンサイズのステーキで食べるには相当頑強な胃袋と分厚い財布が必要だ。
現実的な線でこちらの日本食マーケットを見渡すと、あの肉を使いまわすことができるのは、高級寿司店だと思われる。薄切りでスキヤキとかシャブシャブというのは、それらをきちんと用意してお客に食べさせるところがほとんどないので厳しい。「ナンチャッテ・スキヤキ」に使うにはもったいない。寿司店はピンからキリまであり、サンパウロでも高級店はそこそこまともに握るようになってきているし、最近ではスペインの畜養マグロの大トロなんていうものも出回っている。だから炙ったり、あるいはそのままで寿司ネタにして出せば、少々高くなるが、高級店のお客なら手が出せる値段で収まるだろう。また、薄いのを二、三枚シャブシャブにしてポン酢で食べさせるのも一品料理としてはいけると思う。
やっぱり日本の肉は日本のやり方で食べるのが一番だろう。ブラジルの肉はブラジルのやり方で。
収監者の28%は麻薬関係
2005年に14%だったのが、倍になっている。盗みは31%から25%に落ちて、麻薬より少なくなっている。麻薬関係の刑法を厳しくした結果だとFolhaは説明。とにかく麻薬が犯罪組織の最大の収入源になって資金を支える。武器や構成員の人数は日本のヤクザどころではない。今、北部の刑務所で暴動、囚人間の殺人が頻発しているのは、麻薬取引の拠点として隣国に接するアマゾン地域の重要性が増していることの現れである。
11月に工業の売上げが4.5%増加
全国工業連盟が発表。労働時間も0.7%増加。しかし、前年同月比では売上げがマイナス9.9%、労働時間がマイナス5.5%で、とても回復傾向にあるとはいえない、と同連盟はコメント。工業製品は在庫の調整があるので、その結果だろう。1月から11月の期間で工業関係の雇用は7.8%も減らしている。
2013年からの3年間で税収が1億7200万レアル減少
この金額はパラグアイのGNPの2倍だそうだ。金が足らなくなって財政赤字が増えるのも当たり前。その中、政権維持のために無駄な免税処置やインセンティブを設けたり、自分たちの懐に掠め取った結果が今の状態。
ILOがブラジルの失業者の増加を予測
今年の失業者数は昨年の1240万人から1360万に増えると予測。失業率は11.5%から12.4%へ。なかなか厳しい数字だ。資源価格が回復しても、国内の消費市場が改善しないと安定成長は望めない。
ドル:R$ 3.222
Bovespa:-0.47%
エンブラエルの2016年の販売機数は225機
108機が航空会社向けで、117機がプライベートジェット機。前年比1.8%増加。一応、市場に示した目標は達成とのこと。
今年のIT投資は増加の見込み
コンサルタント会社のIT Data社によると3.3%の売上げ増で、761億レアルに達する見込み。45%の企業が今年中に予算を増やすことを予定しており、33%が現状維持、22%が削減するとのこと。過去の数字を見る限り(単位は10億レアル)、リセッションで横ばい、微増で、他の分野ほど企業は投資を減らしていないことがわかる。画像フォルダ
テーメル政権の元Secretaria de Governo(政府事務局)を捜査
ジェッデル元長官が、Caixa Economica(連邦貯蓄銀行)の副頭取時代に食肉メーカーなど向けの融資の便宜をはかった疑いで。クーニャ元下院議長との携帯での会話記録から発覚。公的融資の許可は昔から汚職の温床になっている。
政府がブロードバンドへの無制限アクセスの制限を断念
NetFixなどの普及でデータ量が膨大になったために、電話会社などのロビー活動で、無制限アクセスの契約の見直しを検討していたが、断念する模様。直接の理由になったかはわからないが、アクセス制限に反対するハッカーグループのAnonymousが、通信技術革新大臣のカサビの個人情報をグループのフェイスブックでさらすという事件がおきている。