ドイツの整形外科技術を基にした、足に合う、おしゃれな靴作り

足と靴の学校フロイデのマイスター1年コース日記

ドイツのマイスター、ゲゼレ

2014-08-18 19:15:14 | 日記

フロイデの講師、ドイツのマイスターは
今でこそ、靴づくり、調整や修理をスムーズにこなしますが、
マイスターになるために、時間をかけ、努力を重ねてきました。

   
まず、ゲゼレになるまでの3年半は見習いとして、
工房などにいるマイスターの下で修行をします。
しかし、このマイスター探しが難しく、なかなか簡単に引き受けてもらえないため
マイスターとの出会いもとても重要なものになります。 

   
そこで、火曜日から金曜日の朝8時から夕方5時まで
はじめはナイフを研いだり削ることを繰り返し、
徐々に課題が与えられ、フットベッドや先芯、カウンターの作製を任せられます。

ゲゼレになるには、2回試験を受けなければならず、
3年半たったところで中間試験を受けます。
それに合格すると、ゲゼレ試験までの間、靴製作やローリング調整の技術も習得します。
靴づくりも、はじめはシャフトを傷つけてしまう、指を怪我するなど
苦い経験もあるようです。
また、特に自分の膝を台にしてハンマーを使ったり、硬い材料を切ることは、
練習し、慣れていかないことにはできるようになりません。 

    
ゲゼレ試験を合格すると、そのまま就職する道と
さらに7か月マイスター学校に通って、マイスターを目指す道に分かれます。 

そばでマイスターの行なっていることを見ると、いとも簡単に
こなしてしまうのですが、やはりその背景には
ゲゼレやマイスターになりたいという目標に向かって、
長年努力や苦労をしてきた時間があったのだと、教えてもらいました。


訓練

2014-08-12 17:32:33 | 日記

1年で足と靴の専門家や技術者になるといっても、
簡単なことではありません。

今、 フロイデは夏休みですが、
夏休みに入る前から、生徒は、まず靴のヒール修理ができるように
削りの練習を毎日行っています。

   

まっすぐ削れるようになるには、少しでも日々継続して練習することが必要です。

そしてもうひとつ、日々続けていることはナイフの研ぎです。
研ぎ方は、ナイフによっても違いますし、もちろん人によっても違います。
ナイフは、靴職人にとって、最も大事な工具のひとつです。

   

だから、マイスターもこまめに研いでいます。
授業や作業の途中、自分のやっていることを中断するのではなく、
決まった時間に研ぐ時間を作ることを習慣づけるため、 
授業の始まりは、ナイフを研ぐことにしています。

   

来週から、いよいよ授業の再開です。
 


整形靴の幅広さ ~お風呂で使う靴~

2014-08-11 17:51:54 | 日記

人は、自分自身がトラブルにぶつかったり、その存在を知らないと
動くことや移動できることが、当たり前と思っているので、
その不自由さはなかなか理解できません。

整形靴製作は、自分たちが持っている視野、世界を広くし、
さまざまなことを教えてくれます。 

今日ご紹介するのは、オーダーのバーデシュー(ドイツ語:Badeschuh)という
足にトラブルがある方がお風呂場や水際などに使うときの靴です。 

このバーデシューのシャフトは、耐水性があり、水をはじきます。
また、アウトソールは、特に滑らないようなマテリアルを用います。

今日は、マイスターがバーデシューを作っている様子を窺いました。

後足部は特に補強材をつけて、立った時の安定感を考えます。

 

バキュームで、シャフトを接着させます。マテリアルは、バキュームに使う
マットの大きさと同じなので、とても使いやすくできています。
ひっくり返すとこのような感じです。

このバーデシューのおかげで、転ぶことなく、安定して立ち、
シャワーを浴び、水辺を歩いたりすることが可能になります。 

靴は、その人の生活範囲を変えます。
この1足は、履く方にとっては本当にかけがえのない、大切な1足です。

立つこと、歩くことは、単なる動作ではなく
生活を豊かにする要素です。
そのサポート役である靴もまた、そこに大きな役割を担っているのを実感します。