サントリー美術館で開催中の久隅守景展に行きました。
久隅守景といえば、日本史の教科書にも掲載されていた国宝・納涼図屏風が有名ですが、逆に言うと納涼図屏風以外には知らないという人の方が多いと思います。私も、昔、出張で西宮まででかけて頴川美術館という美術館を発見し、そこで「瀟湘八景図」を見るまで、納涼図屏風以外の作品を知りませんでした。
今回の展覧会で、久隅守景の作品をいろいろ見ましたが、初めて知ることばかりでした。
富山の瑞龍寺にある《四季山水図襖》は、納涼図屏風のゆるい感じとはずいぶんと異なっておりますが、狩野派らしく整った襖絵で、探幽の四天王の筆頭といわれた守景の面目躍如という印象を受けました。
このほか、四季耕作図屏風も3作品展示されていました(後期に展示替えあり。)。四季の流れは、右から左へと流れるのが通常ということですが、守景は逆に左から右に流すのが好きのようで、今回の展示では、2つのタイプが同時に展示されており、最初混乱してしまいました。いずれも人物や動物を見ていると、守景の暖かい視線が伝わってくるようです。
納涼図屏風はよく知ったとおりの何とも力の抜けた、それでいて何とも言えない味のある作品ですが、別の作者、古礀明誉の夕顔納涼図の登場人物も何とも気取らない田舎の家族が描かれていて、こちらもとても味がありました。
このほか、守景の娘雪信と息子彦十郎の作品も展示されていました。
娘雪信は、江戸時代で女流画家として名をはせていたようですが、駆け落ちをしたそうです。息子の彦十郎は、悪所通いを重ねて、狩野派を破門され、さらには罪を得て佐渡に流されたのだそうです。こうした子供の不行跡のため、守景は狩野派を離れ、加賀前田家のもとで製作を重ねたということでした。
本展覧会は、前期と後期に分かれ、展示替えがあり、後期には《鷹狩図屏風》、《賀茂競馬・宇治茶摘図屏風》など前期にはなかった作品が展示されるので、後期にも出かけたいと思っております・
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