<未整理の駅弁の包み紙>
閑話休題;駅弁回顧録;プロローグ
2012年8月17日(金)
昨日来,孫達が我が家に来ていたが,それぞれが帰宅すると,何となくホッとした時間になる.折角の時間だから,暫く振りに,少しは自分の部屋の掃除をしようかと思いたつ.
もう,私は,何時,お迎えが来てもおかしくない年齢になっている.この辺りで,ゴチャゴチャと放置してきた積年の垢のような雑物の整理をしなければいけないなと,常日頃思い続けてきた.
そこで,今日は,未整理の雑物が入れっぱなしになっている大きな段ボールを,それこそ十数年ぶりに開けてみる.これは正にタイムスリップの旅に出掛けるようなものである.
段ボールの中には,未整理のままの現役時代の書類,給与明細書,写真ネガの束,机の肱出汁に入っていた文房具類をそのまま封筒に放り込んだものなど,実に多種多様な雑物がドッサリ入っている.
これらの雑物は,十数年も段ボールの中に入ったままで,その間,一度も使ったり見開きしたことがなかったので,現実の生活を維持するには全く無用の長物ということになる.従って,今流行し始めている簡素な生活をするためには,黙って棄ててしまうのが当然の“余計なもの”であろう.いわば私の血管にへばり付いているコレステロールのようなものであろう.
私は段ボールの中の雑物を極力捨て去ろうと思うが,給与明細書,写真ネガの束,それに今回のブログの主題にしようと考えている駅弁の紙包みの束だけは,棄てるに棄てられず.残しておくことにする.
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さて,今回,私がこのブログに記録として残しておきたいのは,冒頭の写真のように,今は未整理のまま袋に入っていた駅弁の紙包みである.
この紙袋の中には,おびただしい数・・・多分200~300枚の駅弁の紙包みが雑然と入って居る.そう・・・若い頃,私は各駅停車の列車の旅が大好きであった.そして,食事は旅行先々で売っている駅弁で済ませることが多かった.それもその駅で売っている一番安い駅弁で・・・
今手許にある駅弁の包み紙の大半は,昭和40~50年代のもので,遠く北海道から九州にまで及んでいる.ただ,大きな袋の中に雑然と放り込んであるだけなので,全くの未整理のままである,かといって,今すぐこれらを整理する気力もないが,取りあえずは,こららを1枚1枚,このブログでランダムに取り上げて,当時のことを想起してみたいなと思っている.
…で,こんかいをプロローグとして,少しずつ投稿を続けていきたいと思っている.
たかが駅弁の包み紙である.もともと食事が終われば入れ物と一緒に棄てられてしまうものだが,こんなものでも,これだけ集まればいささかの価値も付こうというものだ.とくに昭和の次代の香りが漂う代物に,私は限りない愛着を感じている.
そうそう,私が現役時代,台湾や韓国を訪れたとき,やっぱり駅弁の包み紙が欲しくて,駅弁を買った.でも,彼の地の駅弁には包み紙はなく,何の印刷もしていないボール紙の箱だけだった.ただ箱に食べ物が雑然と入っているという印象しか受けなかった.
さらに,ヨーロッパの某国の列車で購入した駅弁は紙袋の中にパン,チーズ,紙パックの飲み物がゴロゴロと入っているだけ.
私の乏しい経験では,弁当の入れ物や,中の食べ物の姿形や彩りを楽しみながら食べるのは日本の駅弁だけがもっている素晴しさだなと思っている.
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パラパラと駅弁の包み紙を見ていると,若い頃の旅のことを沸々と思い出す.
わざわざ駅弁欲しさに,故郷の信州から,遠回りして信越線,羽越線経由で仙台にでかけたこと.出張で青森に出掛けときに,本当は駅弁を買って夜行列車で帰りたかったのに,取引先から,是非一緒に夕食をしようと誘われ,断り切れなかった・・・あのとき,私は駅弁が趣味なので結構ですとは言えなかった.しかたなく青森駅で駅弁を買って,翌朝の朝食にした・・・そんなことも思い出す.
私は北陸本線,羽越本線沿いの駅弁が好物だった.というのは,どんなに安い弁当でも,一切れ入っている魚の焼き物が,私にはとても美味しく感じられたからである.
あるとき富山を訪れた.
帰りは駅弁を食べながら高山本線,中央本線,身延線,東海道本線を乗り継いで帰った.駅弁を味わいながらの高山本線の車窓は実に魅力的だった.当時の客車には冷房はなかったが,開け放した窓から,川の冷風が吹き込んでくる.すると突然トンネルに入る.グワー・・という車輪の反響と共にトンネル無いの強い風が窓から吹き込んでくる.トンネルを抜けると,今度は鉄橋下から河風が吹き込んでくる.こんな音と風のハーモニーが,駅弁の味をますます引き立てる・・・こんな旅の経験をしてしまうと,密閉箱に詰め込まれたまま,びゅ~ん・・・と新幹線で行く旅は,私にとって何とも味気ない寂しい旅に感じてならない.
(つづく)
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(今回が第1回なのでなし)
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