落武者の行方

09.02.02>>>迷走中?(since 04.09.13)

神奈川フィル第254回定期演奏会

2009-06-29 | music
6月27日、神奈川フィルハーモニー管弦楽団 第254回定期演奏会に行ってきました。

プログラムは、
武智由香「オーケストラのためのEaux Lumières Temps」横浜開港150周年記念委嘱作品[世界初演]
ハイドン「交響曲第100番ト長調"軍隊"」
ワーグナー「楽劇"トリスタンとイゾルデ"より前奏曲と愛の死」
ドビュッシー「交響詩"海"~3つの交響的素描~」

指揮は常任指揮者:金聖響。


武智さんの委嘱作品は非常にわかりやすい、「水 光 時間」というタイトル通りの世界を表現。
ただ、そこを普通に「綺麗な曲」で終わらせないのは現代の若手作曲家らしいと思いました。
最後のタムタムとか…11/3の「西行マンダラ」、気になります。

ハイドン、いいですね、ハイドン。
ハイドン。
生で聴いたのは初めてかも…
ハイドン素晴らしい。
こうやって、聴けば良さに出会えるからやめられない。

そして、まあとりあえず、武智さんの初演とあわせて当初の目的であった「海」。
いや…本当に…ドビュッシーってやっぱり天才…
最高の交響詩、海を表現した音楽ではなく、まさに海。
目から汗、3楽章コーダではさらに心拍数180↑。




若干失礼な書き方ですが、期待していたより、かなり良かったです、神奈川フィル。
多分2回目ですが、前回は記憶に無いほど前なので…。
艶っぽさとかはないけど、(残響時間とかの話もあると思いますが)音もかなり明快に聴かせてくれたし。
経営難打開策の一つとして金さんが呼ばれ(と何かに書いてあった)、金さん自身もそれを自覚したパフォーマンス。自らプレトークを行ったり、アンコールもさらっとやったり。
お客さんも女性がなんだか多い(笑。特に若い女性。仮にどういう理由でも良いことだと思う)
と同時に、常々口にしているピリオド奏法に相変わらずの拘りもみせ…(トークも大半はこれに関する話)。

以前と比較出来ないのでアレですが、状況は少しずつ変化してきているんじゃないでしょうかね。


チケットも、学生1000円ですよ。
こっそりとしてて、良く調べればでてくる学生席じゃなくて、堂々と「学生(B)1000円」です。
こうしたちょっとしたことで、お客はとりあえずは付いてくると思います。
逆もまた然り。

とりあえず、この感じなら聴きたいプログラムの時はまた行ってみようと思っています。

ヤン・ファーブル「寛容のオルギア」

2009-06-27 | art
SAITAMA ARTS THEATER | Jan Fabre"Orgy of Tolerance"



彩の国さいたま芸術劇場で6月26日~28日の日程で上演される、ヤン・ファーブルによる舞台「寛容のオルギア」の初日に行ってきました。

とりあえず、どんなことをしてもあの根本的なセンスの良さというのが舞台の質を確かに繋ぎとめているように思います。
衣装かっこよすぎだろ…まさに、アントワープな香りがします。


目まぐるしく変わるシーンやポジション、身体の様相がみせる統合失調症染みた、躁鬱気味の話は突飛に見えて笑えるが、全くそんなことはないのだ。

ほら、こないだも渋谷で、先日は新宿で、昨日も会場で、そして自分にも―――

観客や演者、さらにファーブル自身も含めて「くそくらえ」の苛烈なカリカチュアは、さてその先に何をみせようとしていたのか。
まさにその中に身をおいていると、なかなかわからなかったりするのだ。




ちなみに↓、8800円で会場で売ってましたね、見間違いじゃなきゃ。
国内としてはかなり良心的な値段。
余裕があるなら買いたかった…。

Jan Fabre: Homo Faber: Drawings, Performances, Photoworks, Films, Sculptures & Installations

Fonds Mercator

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亀井徹画集出版記念展「ヴァニタス」

2009-06-22 | art
Kinokuniya Gallery | Kamei Toru "VANITAS"

紀伊國屋画廊で6月23日まで開催されている、亀井徹画集出版記念展「ヴァニタス」です。


亀井さんの作品は松井冬子発、成山画廊経由で知り、ずっと気にしていたのですが、今回遂に初の画集が出版されるということで。
しかし普及版が6000円…。

と悩んでいたのですが、結局会場で紀伊國屋の思惑通りの御購入。
さらに亀井さんが在廊されてたので名前までいれてもらうという展開。

作品のタイトルが本当に示唆的。
世界観が1か所にフィックスしていそうに見えて、実はかなり多様で複雑に入り組んだ世界だと思う。

一度亀井さんの世界にふれてみては如何ですか??




亀井徹画集 ヴァニタス
亀井 徹
河出書房新社

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名和晃平「L_B_S」

2009-06-19 | art
Maison Hermès | Kohei Nawa"L_B_S"

そして前エントリーの続きでもありますが、そのまま幕内さんにはりつき、山口展の会場でお会いし幕内さんに紹介して頂いた日本画家:東園基昭さんの計3人で、本日6月19日~9月23日の会期でメゾン・エルメスにて開催される名和晃平「L_B_S」のオープニングレセプションに侵入してきました。

さすがエルメスのオープニング…。
セレブなかほり・・・。
実際に女優や物書き、デザイナー等有名人も何人かお見かけし…。


と全く話題がそれていますが、今回の名和展は3点。全て2009ということで新作ということで宜しいでしょうか。

リーフレットによると、
「この展覧会はCell(細胞・器)という概念を彫刻の方法論として展開した、3つのフェーズで構成される。」
とのことで、まず目にとびこんできたのが、"BEADS"。
バンビどころの騒ぎじゃない…巨大です。
これまでのPixCell BEADSシリーズをそのまま引き延ばしたようで、最初観たとき正直「…今更これすか…??」と思ったのですが、3点まとめて考えると納得。まだまだ継続してCellについての作品を制作しているということですね。
それにしても、このサイズになると本当に気持ち悪い。綺麗なのに気持ち悪い。今にもはじけそうな水疱にも見えて、あまりに危うく際どい一品。

お次は"SCUM"。
これは発砲ポリウレタンシリーズの新たな展開と言えるでしょうか。だが個人的にはいまいちピンとこない。
「インターネットで取り寄せ、PixCellになりえなかったモチーフで構成される彫刻群」とのことですが、まさにその通りの雰囲気で、その感じさえ狙っているのであれば別に良いのですが。

そして"LIQUID"。
シリコーンオイルから永遠にたちのぼる泡、泡、あわ、泡、アワ、…………
洗脳装置。
平面作品に近い感覚で面白いですが今後どうなっていくのかが気になります。


名和さんは、良い意味でウマいな、と改めて思いました。
見せ方を知っている、というか、何時何処でどのタイプのものを見せるべきかしっかり理解している気がします。
それもアーティストに必要とされる力ですよね。


そして上から観ていたら、スタッフのボーイさんが「カクテルです。」と…。
それがこれ↓
ピクセル…。
薬品に浸ったシリコンに見えて若干躊躇い(笑)

実際のお味はとても優しゅう御座いました。


(手タレは東園さんにお願いしました。有難う御座いました。)