Entrance for Studies in Finance

中国農業銀行の上場(2010年7月15-16日)

 2010年7月 中国四大銀行のシンガリとして中国農業銀行が新規公開募集を行うとともに上場を果たした。資金調達額は、中国工商銀行とならび歴史的にみても過去最大級となった。またほかの3行では、自己資本の充実強化のための大型の資金調達計画を進めている。

中国農業銀行 2010年7月15日-16日上場 
 中国農業銀行の上場(上場承認2010年6月9日 上海市場の公募上下限度価格2.68元ー2.52元決定2010年6月29日 7月7日2.68元に決定)による資金調達額は新規公開として中国工商銀行とならび過去最高最大級(世界最大級のIPOという話題性)。上海と香港を含め221億ドル(1兆9300億円)の調達となれば、中国工商銀行の過去の記録219億米ドルを抜き過去最大のIPOによる資金調達となる可能性が高い。
 中国政府は2008年秋に同銀行に1300億元の資本を注入して不良債権を処理。上場に向けた準備はされていたものの、政策金融機関として位置付ける立場からの上場反対論が政府内にあるとされていた。
 中国農業銀行は中国の四大商業銀行の一つ(残りの3行、中国建設銀行、中国銀行、中国工商銀行は上場済み)。2010年7月15日に上海(上場初値2.74元)、7月16日に香港で株式を新規公開した。香港市場(2.88-3.48香港ドル)の公募価格3.2香港ドル(初値3.25香港ドル)。
 15日16日で192億香港ドル(1300億人民元)を調達(上海市場では595.9億人民元約7800億円)。
 日本でもPOWL(上場なき公募public offering without listing)という手法で公募売り出し 募集7月12日13日 主幹事 野村証券 大和証券キャピタルマーケッツ 調達見込額400億円―500億円(POWLとしても過去最大)
 7月29日に122億香港ドルの追加調達を香港で実施。
 上海と香港を含め221億ドル(1兆9300億円)の調達となれば、中国工商銀行の過去の記録219億米ドルを抜き過去最大のIPOによる資金調達となる可能性が高い。
 不良債権比率が高い(不良債権比率07年12月期23%→2009年末2.91% 2010年3月末2.46% 他の商業銀行大手は1%前後より高い 採算性低い地方政府向け貸付が総貸出の15% 収益力に不安 自己資本比率は2009年末に10.1% 政府の要請は11.5%より低い)など財務体質への不安を克服した展開。しかしなお不良債権処理、株式会社としての企業統治に課題。
 当初3元前後で300億米ドル前後の調達を想定。機関投資家の反発、不良債権比率の高さへの懸念から規模縮小。
 過去最大は中国工商銀行の219億米ドル(2006年)
 agricultural revolution Economist, July 8, 2010.

中国工商銀行 中国最大の商業銀行 2006年10月27日上場
 2010年3月25日 最大で250億元(約3350億円)の転換社債型新株予約権付社債発行を発表。急激な融資増加に対する自己資本比率引き上げ 不良債権処理能力高める
その後、2010年7月28日 上海と香港で最大450億元(約5800億元)の増資計画発表している 9月の株主総会で承認後1年以内に実施 香港で上場している子会社中国工商銀行(アジア)を非上場化する

中国銀行 中国の大手商業銀行 2006年6月上場
2010年7月2日夜 中国銀行が最大で600億元(約7800億円)の株主割当増資計画を発表した。
 上海市場で最大195億株、香港で最大83億株を発行して既存株主に割り当てる方針。2010年8月の株主総会で承認後、1年以内に実施。2009年末の自己資本比率は11.14%(2年前に比べ2ポイント強下落)
 このほか400億元のCB発行計画をたてている。

中国建設銀行 商業銀行大手 2005年10月上場
 最大750億元の増資計画をたてている。

The Top Page 映画論 開講にあたって 企業戦略例 経営学 現代の金融システム 現代の証券市場 検索サイト 高等教育論 財務管理論 証券市場論 東京案内 東京花暦 東アジア論 文献目録 My Home Page Tutorials
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「Area Studies」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
2024年
2023年
人気記事