中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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ツールドモンブラン(26);5日目(2);パルムのコル

2011年10月21日 06時54分25秒 | フランス・スイス・イタリア;ツールドモンブラン

                              <前方にトリエン氷河が見える>

     ツールドモンブラン(26);5日目(2);パルムのコル
           (アルパインツアー)
      2011年7月16日(土)~24日(日)

第7日目;2011年7月22日(金)(トレッキング5日目)

<第5日目の地図>



<旧トロッコ道を歩く>

■フォルグラ駐車場を出発
 専用車に乗って,シャンペを出発した私たちは,8時46分に,フォルグラ駐車場(標高1328m)に到着する.気温がどの程度か分からないが,曇り空のもとに,冷涼な空気が漂っている.
 フォルグラ駐車場はトリエン氷河(発音不正確;Plateau du Trient)から北の方向に流れ出ているトリエン川(発音不正確)右岸のかなり高いところに位置している.
 駐車場から南に向かって,私たちの歩くトレッキングコースが続いている.
 出発準備を整えて,8時59分に,トレッキング開始する.進行方向右手(西側)には,トリエン川の深い谷を挟んで,残雪の尖鋒が並んでいる.


<フォルグラ駐車場から出発>

■立派な案内板
 フォルグラ駐車場の出発点には,立派な案内板が立っている.
 この案内板によると,今日,私たちが目指すパルムのコル(Col de Barme,標高2191m)までの所要時間は4時間になっている.
 果たして,私たちは4時間で歩けるのだろうか.もし,標準時間で歩けるとすれば,13時には.パルムのコルに到着するはずである.果たしてどうなるか,興味津々である.
    
      <パルムのコルの案内板>
  
■素晴らしい散策路
 暫くの間,ほぼ水平の道路が続く.道路の両側は,牛の姿は見掛けないが.牧場なのだろうか,草地が谷の方まで続いてる.草地の先には針葉樹林,そのさきには山頂に雲がかかった高い山が見えている.いかにもスイスらしい風景である.

<心地よい散策路が続く>


<谷の向こうに雪を抱いた高山が見えている>

■トロッコの車両
 9時19分,道路脇にトロッコが1台置かれているところに到着する.
 ガイドのクリストファさんが説明する.
 「・・・昔は,トリエン氷河の氷を,このトロッコ,山麓までで運んでいたんです.この道は,氷を運ぶトロッコ道路だったんです・・・」
 なるほど,それで,この道が,ほぼ水平に作られていることが分かった.

<昔,氷河の氷を運んだトロッコ>

<谷間の集落,レペウティ>

■草付きの小径を下る
 トロッコのある場所を,少し通り過ぎる.そこで,クリストファさんが,
 「・・トロッコ道,もう少し見たいですか,もし,もう良ければ少し引き返して,谷へ降りる道に入ります・・・」
という.
 誰も,これ以上,同じようなトロッコ道を見るのではなく,先へ進みたいと思う.
 ここから先は,私の邪推だが,どうやらクリストファさんが,谷に降りる道の分岐を見落としたようである.
 まあ,それはともかく,また5分ほど往路を戻る.そして,戻りの進行方向左手(西側)の草付きの細い道に入る.かなり急な下り坂である.
 途中で自動車道路を横切ってから,さらにクネクネと急坂を下り続ける.

<草付きの小径に入る.この先でジグザグで急な下り坂になる>

■小さな集落で休憩
 曲がりくねった草道を下り続ける.そして,9時52分,谷間の集落,レペウティ(発音不正確,le Peuty,標高1326m)に到着する.ここは長閑な寒村である.
 谷間の広場に公衆トイレがある.ここでト10分ほどイレ休憩をとる.

<寒村でトイレ休憩>

■路傍の祈祷所
 近くに教会を小さくしたような石造り建造物がある.
 「これも,教会ですか・・?」
とクリストファさんに聞く.
 「いえ,是は教会ではないよ.道を歩く人,動物などの安全を祈願する所だよ・・」
 日本の道祖神や道端の祠のようなものらしい.国が変わっても人間の所作はどことなく似ているものだなと感心する.

<路傍の祈祷所>

<ジグザグの坂道を登る>

■谷間の道を南へ

 休憩を終えて,谷間の道を南へ向けて歩き出す.前方には尖鋒が見えている.尖鋒脇のコルから大きな氷河が流れ出ているのが見える.雄大なトリエン氷河である.
 地図で確かめると,今,私たちはプロデラロウア(発音不正確,Puro de la Roura)というところを通過中である.
 目の前に聳えている尖鋒は,多分,プンテデエカンディ(発音不正確,Pnte des Ecandeies,標高2873m)ではないかと思う.
 なだらかな道も,先へ進むにつれて,次第に勾配が増してくる.

<前方に尖鋒が見え出す>

■ナンノイ川を渡る
 10時16分,ナンノイ川(発音不正確,Nant Noir,標高1418m)を渡る.橋がないので,川の中の石を辿って,川の右岸に進む.
 善院が渡り終えたところで,立ち休憩を取る.
 振り返ると,今歩いてきた谷間が,随分と低いところに見えている.何時の間にか,随分とところまで登っている.

<ナンノイ川を徒渉,右岸に渡る>

■小さな小屋でトイレ休憩
 次第に山道らしくなる.道幅も狭くなり,漸く登山らしい雰囲気になる.つづら折りの急坂が連続する.辺りは深い森林で覆われている.一同,黙々と登り続けている.
 10時32分,小さな小屋に到着する.ここで暫くトイレ休憩を取る.

<小さな小屋でトイレ休憩>

またもや休憩
 10分ほど休憩を取った後,再び歩き出す.同じような道が連続する.
 11時18分,標高1815 メートル地点で,また,休憩を取る.
 前方には,スイスとフランスの国境にある鞍部が見えている.もう,すぐ今回のトレッキングも終わりになる.
 正直な気持ちを書けば,終始,ユッタリ,ノンビリのスローペースで歩いているので,私は,かなり焦れったい想いが鬱積している.もちろん,今回の旅が登山ではなくトレッキング名ことは承知しているが・・・それにしても,アルパインツアーの案内書に掲載されていた靴マーク4個は一体何なのだろう.このコースは,せいぜい靴3個程度ではないか.帰国したら是非このことだけはアルパインツアーに言っておきたい・・・と思っている.

<パルムのコルが見える>

■何か見えるぞ

 5分ほどの休憩を終えて,歩き出す.
 谷を挟んで反対側(左岸)の岸壁に,動物が動いているのを,誰かが発見する.ガチャ目の私には,どこに件(くだん)の動物がいるのか全く見えないが,そそり立つ岸壁で2匹の鹿のような動物が動き回っているという.
 私は,どこにいるのか分からないまま,一同が指さす方向にカメラを向けて,当てずっぽうの写真を撮る.ブログにアップする写真は画素数が少ないので,動物などどこにいるか分からないだろうが,理屈の上では,動物が写っているはずである.

<動物の気配がある岩場,私には見えないが・・・>

■やっと開放感
 その後も,ユックリとしたペースで登り続ける.
 12時12分,前方にクッキリと建物が見え出す.バルムのコルに建っている山小屋である.もう,道に迷うことはない.
 私は,クリストファさんの許可を得てから,山小屋まで自分の速度で登ることにする.何時も,丹沢の塔ノ岳に登るときのペースである.
 「ああ~・・気分が良い! この開放感! 何とも言えないね・・・」
 そう重いながら,自分勝手の速度で登れる嬉しさで一杯である.
 何時も,塔ノ岳詣でで,他のご常連さんに比較して,自分の足の弱さに情けない思いをしえいる私だが,平素,頻繁に登山をしていない方に比較すれば,それは速く登れるに決まっている.
 見る見るうちに,私とグループの皆さんの間が広がる.途中までクリストファさんも付いてきたが,結局,小屋に到着したときには,50メートルほどの間が空いている.

<バルムのコルの山小屋が見え出す>

■パルムのコルに到着
 12時26分,パルムのコル(Col de Baime,標高2191m)に建っている山小屋に到着する.1~2分遅れて,クリストファさんが到着する.
 「あんた,随分速く歩けるんだね・・驚いた!」
とクリストファさんが言う.私,照れる.塔ノ岳ご常連には,ハズカシイ.
 ほんの少しの間だったが,自分の速度で歩くことができたので,一応は満足する.
 5分ほどの間に,全員がパルムのコルに到着する.(なんだか,自慢話のようになってしまいマズイナ.)

<パルムのコルに到着>


<パルムのコルからの眺望;たった今,登ってきた道が良く見える>

<パルムのコルで休憩>

■まずは昼食

 パルムのコルは一面の草原である.立ち止まると少し寒い.風下で日当たりの良いところを選んで,昼食となる.
 例によって,クリストファさんが音頭を取って,沢山の食材を並べる.一同車座になって食事を楽しむ.
 パン,リンゴ,ヨーグルト,すもも,ゆで卵,各種のチーズなどの健康食である.
 私たちより後に到着した日本人グループも,私たちから少し離れたところに陣取って,昼食を開始する.

<みんなで楽しく昼食だ;気分最高>


<昼食のメニュー;あんパンが内のが惜しい!>

■クリストファさんと雑談
 食事中に,クリストファさんが,私に話しかける.
 「・・モンブランに登ったことがあるんだって・・?」
 「ええ,もう5~6年前のことですよ.そのときからツールドモンブランをやりたかったんです・・・」
 「他にどこか行ったところがあるの・・?」
 「モンブランに登った後,メンヒとユングフラウに登ったけど,モンブランよりきつかったし,怖かったよ・・」
 たまたま日記帳の間に,ユングフラウに登ったとき,途中のロータルザッテルの氷壁を登っているところを画いた絵をはがきにしたものを持っていたので,1枚差し上げる.
 暫くすると,隣の日本人グループの現地ガイドが,クリストファさんと一緒に私の所に来る.
 「この人が,オレが貰った絵を画いたんだよ.」
と私を紹介する.どうやら,私の絵を見せびらかしたようだ.
 「へえ~・・・あんた凄いね.アルピニストだよ」
と妙なほめ方をする.彼はトレッキングのガイドをしているが,モンブランには登ったことがないという.
 もっとも,私も自分で登ったのではなく,ガイドとザイルで結ばれて登ったのだから,正確に言えば,“連れて行って貰った”というのが正しいだろう.
 でも,まあ,たまたま持っていた自分の絵のハガキが,お話をする切っ掛けになったのだから,やっぱり絵も良いものだなとつくづく思う.

<ユングフラウに登る途中のロータルザッテル氷河;201鎌倉美術協会公募展入選作品(20号)>


 ※私がクリストファさんに差し上げた絵.はがき大に印刷したもの2枚.
    この絵のおかげで,見ず知らずの現地ガイドと楽しい会話ができた.

■山小屋でコーヒー
 出発までまだ時間がある.
 数名の仲間が山小屋でコーヒーを飲むという.数分後,私もコーヒーが飲みたくなり,小屋に入る.仲間達は,客室の片隅で,コーヒーを飲んでいる.
 カウンターには,魔法使いを彷彿とさせる出で立ちの老婆が居る.
 なにやら,コーヒー代を支払った支払わないでもめている.
 「ちゃんと支払ったのに,忘れているんです・・」
と仲間達があきれている.
 「コーヒーを受け取るまで,料金を支払ったらダメよ.ちゃんとコーヒーと引き替えに支払わないと,もめますよ・・」
と注意される.
 私も,言われるとおりにCOD(キャッシュオンデリバリー)でコーヒーを受け取る.
 「それにしても,ツッケンドンなオバサンだよ・・・」
 日本で,笑顔のサービスに馴れている私には,このツッケンドンさには,憤りすら感じるが,そこはそれぞれのお国柄.一旅行者の私がとやかく言う問題ではない.
 でも,コーヒーは美味しかった.それに,テーブルクロスや器もなかなか洒落ている.
 13時45分,クリストファさんが
 「そろそろ,出発しましょう・・」
と私たちに合図する.

<バルムのコルのコーヒー>

                                     (つづく)

「ツールドモンブラン」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/8da94eb2fbbf8d4204124c40568563f2
「ツールドモンブラン」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/1ade3296fe34ad053d7a1b0e98d93161
「ツールドモンブラン」の索引
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/4a4c5fb759853b8b140c4d3944095d8c
「ツールドモンブラン」の目次
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/4a4c5fb759853b8b140c4d3944095d8c


        ********************

[編集後記]

2011年10月21日(金)
 曇

 朝からドンヨリと曇っている.
 肝心の明日,明後日は雨だという.雨の週末には親戚に用事があって出掛けなければならない.そういえば,今週末は私が所属しているARENAの定例会の日でもある.折角の定例会が雨では気の毒だが,こればかりは天の采配なので,致し方ない.
 ここ数日,来月中旬に歩く予定の五十三次洛遊会主催中仙道六十九宿巡りの資料作りに没頭してきた.それが,漸く,今朝明け方,4時に完成した.本当に“やっとこさっとこ”ここまで漕ぎ着けた.まずはホッとする.ここまで来れば,後は見直しをしながら加除修正をするだけである.まあ,今度の週末は雨なので.じっくり腰を据えて見直し作業をすれば,何とか完成するだろう.
 私は軽い脱力感を味わいながら,午後からコーヒーを飲む目的だけで,大船までブラブラと出掛けた.どこのコーヒーを賞味しようかなと迷ったが,結局,駅ビル1階のドトールに入り込む.目を瞑ったまま,1杯200円也のコーヒーをユックリと味わう.正に至福の時である.
 雑務を一山越えたときの安堵感,脱力感,イライラの残渣,そんな雑多をブレンドしたコーヒーの味は,なんとも苦いが,それが美味しい.
 でも,来月中頃までに,水彩画を2枚描きたいなと思っている.だれかに強制されているわけではないが,私は是非やり終えたいと思っている・・・が,絵ばかりは,本当にその気にならないと,なかなか絵筆を取る気にならないので困っている.
 まあ,そんなこんなの没頭しなければならない作業があったために,今日はブログ記事を登録するのが,随分と遅くなってしまった.でも,まあ,いいさ.
 とにかく,元気で,今日一日が過ごせたんだから・・・
                               (愚痴おわり)
 



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