古楽の小路

30余年住んだ杜の都から東京へ。両親の介護も終了、気が付けば高齢者に。介護される身になるまで音楽生活を楽しみたいものです

驚異的コンサート

2016-02-05 11:03:35 | ルネッサンス・バロック音楽
テナーの上、アルトの音域を持つカウンターテナー。
昔コバルスキーを聴いた時はカウンターテナーはまだ一般的でなく
怖いものみたさみたいな感じもあったがあれから20年、歌手も沢山
でて来て、ただ高い声がでるというだけでは勝負できなくなった。

昨日は武蔵野市民文化会館でイギリスのカウンターテナー、
イエスティン・デイヴィスとリュートのトーマス・ダンフォードを聴いた。
ダンフォードは3日の「古楽の楽しみ」でほんの少しだけ聴いたが
デイヴィスは全く初めて。チラシによればなんだか凄そうだったが、
武蔵野市民文化会館のチラシはいつも大げさなのであまり惑わされ
ないようにしよう、と前もって何も聴かないでダウランドにつられて
出かけた。



デイヴィスも素晴らしかったのだが、まだ若いダンフォードの
ピッタリ寄り添ったリュートが今まで聴いたことのないレベルで
驚いてしまった。リュートソロではまた更に類まれな才能を感じた。
このリュートの伴奏で歌う歌手はさぞ幸せだろう。

プログラムはダウランドがメインであとはロバート・ジョンソン、
トーマス・キャンピオン。この二人は聴く機会も多いが、ジョン・ダニエル
はエマ・カークビーのCDに一曲入っているのを聴いた事があるだけ。
今回は「悲しげな音の響き」という曲があった。これが半音階に
クロマティックという歌詞をのせてあり、バードにもこういう曲が
あったのを思い出した。

特に印象に残ったのは歌ではダウランド「暗闇に住まわせておくれ」
歌の最後に最初の歌詞が戻った所では思わず涙。歌詞を深く読み込み
表現する能力がビシビシ伝わって来た。声も無理のない発声で聴くほう
も楽な気持ちにさせられた。
リュートソロのダウランド「ダウランドはつねに悲しむ」も
素晴らしかった。弱音の美しさは喩えようもなく、生演奏ならでは
の醍醐味を味わった。

プログラム最後の「今こそ別れ」に続けて演奏されたのはエリック・クランプトン
の「Tears in Heaven」。同じ涙つながりとはいえ、「今こそ別れ」で
終わって欲しかったのが本心。2つめのアンコールはヘンデルのオラトリオ、
サウルからアリア。こちらも別の機会に聴きたかった。よくあることだが
アンコールでせっかくのプログラムの主旨がそれてしまうのが残念だ。

3月25日(金)「BSプレミアムクラシック倶楽部」早朝5時から55分
に放送される。リュートのダンフォードのソロ・コンサートは本日
予定されているが完売。
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