出発が迫ってきてなかなかに忙しい日々が続いている。更新があまりできてなくてスミマセン。もっとも、ただでさえ忙しいのにスペインのモノクロプリントを60枚も焼いたりしているからいけないのだが。
さて、そのスペインの写真だが、日曜日の暗室開放で始めてネガカラープリントに挑戦した。カラーは完全暗黒での作業なので大変だけれど、その結果はやっぱりカラーもいいな、と思わせるものだった。写真自体は何気ない風景でも、色がついているだけで訴求力を持ち得るのはカラーならではの持ち味だと思う。ただ、自分としては、カラー「も」いいな、というところが肝心なのであって、やはりモノクロに対するこだわりはものすごく強いものがある。
ところが、モノクロスペインとカラースペインを見比べていた師匠には「カラーの方がいいね」と言われ大ショック。「カラーもいいね」ではない。「カラーが」いいね、なのである。
師匠が言うにはモノクロ編は先が読めてしまうが、カラーは先が読めないんだそうな。
自宅に戻り、冷静になって師匠の言葉を考えてみた。すると、師匠の言葉の意味がなんとなく分かるような気がしてきた。
少しモノクロができるようになってくると、どういう風景がモノクロとして「映える」のか、どう撮れば「かっこよく」見えるのかが何となく分かってくる。ところがそれがくせ者で、ついついスタイルから入ってしまうと、「かっこよく」はあるが、どこかで見たようなイメージばかりが量産されることになる。
対してカラーの方は、どう撮って良いのか分からずにほとんどモノクロ撮影の合間に気まぐれのようにシャッターを押していた。特にローライでの撮影では速射するわけにもいかず、構図なども特に考えることなく気ままにポツポツと撮っていた。それがかえって良かったのではあるまいか。
話は少しそれるけれど、スペインで写真集を一冊購入してきた。クリスティーナ・ガルシア・ロデオという女性写真家によるモノクロ撮影で、東京都写真美術館の「スペイン現代写真家10人展」で見て以来、気になっていたひとりだ。
その写真集を日本に帰り今日になって始めて繙いた。先に見てしまうと、へこんで、自分の写真を焼くのがおっくうになってしまうのでは思い、見るのを先延ばしにしていたのだった。
やはり、すごい、と思う。そこに写っているのは確かにスペインだが、我々が知っているステレオタイプ化されたスペインでは決してない。いわゆる「かっこいい」「スタイリッシュな」写真ではないが、作品としての訴求力に溢れた写真たち。そうした写真群は何も彼女がスペイン人だから撮れたのではないだろう。日本人だからといって日本の写真が撮れるわけではないのだから。
彼女の写真を見ているうちに、無性に日本の、東京の写真が撮りたくなってきた。
撮りたいと思いつつ、なかなか作品にならなかった我が故郷・東京。その迷いが、カラーを撮ることでひょっとして吹っ切れるのではと期待している。だがそれは最終的にモノクロに行き着くまでのひとつの過程だと思いたい。なぜなら、モノクロを撮りたいというのが、2Bワークショップに参加した最大の理由なのだから。モノクロ写真こそが自分の原点であり、終着駅なのだ。
さて、そのスペインの写真だが、日曜日の暗室開放で始めてネガカラープリントに挑戦した。カラーは完全暗黒での作業なので大変だけれど、その結果はやっぱりカラーもいいな、と思わせるものだった。写真自体は何気ない風景でも、色がついているだけで訴求力を持ち得るのはカラーならではの持ち味だと思う。ただ、自分としては、カラー「も」いいな、というところが肝心なのであって、やはりモノクロに対するこだわりはものすごく強いものがある。
ところが、モノクロスペインとカラースペインを見比べていた師匠には「カラーの方がいいね」と言われ大ショック。「カラーもいいね」ではない。「カラーが」いいね、なのである。
師匠が言うにはモノクロ編は先が読めてしまうが、カラーは先が読めないんだそうな。
自宅に戻り、冷静になって師匠の言葉を考えてみた。すると、師匠の言葉の意味がなんとなく分かるような気がしてきた。
少しモノクロができるようになってくると、どういう風景がモノクロとして「映える」のか、どう撮れば「かっこよく」見えるのかが何となく分かってくる。ところがそれがくせ者で、ついついスタイルから入ってしまうと、「かっこよく」はあるが、どこかで見たようなイメージばかりが量産されることになる。
対してカラーの方は、どう撮って良いのか分からずにほとんどモノクロ撮影の合間に気まぐれのようにシャッターを押していた。特にローライでの撮影では速射するわけにもいかず、構図なども特に考えることなく気ままにポツポツと撮っていた。それがかえって良かったのではあるまいか。
話は少しそれるけれど、スペインで写真集を一冊購入してきた。クリスティーナ・ガルシア・ロデオという女性写真家によるモノクロ撮影で、東京都写真美術館の「スペイン現代写真家10人展」で見て以来、気になっていたひとりだ。
その写真集を日本に帰り今日になって始めて繙いた。先に見てしまうと、へこんで、自分の写真を焼くのがおっくうになってしまうのでは思い、見るのを先延ばしにしていたのだった。
やはり、すごい、と思う。そこに写っているのは確かにスペインだが、我々が知っているステレオタイプ化されたスペインでは決してない。いわゆる「かっこいい」「スタイリッシュな」写真ではないが、作品としての訴求力に溢れた写真たち。そうした写真群は何も彼女がスペイン人だから撮れたのではないだろう。日本人だからといって日本の写真が撮れるわけではないのだから。
彼女の写真を見ているうちに、無性に日本の、東京の写真が撮りたくなってきた。
撮りたいと思いつつ、なかなか作品にならなかった我が故郷・東京。その迷いが、カラーを撮ることでひょっとして吹っ切れるのではと期待している。だがそれは最終的にモノクロに行き着くまでのひとつの過程だと思いたい。なぜなら、モノクロを撮りたいというのが、2Bワークショップに参加した最大の理由なのだから。モノクロ写真こそが自分の原点であり、終着駅なのだ。