道楽ねずみ

ドイツに関するものを中心に美術展,オペラ,映画等の趣味の世界を紹介します。

死の都(新国立劇場・渋谷区本町)

2014年03月23日 | オペラ道楽
オペラ「死の都」を見て参りました。


■指揮:ヤロスラフ・キズリング
■演出:カスパー・ホルテン
■原作:ジョルジュ・ローデンバック Original by Georges Rodenbach
■台本:パウル・ショット (ユリウス・コルンゴルト/エーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルト)
Libretto by Paul Schott (Julius Korngold, Erich Wolfang Korngold)
■作曲:エーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルト Music by Erich Wolfgang Korngold

■キャスト
【パウル】トルステン・ケール
【マリエッタ/マリー】ミーガン・ミラー
【フランク/フリッツ】アントン・ケレミチェフ
【ブリギッタ】山下牧子
【ガストン/ヴィクトリン】小原啓楼
【ユリエッテ】平井香織
【アルバート伯爵】糸賀修平
【リュシエンヌ】小野美咲

あらすじ:
19世紀末のブルージュ。愛する亡き妻マリーを忘れられないパウルは、妻の遺品に囲まれた「思い出の部屋」に引きこもり、悲しみの中に生きている。パウルは自分を訪ねてきた友人フランクに、街でマリーに瓜二つの女性に出会い、家に招待したと話す。フランクと入れ替わりにその女性が訪ねてくる。彼女はマリエッタという名で、リールから来た踊り子だった。・・・
というところから話は始まります。

ローデンバックの小説「死都ブリュージュ」をベースにしつつも、登場人物の名前もストーリーも大幅に変更されています。
小説では主人公は最終的に亡き妻にそっくりの女性に入れ込み、現実の女性と亡き妻の区別もつかなくなり、周囲から嘲笑と非難を浴びながら、家に女性を招き入れて殺害してしまうのですが、オペラではそのような幻影を主人公が見ただけで、女性とは深い関わりを持たないで終わるという内容です。

オペラはハッピーエンドになっていますし、今回見た演出では2幕目は特に明るく、めまぐるしく、登場人物も盛りだくさんですし、コルンゴルドの音楽も素晴らしいオペラで、十分楽しむことができました。ただ、3幕目でパウルの下半身にマリエッタがかぶりつき、パウルが恍惚の表情を示すのがいかにも外国風の演出という気がしました。
今回のオペラはフィンランド国立歌劇場のプロダクション・レンタルです。道楽ねずみと相方ねずみは実はこのフィンランド国立歌劇場上演の「死の都」のDVDを輸入して予習していたので、演出に全く意外性なく見られてしまいました。これは、全くの個人的な失敗であります。


「死都ブリュージュ」の小説も岩波文庫の方で読んでいたのですが、やはり中身は小説の方がいいように思われます。もちろん小説の方が暗い話ですが、登場人物の心理描写、それと絡めたブリュージュの町並みが巧みに描写されて面白く読めたような気がします。

ローデンバックのこの小説が刊行される前は、ブリュージュは忘れ去られた汚い街で、小説のおかげで再びブリュージュは注目され、綺麗に整えられた観光都市となり、今日のような姿になったと聞いたことがあります。ブリュージュの人々が、ローデンバックの小説に恩義を感じつつも、ローデンバックの小説は好きではないのもよく分かるような気がしました。


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