中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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ペルー訪問記(56):第16日目(3):ピスコ山登頂(3)

2008年11月07日 09時17分21秒 | ペルー:ブランカ山脈ピスコ山登頂

                <モレーンキャンプへ下山する若いガイドさん>

      ペルー訪問記(56):第16日目(3):ピスコ山登頂(3)
         2008年7月16日(木)(つづき)

<モレーンキャンプにて>

■予定変更

 私達は,無事,ピスコ山登頂を終えて,13時10分に,モレーンキャンプに戻ることができた.
 「やれ,やれ,・・・やっとキャンプに戻ったか・・・」
というのが率直な感想である.
 当初の予定では,モレーンキャンプで一休みした後,今日の内にベースキャンプまで下山することになっていたが,予定が変更になり,今日も,このモレーンキャンプで宿泊することになる.
 ただ,三井さんだけは,明日用事があるとかで,すぐにモレーンキャンプを出発して下山していく.したがって,明日,下山するまでは,三井さんが居られないまま,私達はクラウディオさんの指揮のもとで,行動することになる.

■ラーメンで会食
 下山して一息着いた頃,食事テントでラーメンを食べようという話が出る.私は食欲がないのでパスする.私以外の全員は,標高4,800メートルの高地でも食欲が旺盛なようである.ラーメンができるまでの間,全員でクールダウンのストレッチを行う.
 間もなく,ラーメンが出来上がる.私もお付き合いして食事テントに向かう.一同がラーメンを食べて絵いる間,私は白湯を貰って,ほんの少しだけ飲んでお仕舞いにする.結局,今日1日,私は,ほとんど飲まず食わずの状態で過ごしたことになる.
 今日1日を振り返ってみると,頭が痛くなるというような顕著な高山病の症状は出ないものの,80回/分を超える頻脈や食欲不振,軟便など高度障害が明らかに出ている.
 「やっぱり,私は高度に弱いな・・・」
と改めて確信する.今後,高所登山をする場合は,一層,高度障害に留意しなければいけないと自戒する.

              <下山直後のモレーンキャンプ(13:10頃)>
             ※後の人集りに現地スタッフが沢山混じっている.

■猛烈に暑いテント
 ラーメン集会を終えて,各自,自分のテントに戻る.
 私は疲労感があるので,テントに入って,直ぐに横になる.眠ってしまうと高山病になる可能性があるので,眠らないように気を付けているが,疲労が残っているためか,何時の間にかウトウトとする.
 テントには直射日光が照りつける.寒暖計がないので何度になっているか分からないが,テントの中は,湿気はないものの,とにかく,猛烈な暑さになっている.多分,35℃は軽く超えているだろう思われる.暫くの間,暑さを我慢していたが,とうとう耐えられなくなって,テントの入口を開ける.
 すると,テントから白く輝くワンドイの山々が見えている.なんという素晴らしい風景だろう.私は思わず写真を撮る.帰国後,せめて,この風景だけでも絵にして残したいと思う.

           <テントを開けると素晴らしい光景が広がっている(15:05頃)>

■急に冷え始める
 テントから外へ出てみる.隊員の皆さんも,思い思いに,午後の一時を過ごしている.私も,暫くの間,周囲の風景を眺めながら,幕営地の中を散策する.
 その内に,日が傾き始める.ここは,ほぼ赤道直下の国である.太陽が,真っ直ぐ西へストンと落ちるような感じで沈んでいく.日が傾くと,途端に寒くなり始める.つい30分ほど前の暑さが,まるで嘘のようである.私は寒いのを防ぐために,すぐに寝袋に潜り込む.そして,今日の行動を雑記帳に書き込む.
 寝袋の中で書いたことも影響しているかもしれないが,後からこの時書いたページを見ると,真っ直ぐ書いたつもりが,随分右肩下がりになっているし,筆跡に力がない.やっぱり,5,000メートルの高所では,自分は真ともだと思っていても,だいぶ思考能力が落ちているんかもしれないなと反省する.

           <メモの比較.左は標高4,800m,右は低地で書いたメモ>
       ※標高4,800mで書いた方は,「行」が水平になっていないし,字に力が入っていない.
        スケッチ画も,弱々しい.こんな所にも高度の影響が出ている.
        書いてある内容も,高所では弱気になっているようである.

■登頂証明書
 日記を纏めながら,時々,ウツラウツラと居眠りをする.そんな時間を過ごしている内に,折角,ピスコ山に登ったんだから,何か登頂の証拠になるものとか,記念になるものとかが欲しいと思い始める.
 そこで,日記を書き綴っている雑記帳の1ページに,以下のような文章を勝手に書く.そして,クラウディオさんにお見せする.
 「もし宜しければ,ここにサインしてください」
とおねだりする.
 結局,お二人のガイドから,登頂証明のサインを頂戴する.このサイン入りのページが,今回のペルー周遊の中では,私にとって,最も価値があるものになった.
    ***************************************************************             

            CERTIFICATION

  This is to certify that M?. Flower-hill_2005 has been successfully
  climbed up to the summit of Mt. Pisco(5,752m), as a memory of XX years
  old, on 16 July, 2008.

         16, July, 2008

           Chief Guide   (チーフガイドのサイン)
           Guide      (ガイドのサイン)
    *****************************************************************

                  <手作りの登頂証明書>
             ※私の氏名と年齢は“伏せ字”にして公開する.
              successfllyのスペルが間違っているが,そのままにしてある.
 

■夕食も食欲がない
 17時25分から,食事テントで夕食を摂る.
 ゴハンとジャガイモやニンジンの入った味噌汁がメニューである.
 まだ,食欲がなく,夕食もほんの少し食べただけ.こんなに食べられないのでは困るなと思うが,こればかりは仕方がない.逆に,ポジティブに,これで何キロ痩せられたんだろうかと期待することにする.
 30分ほどで夕食を終える.

             <モレーンキャンプの夕食(17:25頃)>

■明日の下山の準備
 夕食後,すぐにテントに戻って,明日の下山の準備を進める.アイゼン,ピッケル,スパッツ,重登山靴,防寒具など,これから使わないものは,スタッフバッグに詰め込む.有り難いことに,このスタッフバッグは,現地スタッフが最終地点まで運んでくれる.
 リュックだけでなく,ヤッケやズボンのポケットから,行動中に食べられなかった果物,チョコレート,飴などが,ゴッソリと出てくる.
 「こんなに食べ物が沢山残っているんなら,明日の弁当は要らないな・・・」
と思いながら,食料品を整理する.
 18時40分頃,シュラフの中に潜り込む.余程,疲れているのか,直ぐに熟眠する. どの位の時間眠ったのだろうか,随分とよく眠ったなと思いながら,目が覚める.時計を見ると,まだ,22時45分である.
 目が冴えてしまう.ついでにトイレに行く.今夜も月が煌々と冴え渡っている.
 深夜のシュラフの中で,色々なことが頭の中で交錯する.ここ数年の間の登ったキナバル,キリマンジャロ,モンブラン,メンヒ,ユングフラウ,ウイルヘルムなどの高山のことを思い出す.これらの山々と今回のピスコ山を,何となくボンヤリと比較してみる.

■バカは死ななければ治らない
 今回のピスコ山登頂も,結構,きつかった.自分も,もう年だから,矛を収める潮時かもしれない.そろそろ高山に登るのはヤメにして,これからは風光明媚な所を選んで旅をしようかななどと思い始める.
 そんなことを考えていると,どこからか,バックグラウンドの私が,フォアグラウンドの私に囁く.
 「・・・何を言っているんだ.お前さんは,高い山へ登った直後に,何時も同じようなことを言っているじゃないか・・・」
 私は,バックグラウンドの私の指摘にビックリする.成る程,言われてみれば,その通りかもしれない.今回も,また2~3日経てば,
 「次は何処へ登ろうかな・・・」
などと,平気で言い出すに決まっている.
 「バカは死ななければ治らない・・・と言うけれども,これはお前さんのことを言っているんだぞ・・」
私は,バックグラウンドの私に,思い切りバカにされているような気がしてくる.
 「まあ,良いか・・・なるようになるさ・・・来年のことは,また後で考えよう・・・」
私は苦笑しながら,シュラフの中でウツラウツラを繰り返す.
 こうして,ペルー訪問第16日目は終わった.
                            (つづく)
「ペルー訪問記」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/f3549ac99358abbb662290cc0f9c133c
「ペルー訪問記」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/678882beac6e78231610ae7d28765802
このシリーズの最初の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/6fee0e316085f32cce0c47a424821346



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