次世代送電網 smart gridとは、 IT(情報技術)を活用して国レベルの広域で、電力使用量をリアルタイムで把握。電力の流れをきめ細かに調整して最適配分する技術のこと(供給量の調整だけではなく、需要量についても機器を停止したり再稼動して調整することも含む 需要ピーク時に家庭のエアコン温度を自動的に引き上げたりといった直接的統制 電気料金を引き上げて消費を抑制する間接的誘導も検討されている こちらはデマンドレスポンス=電力需要ピークの抑制 優先度に合わせて制御する。需要ピークの電力料金を高くするのも方法。利用者は利用時間帯をずらす対応。結果としてピークがなだらかになる。このような抑制の考え方は日本では普及が遅れていた。日本では需要のぴーくに合わせて供給力の増加を図ってきた。しかし大震災後の電力不足のなかで実質的に、この考え方が普及したのではないか。需給情報の自動通信+電力配分の自動制御)。このような技術の一例に、電力量が余っている地域から足らない地域へと調整することがある。
smart gridの技術は、風力・太陽光のように自然条件の変化で出力が変動する発電の弱点(電力品質の低下)を補う上で必要な平滑化技術である。このほか蓄電池を使って需給のバランス調整することや、変動を補完電源でならすことなどが考えられる。
この技術体系にはさまざまなものが必要である。たとえば低価格の太陽光発電、送電ロスの少ない電線、電力の出力を安置する大容量電池(大容量電池に適したナトリウム硫黄NAS電池を日本ガイシは生産 体積設置面積が少なくて済むニッケル水素電池を川崎重工業が生産 一般的には鉛かリチウム電池)、通信機能付きの電力計(スマートメーター 電力使用状況を通信で自由化 節電を促すこともできる)、専用の変圧器、ケーブル等である。
欧州ではすでにイタリアヤスウェーデンが全戸にスマートメーター設置済み。欧州連合では2020年までに80%の世帯に設置を求めている。
なお家庭、工場、ビルなどをスマートグリッドで結び、地域全体で環境や省エネに配慮した都市づくりを進めることは、スマートコミュニティ(スマートタウンとも)と呼んでいる。環境への負荷が小さい。従来の電力網から自立(分散型の新しい電力システム)。太陽光発電システム 蓄電池(さまざまな自然エネンルギーを貯蔵 出力変動を緩和)設置 家庭用燃料電池 ITによるエネルギー管理技術のフル活用。
複数の事業所の電力使用状況を一括管理し、効率よく節電するスマートビル。複数の事業所の電力使用状況を監視。人がいないところの証明を消したり、使っていないパソコンの電源を切ったりする。
さまざまな関連技術のなかで、日立製作所、三菱重工業、東芝、シャープなど多くのメーカーが開発を急ぎ関心も高いのは大型のリチウム電池である。
既存のシステム:揚水発電所 夜間の余剰電力で水を高い場所に持ち上げる 電気を水の位置エネルギーに形を変えて蓄える
東京電力と関西電力では2009年度内に合わせて約1000戸に実際にスマートメーター(双方向型通信機能を持つ 電力会社から自動検針・エアコン制御できる 電力会社へ電力消費や太陽光発電の情報を伝えられる)をつけた実験をした。電力消費量の見える化、時間帯により電力料金を変えて設定、需給に応じて電気料金を変動させる、電力ピーク時のエアコン制御。電力消費の抑制・平準化の効果を確かめるとのことで結果が注目される。なおすでに九電や関電では導入実験を先行させている。
伊藤忠商事グループでは2010年3月からつくば市でスマートコミュニテイの実験を始めた。コンビニ(ファミリーマート)で太陽光で店舗電気自動車EVに使用する電気を発電。コンビニの蓄電池でEVも充電。EVはコンビニ、GS(伊藤忠エネクス)に50台配備してシェアリング(オリエントコーポ)、電池は米リチウム電池大手のエナデル。参加企業は計15社。初期投資15億円程度。システムを開発して自治体に売り込むとのこと。
2010年度には大規模な実証実験が全国4け所(神奈川県横浜市 愛知県豊田市 北九州市 関西文化学術研究都市)で実施される。また2010年5月には三菱電機が2010年度中に自社敷地内3ケ所で自社装置の実証を行うと発表した。
2010年9月 トヨタ自動車 日立製作所 パナソニック電工、日本風力発電の4社が青森県六ケ所村で実証実験を開始した。これは企業レベルによるもの。風力発電、太陽光発電をコントロールセンター介して、スマートハウスに供給。スマートハウスにはプラグインハイブリッド車が接地される。(期間は2012年7月まで)
2010年9月24日 日立製作所とパナソニックは、スマートグリッド関連事業での提携についても発表した。通信手順などのついての規格の標準化が問題であるようだ。
太陽光発電設備には蓄電池や補完電源を組み合わせることが必要であり、次世代送電網の背景には、太陽光発電などの普及が見込まれ送電設備の再構築が必要になっていることがある。
日本政府は、太陽光発電を2020年までに05年の約20倍の2800万キロワットに増やす方針(30年までに5300万キロワット)とされる。そして電力会社は太陽光発電が1000万キロワットを超えると、蓄電池の大量導入や補完電源などが必要になる(つまり次世代送電網が必要になる)としている(1000万キロワットまでは既存の送電網で対応できる)。
送電網と周辺機器を合わせて大きな投資金額が生ずる。2030年までに日米欧の累計投資額は1兆2500億ドル(約112兆円)。日本の電力大手の設備投資額は約1兆円とみられる。
smart gridは、オバマ米大統領のグリーンニューディールの目玉の一つであり、アメリカでは国家プロジェクト扱いとなっている。2009年10月27日の演説でオバマ大統領は次世代送電網に34億ドル(約3100億円)の拠出と構築に向けた規制緩和を約束し、「クリーンエネルギーのスーパーハイウエイ」の構築を表明した。
中国も2020年まで智能電網を活用した電力供給体制の整備に4兆元規模の投資を検討しているようだ。
なお家庭で電力をつくり、使い、ためる効率を最適化する技術をmicro gridという。送電中のロスも話題になる。従来の送電網の送電ロスを減らしたものはsuper gridと呼ばれる。直流交流の変換によるロスも話題であり、太陽光から太陽電池でつくられる直流電気を、交流に変換するのではなくそのまま直流家電で使うことで効率を上げることも話題になっている。
PC 省電力プログラム
画面の明るさ抑える
使わない場合 使い方に応じてシャットダウンかスリープ(待機状態)
空調 ITなどの使用電力を管理しよう 夜間に充電して昼は内臓バッテリー扱い
超電導線
極低温下で電気抵抗がゼロになる超電導現象を利用して電気を流すもの。スマートグリッド、エコカーのほか、大規模工場でも大幅な電気節約効果があるという。住友電工が「ビスマス系」昭和電線や古河電気工業では「イットリウム系」の開発量産化を検討している。
パワー半導体
なお半導体メーカーが進めているパワー半導体の増産も省電力で注目できる。家電、電気自動車、産業機器などでモーターの駆動制御、集積回路の動作に使用されている。電気の流れを交流を直流に変えたり、電圧を変えたりきめ細かく調整。電力損失を大きく減らせるとのこと。電気自動車、鉄道車両、発電システムなどでは大きな効果が期待されている。
パワー半導体のうち高性能のIGBTは大電圧、大電流の制御に適しており、日欧のメーカーが手掛ける。世界最大手はドイツのインフィニオン・テクノロジー。日本のメーカーでは三菱電機とロームがチップの量産体制にある。東芝、富士電機でが炭化ケイ素を使った、また富士通セミコンダクター窒化ガリウムを使った新型チップの開発を急いでいるとされる。これらは次世代型といわれ従来のシリコン製より5割以上失われる電力は少なくなるとのことである。
Written by Hiroshi Fukumitsu. You may not copy, reproduce or post without obtaining the prior consent of the author.
originally appeared in July 7, 2009.
corrected and reposted in Aug.13, 2010 and January 5, 2011.
企業戦略例 映画論 開講にあたって 経営学 現代の金融システム 現代の証券市場 検索サイト 高等教育論 財務管理論 証券市場論 東京案内 東京花暦 東アジア論 文献目録 My Home Page Tutorials
最新の画像もっと見る
最近の「Economics」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事