道楽ねずみ

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マリーローランサン展(府中市美術館)

2015年11月19日 | 美術道楽

府中市美術館で開催中のマリーローランサン展に行ってまいりました。

 

ローランサンの20代全般の作品から晩年までの作品をおうことができます。

初期の作品はやや固く、緊張感のある自画像ですが、それがアポリネールと交際をするようになってからは、アニメのような自画像や、アポリネールをモデルにした作品《頭の尖った女性の肖像》といった作品を描くようになります。

ローランサンは、アポリネールだけではなく、ブラックやピカソの影響も受け、キュビズム風の絵画を描くようになります。このほか、ローランサンは、アンリ・ルソーの影響を受けた絵も描いています。よりによってアンリ・ルソーを手本にするなんて、やはりローランサンは不思議な画家という気がします。余人にはまねのできない変な構図の絵を描くのがアンリ・ルソーなのですから。

 

アポリネールとの蜜月が終わった時期に描かれた絵も展示されています。寂しそうな女性の姿も描きこまれた絵でした。

 

ローランサンは、その後ドイツ人貴族と結婚したものの、第一次世界大戦の勃発とともに、亡命生活を余儀なくされ、婚姻関係も破たんします。そのころからキュビズム風の鋭い線がなくなり、パステルカラー中心のローランサンらしい絵になります。

 

そして、晩年には平面的な構図から抜け出し、立体的な構図を描くようになり、色も現職で描くようになります。その間、バレエの衣装や舞台美術も手掛けたそうです。

 

私生活では、晩年は、若い家政婦と2人で暮らし、最終的にはその家政婦を養女としたそうです。

 

ローランサンの一生を通じた絵を見ることができて興味深く思いました。

特にキュビズム影響下の作品を目にすることは、ほとんどなかったと思われますので、興味深く見ました。

山田五郎の「ぶらぶら美術館」の番組でも紹介されましたが、ローランサンの描く動物はすべて犬をモデルにして描いたそうで、馬も馬に見えません。といって犬に見えるかといえば、犬にも見えず、やはり不思議な画家という印象を受けました。


府中市美術館の建物の前にある若林奮の《地下のデイジー》という作品です。


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