急増メガソーラー、摩擦も 「災害を懸念」「景観悪化」反対運動
朝日新聞デジタル 1月4日(月)5時30分配信 (有料記事)
東日本大震災後、自然エネルギーの普及を促す国の政策に応じて太陽光発電施設が全国で急増する一方で、住民による建設反対運動も目立ってきている。広大な敷地にパネルを設置することに対し、自然災害時の危険や景観の悪化を心配するケースが多い。
太陽光発電施設の建設ラッシュは自然エネルギーの普及を目指す再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)が2012年に導入されたのを機に始まった。
出力1千キロワット以上の大規模太陽光発電施設(メガソーラー)は、FIT導入前の274倍にあたる3291件が運転を開始した(昨年8月時点)。国から認定を受けた後、まだ建設されていない計画も多数ある。使われていない土地を活用できることもあり、地域振興策として普及した。
一方で、住民と地域外の事業者との間で摩擦が起こるケースも出ている。
リンゴ畑が広がる長野県上田市の飯沼地区では13年にメガソーラー計画が持ち上がった。東京の事業者が立てた計画では、山林の傾斜地約20ヘクタールの樹木を伐採し、4万4千枚のパネルを設置する。これに対し、地元自治会は「メガソーラー設置反対特別協議会」を組織して反対を続けている。
住民らは「豪雨に伴う土砂崩れなどが起こる可能性が高まる」と訴える。協議会長の志津田和博さん(66)は「太陽光発電自体には反対しない。建てる場所を考えてほしい」と話す。事業者は「住民に丁寧に説明をしたい」と話すが、合意に至っていない。
大分県由布市では、東京の投資会社が高原の斜面に3万2千枚のパネルを置く計画だ。だが、周辺は観光地で、住民グループは災害時の危険に加えて景観悪化を懸念する。佐賀県では13年、吉野ケ里遺跡のすぐ北の県有地に、大手通信会社のグループ企業などでつくる合同会社が約5万枚のパネルを設置した。住民団体の「吉野ケ里遺跡全面保存会」は、一帯から遺跡や出土品が多く見つかっているとして移転を強く求めている。
■「住民同意得る仕組み、必要」
太陽光発電協会によると、太陽光発電設備は電気事業法で「電気工作物」とされ、設置時の留意点は省令で定めている。「急な傾斜地の崩壊を助長しないよう設置する」「通常想定される気象の変化、振動、衝撃などを考慮」などと記されている。しかし、亀田正明事務局長は「事業者の知識、技術にはばらつきもある。何らかの基準や参照事例を示す必要がある」と話す。
仙台市太白区では昨年9月の豪雨で、メガソーラーと比べれば小規模だが約400枚のパネルが設置された市道わきののり面が崩れた。現地を調査した東北大の森口周二准教授(地盤工学)は「もともと水を集めやすい場所で、パネルがなくても崩壊した可能性も十分に考えられる」と言う。ただし「防災上、斜面への構造物の設置はよく考えるべきだ」と指摘する。
住民との合意を形成する仕組みも整っていない。自治体の中には独自ルールを定めた所もある。山梨県は昨年11月、「太陽光発電施設の適正導入ガイドライン」を設け、立地を避けるべきエリアなどを示した。市町村への事前相談や住民との合意などの手続きも明記。同県では稼働中の4倍の件数の建設計画が控えており(昨年5月時点)、県は「ガイドラインを守って事業を進めてもらいたい」と話す。
名古屋大学の丸山康司准教授(環境社会学)は「景観悪化や災害のリスクを科学的な数値だけで判断するのは難しい。住民の同意を取り入れる仕組みが必要になってくる」と指摘する。(山田理恵、水戸部六美) 朝日新聞社
(管理人より) 2016/1/4の朝日新聞の記事です。
いくつも地元住民のメガソーラー反対運動を取り上げてはいますが、記事の中でわざわざ住民の「太陽光発電自体には反対しない」という意見を取り上げていますし、最後に専門家の「住民同意得る仕組み、必要」という指摘でまとめていますので、朝日新聞のこの記事は、国策自然エネルギー推進の立場で書かれたものであることは明らかです。
メガソーラーにも、太陽光発電自体にも、いっさい批判はしていません。「住民合意」の問題にすり替えられているのです。
以前にLED問題の時に発掘した資料でこんなものがありましたね↓
平成27年度新エネルギー等設備導入促進事業(固定価格買取制度及び再生可能エネルギーの多面的広報事業) より
各地で、突然出てきた計画にとまどい、おずおず反対に立ち上がった人々がいますが、彼らは、いまだに「自然エネには反対じゃない」「場所を移してくれればいいだけ」なんて言う。
この手の事業が法規制にはひっかからず(意図的に関連法を策定してこなかった)、業者は強腰、自治体は見て見ぬふり、問題がおきても何の保障もないことを知っても、はっきり「反対」は言えないのです。そこにはすでに、「自然エネに反対=原発賛成」の図式があるわけです。それどころか、「反対」を口にしたり、被害を訴えたりすると悪者扱いされてしまうのですね。
これじゃあ、ソーラーだの風車が建てホーダイなのは当然でしょう。実際は、これまでの悪しき公共事業そのものなんですけどね。
山本に寄せられたコメントには「彼らはエコヤクザ」という、ぴったりの表現がありました。下はその一部。プライバシー保護のため、地名や社名はカットしてあります。
「広島県の○○の近くにも巨大な太陽光パネルが完成していました。かなり眩しくて、グロテスクな光景でした。設置したのは○○らし いです。最近、地元の業者と中国電力がつるんでるのをよく見かけます。反対する住民が少ないような過疎地に行って、土地を二束三文で買い、太陽光パネルを 設置しまくっています。何かしようとしたら嫌がらせをしてくる。まさにエコヤクザです。広島県は売電して利益を地域に還元すると言っていますが、結局、こ ういう連中に餌を与えているだけです。田舎の低所得者にとってなんのメリットもありません。何かあった時、誰が責任をとるのか?鬼怒川の時のように行政と業者の擦り合いで終わるだけでは?と思ってしまいます。早くこの制度を廃止してほしいです。」
山本節子さんは、「これまでの悪しき公共事業そのもの」だと指摘しています。再エネ批判をする、数少ないというか、たった一人の?(悲)ジャーナリストです。
オフグリッドに誘導していましたが、そういう日和見主義者は太陽光発電自体、再エネ自体を批判するものではまったくありません。
この朝日新聞の記事を引いて、「再エネも原子力も、適切な批判を浴びながら推進すべき」という論調にも呆れてしまいます。
原発事故から5年、被曝被害も顕在化してきています。そしてこれだけ自然を破壊して再生可能エネルギーを増やしても、原発は再稼働しています。
2016年は 「再エネは原発を温存延命するための原子力ムラの収入源である」ことに気づき、本当の反対運動を展開する年だと私は思います。



https://twitter.com/trastarize/status/685438748725612544 より