フィールド・ワーク(文芸学部)
火曜2限 教室:A-102
担当教員:藤巻和宏・井田太郎・髙木浩明
■授業概要・方法等
フィールド・ワークとは、「現地調査」のことである。日本文学研究において必要となる現地調査というと、文学の舞台・背景となった土地を歩き、文字だけではわからない地勢や環境を実見するということが思い浮かぶかもしれない。それも重要であるが、それ以上に、「資料」を調査することの重要性を身に付けてもらいたい。ネットで検索すればたいていの情報に接することができ、図書館には膨大な図書が収蔵されている。しかし、それらの“アクセスしやすいモノ”の何百倍、何千倍もの資料が存在し、研究にも必要となる。資料は、博物館や美術館、文書館や寺社、個人コレクター等々、様々な場所に保管されており、また、聞き取りによってしか得られない情報もある。これらにアクセスするには、しかるべき手段を講じなければならない。
この授業では、そのようなアクセスの難しい資料・情報を調査する方法や、それによって得られる知見の重要性について、3人の教員が4回ずつ順番に講義する。4回の講義を通して身に付けた方法を実践するために各教員が課題を出すので、5・10・15週目の「自習」の時間を利用し、いずれか一つの課題に取り組んでもらうことになる。
■授業形態
対面授業(授業回の半数以上が対面授業/それ以外は、メディア授業)
■学習・教育目標及び到達目標
日本文学研究に、どのような資料・情報が必要となるのか。そしてそれらにどのようにアクセスすればよいのか。その基本的な方法を身に付け、実践することによって、研究の基礎的な環境を構築することを目指す。
■成績評価方法および基準
ミニッツペーパー 60%
課題 40%
■試験・課題に対するフィードバック方法
ミニッツペーパーに書かれたことに言及する
■教科書
なし
■授業計画の内容及び時間外学修の内容・時間
第1回 ガイダンス―「資料」を扱うということ―【藤巻】
「資料」を扱って研究することの意味と、その具体的な方法について概説する。
第2回 整理された資料と未整理の資料【藤巻】
図書館のように、資料がジャンル別に分けられ、記号・番号が付いている状態が当たり前だと思ってはいけない。資料を「整理する」ことの意味を考える。
第3回 寺院資料の種類と調査法【藤巻】
寺院には文献資料のほか、絵画、仏像、仏具…等々、様々な「資料」があるが、これをどう扱えばよいのかを考える。
第4回 貴重書データベースの利用法【藤巻】
大学図書館や各種資料館等に所蔵される貴重書のデータベース化が進んでいるが、この利用法について説明する。
第5回 貴重書データベースを利用した課題【自習】
貴重書データベースを利用し、課題に取り組む。
第6回 データベース(本文)を使用した下調べ【井田】
国会図書館のデジタルコレクション(https://dl.ndl.go.jp/)、次世代デジタルライブラリー(https://lab.ndl.go.jp/dl/)を用いた下調べのやり方、その可能性について説明する。
第7回 データベース(画像)を使用した下調べ【井田】
文化庁のe国宝(https://emuseum.nich.go.jp/)や国文学研究資料館の日本古典籍総合目録データベース(https://base1.nijl.ac.jp/~tkoten/)、あるいは人文学オープン共同研究センターの「みを」(http://codh.rois.ac.jp/miwo/)など、画像データベースを用いた下調べのやり方、補助アプリ、その可能性について説明する。
第8回 特定主題をデータベースで調べ、構想する1【井田】
特定の主題を国歌大観のオンライン版などのデータベースを使って、アウトプットを考える。
第9回 特定主題をデータベースで調べ、構想する2【井田】
特定の主題をデータベースを使って、アウトプットを考える。
第10回 実地調査を各自行う【自習】
構想した研究を実地調査して、課題を仕上げる。
第11回 特殊文庫を巡る―東日本編―【髙木】
内閣文庫、東洋文庫、大東急記念文庫など、古典籍を中心とした特殊資料を専門に収蔵している文庫を取り上げ、その成り立ちや性格について紹介します。
第12回 特殊文庫を巡る―西日本編―【髙木】
天理大学附属天理図書館や龍門文庫など、古典籍を中心とした特殊資料を専門に収蔵している文庫を取り上げ、その成り立ちや性格について紹介します。
第13回 和本(古典籍)を取り巻く人々【髙木】
東京古典会編のDVD「和本」を活用して、和本(古典籍)に携わる人や場について紹介します。
第14回 近畿大学中央図書館を探検しよう【髙木】
近畿大学中央図書館所蔵の和本(古典籍)について紹介します。
第15回 博物館・美術館に行ってみよう【自習】
身近にあるけれど、普段はなかなか行く機会のないのが博物館・美術館です。特別展が開催されている博物館・美術館に行って、本物が放つオーラを感じ取ってきましょう。
専門基礎研究(文芸学部)
火曜3限 教室:A-302
前期の基礎ゼミで、大学における学習の前提となる基礎的な手法を身に付けたと思う。専門基礎研究では、それをさらに発展させ、日本語・日本文学を専門的に学ぶための知識と手法を自分のものとするため、特定のテーマを題材として演習を展開してゆく。
まずは各自の興味と関心を確認したうえで、こちらでいくつかのテーマを用意する。例えば「文学と映像との関わり」「古典を題材とした二次創作」「国語教育の政治性」等々、言語・文学コースの学生の関心と合致するであろうテーマを複数提示したい。受講生は、そのなから選んだテーマを掘り下げ、より具体的な問題に絞り、関連資料を調べ、まとめ、発表し、そして議論する。議論には全員が積極的に参加すること。その成果は、最終的にレポートとしてまとめ、提出してもらうことになる。
対面授業(全授業回)
日本語・日本文学を専門的に学ぶ際に必要となる基礎的な知識と手法を身に付ける。
授業への取り組み(発言、発表) 60%
レポート 40%
授業中に適宜解説する。
なし
授業中にそのつど紹介する。
基礎ゼミ
第1回 ガイダンス
第2回 題材選定のためのディスカッション
第3回 題材選定のためのディスカッション
第4回 図書館データベース講習
第5回 発表とディスカッション
第6回 発表とディスカッション
第7回 発表とディスカッション
第8回 発表とディスカッション
第9回 発表とディスカッション
第10回 発表とディスカッション
第11回 発表とディスカッション
第12回 発表とディスカッション
第13回 レポート作成の経過報告
第14回 レポート作成の経過報告
第15回 総括
言語・文学演習2B(文芸学部)
水曜3限 教室:日本文学専攻共同研究室
■授業概要・方法等
前期の成果に基づき、テーマの再検討、資料の収集・補充、中間発表とディスカッションをおこない、卒業論文を完成させる。規定の字数は20000字以上であり、この字数に達していないものは受理しない。提出後には、卒業論文発表会を通し、文章力・構成力・独自性・学術的な信憑性等を評価する。
■授業形態
対面授業(全授業回)
■学習・教育目標及び到達目標
卒業論文を完成させる。
■成績評価方法および基準
授業への取り組み(発言、発表) 100%
■試験・課題に対するフィードバック方法
授業中に適宜解説する。
■教科書
なし
■参考文献
授業中にそのつど紹介する。
■関連科目
卒業論文・卒業制作
■授業計画の内容及び時間外学修の内容・時間
第1回 卒業論文計画書の確認とディスカッション、中途原稿(8000字)提出
第2回 卒業論文計画書の確認とディスカッション
第3回 目次・概要の発表とディスカッション
第4回 目次・概要の発表とディスカッション
第5回 発表とディスカッション
第6回 発表とディスカッション
第7回 発表とディスカッション、中途原稿(12000字)提出
第8回 発表とディスカッション
第9回 発表とディスカッション
第10回 発表とディスカッション
第11回 卒業論文の提出
第12回 卒業論文の発表
第13回 卒業論文の発表
第14回 卒業論文の口頭試問
第15回 卒業論文の口頭試問
言語・文学演習1B(文芸学部)
水曜4限 教室:日本文学専攻共同研究室
■授業概要・方法等
主たるテーマは、“古典の享受”である。
前期の『伊勢物語』読解の成果を踏まえつつ、『伊勢物語』以外のテクストにも目を向け、古典とみなされた作品が後の時代にどのように享受され、解釈・再解釈されていたのかということを、影響、注釈、二次創作、絵画化…等々、種々の側面から考察する。例えば、『日本書紀』を神仏習合理論で再解釈した中世神話、『古今和歌集』の注釈に利用された種々の説話、『伊勢物語』の絵巻作成やパロディ化、『源氏物語』を題材とした近現代の小説・漫画・映画…等々、題材は多岐にわたる。これらの中から自由に題材を選び、古典享受の手法や背景について調べたことを発表し、議論する。そして、この作業を通して卒業論文に繋がるテーマを見付け、最終的にレポートとしてまとめる。
■授業形態
対面授業(全授業回)
■学習・教育目標及び到達目標
自分でテーマを設定し、調べてまとめる力を身に付ける。卒業論文を書くための基礎力を付ける。
■成績評価方法および基準
授業への取り組み(発言、発表) 60%
レポート 40%
■試験・課題に対するフィードバック方法
授業中に適宜解説する。
■教科書
なし
■参考文献
授業中にそのつど紹介する。
■関連科目
言語・文学演習ⅠA
■授業計画の内容及び時間外学修の内容・時間
第1回 前期の成果確認と後期の展望
第2回 各自のテーマ選定とアドバイス
第3回 各自のテーマ選定とアドバイス
第4回 発表とディスカッション
第5回 発表とディスカッション
第6回 発表とディスカッション
第7回 発表とディスカッション
第8回 発表とディスカッション
第9回 発表とディスカッション
第10回 発表とディスカッション
第11回 発表とディスカッション
第12回 発表とディスカッション
第13回 卒業論文計画の発表
第14回 卒業論文計画の発表、計画書(2000字)提出
第15回 総括
古典散文特論1B(総合文化研究科)
水曜5限 教室:研究室
■授業概要・方法等
本講義では寺社縁起を扱う。寺社縁起の起こりは、律令制下において諸寺が朝廷に提出した資財帳(財産目録)に付加された寺院の由来である。後にここから独立し、十世紀頃から寺社の仏神や開創者の権威を誇示し信者を獲得するため多彩に展開していった。中世には霊験譚等、種々のエピソードが加わり長文化し、また、絵巻化されるものもあった。寺社参詣が庶民層にも拡大していった近世になると、長く複雑な内容を避けるべく、それを略述・再構成した内容の略縁起が作られ、その系譜は現代の寺社のパンフレットに引き継がれている。
後期は東大寺縁起を事例として採り上げ、絵巻の『東大寺大仏縁起』を中心に、東大寺創建をめぐる言説の生成・展開の様相を探る。そして前期と後期の総括として、「縁起」の機能や研究射程についても考えてみたい。
■授業形態
対面授業(全授業回)
■学習・教育目標及び到達目標
古典文学研究の基礎的作法を身に付ける。
■成績評価方法および基準
授業への取り組み(発言、発表) 60%
レポート 40%
■試験・課題に対するフィードバック方法
授業中に適宜解説する。
■教科書
なし
■参考文献
小山正文・小島惠昭・渡邉信和「共同研究―『東大寺縁起絵詞』の研究―」(『同朋学園仏教文化研究所紀要』9、1987)
『続々日本絵巻大成 伝記・縁起篇 東大寺大仏縁起 二月堂縁起』(中央公論社、1994)
『古文書集〈1〉(真福寺善本叢刊)』(臨川書店、2001)
■関連科目
古典散文特論1A
■授業計画の内容及び時間外学修の内容・時間
第1回 前期成果の確認
第2回 発表とディスカッション
第3回 発表とディスカッション
第4回 発表とディスカッション
第5回 発表とディスカッション
第6回 発表とディスカッション
第7回 発表とディスカッション
第8回 発表とディスカッション
第9回 発表とディスカッション
第10回 発表とディスカッション
第11回 発表とディスカッション
第12回 発表とディスカッション
第13回 発表とディスカッション
第14回 発表とディスカッション
第15回 総括
中世の思想と表現(文芸学部)
木曜3限 教室:なし
■授業概要・方法等
日本の中世とは、一般的には鎌倉・室町時代を指すが、例えば平安末期も中世に含める等、時代認識の方法により若干の誤差がある。この中世という時代を扱うには、「顕密体制」と「神仏習合」という概念への理解が不可欠である。
本講義では、これらの意味と学説史をわかりやすく解説し、その理解の上に、中世という時代の特質が刻印された文芸表現の世界を探ってゆく。
■授業形態
メディア授業(全授業回)
■学習・教育目標及び到達目標
中世という時代の特質を理解し、文学を中世の社会・文化との相関関係の中で捉えることを可能とする。
■成績評価方法および基準
ミニッツペーパー 50%
レポート 50%
■試験・課題に対するフィードバック方法
授業中に適宜解説する。
■教科書
プリント
■参考文献
授業中にそのつど紹介する。
■授業計画の内容及び時間外学修の内容・時間
予習・復習内容および時間は教員が指示するものではなく、学生自身が判断するものと考える。各自、納得のゆくまで予習・復習をして授業に臨むこと。
第1回 中世という時代を考えるために―時代区分と〈中世〉認識―
第2回 中世という時代を考えるために―顕密体制と神仏習合―
第3回 御霊信仰と物の怪―「霊」「鬼」の認識―
第4回 御霊信仰と物の怪―御霊の成立と展開―
第5回 狂言綺語をめぐる言説―紫式部は地獄に堕ちた?―
第6回 寺社縁起の世界―縁起・寺社縁起とは―
第7回 寺社縁起の世界―縁起研究の範囲と展望―
第8回 中世神話と本地物語―中世日本紀と中世神話―
第9回 中世神話と本地物語―読み換えられる『日本書紀』―
第10回 中世神話と本地物語―注釈から本地物語へ―
第11回 偽書と未来記―偽書の諸相―
第12回 偽書と未来記―未来記という偽書―
第13回 キリシタン文学の世界―キリシタン文学・語学の諸相―
第14回 キリシタン文学の世界―宣教師の見た日本―
第15回 総括
アカデミック・ライティング(文芸学部)
木曜4限 教室:A-302
■授業概要・方法等
3年次から言語・文学演習(ゼミ)に所属することになるが、その前段階として、学術的な文章の書き方を身に付けるための授業である。
受講に際し、「古典文学」「近現代文学」「日本語学」の3分野から1つを選び、各分野2名の教員のいずれか一方に振り分けられる。担当者は古典文学は井田・藤巻、近現代文学は泉谷・大澤、日本語学は大田垣・深澤である。いずれの授業でも、題材として当該分野の論文を読むことが多くなるが、主目的は学術的な文章の書き方を身に付けることなので、どの分野を選んでも等しく目的を達することができる。
研究者の書く学術論文を“読む”ことで、論文というものがどのように構成され、何を目指しているのかを知ってもらう。そしてまた、読むこと自体が、論文を“書く”ための必須作業でもある。まずは担当教員の指定する論文を読んで学術論文というものの性質を知り、また、それを起点として先行研究を調べ、まとめる。そして当該テーマについての研究の可能性を見きわめ、自ら問題提起をし、それに対する答えを導き出す。そういった作業を通して、演習で学ぶための土台となる学問への取り組み方を身に付けてほしい。
なお、この授業は3年次から所属する演習に直結するものではないので、演習決定の際には、改めて自身が希望する分野を扱う教員の演習を選ぶことになる。
■授業形態
対面授業(全授業回)
■学習・教育目標及び到達目標
学術的な文章を書くための基礎的な知識や手法を身に付ける。
学術論文の探し方や読み方を身に付ける。
■成績評価方法および基準
授業への取り組み(発言、発表) 60%
レポート 40%
■試験・課題に対するフィードバック方法
授業中に適宜解説する。
■教科書
なし
■参考文献
授業中にそのつど紹介する。
■授業計画の内容及び時間外学修の内容・時間
第1回 ガイダンス
第2回 学術論文を読む
第3回 先行研究を調べる
第4回 先行研究を調べる
第5回 発表―先行研究をまとめる
第6回 発表―先行研究をまとめる
第7回 発表―先行研究をまとめる
第8回 先行研究の問題点の整理
第9回 発表―研究テーマの発見
第10回 発表―研究テーマの発見
第11回 発表―研究テーマの発見
第12回 研究テーマの整理
第13回 発表―最終報告
第14回 発表―最終報告
第15回 レポートの提出と講評