「白秋」に想ふ―辞世へ向けて

人生の第三ステージ「白秋」のなかで、最終ステージ「玄冬」へ向けての想いを、本やメディアに託して綴る。人生、これ逍遥なり。

『Reminiscence』≪in 憲法9条の会つくば≫

2008年10月10日 | Arts
『Reminiscence』(庄野真代・歌、ROPPONGI WAVE)≪in 憲法9条の会つくば≫
  庄野真代さんが大学(大学院)で再び学んでいることを新聞か雑誌で知ったのは、そんなに前のことではない。NPO法人「国境なき楽団」を立ち上げ、途上国の子どもたちに楽器を送る活動をしていることも知った。「庄野真代」といえば「飛んでイスタンブール」。当時大ヒットした曲は、いまでもそのメロディがしっかりと耳に残っている。しかしその後の庄野さんのことは何も知らなかった。庄野さんとはほとんど同世代だが、いまも歌を続けながらNPO活動をやり、国際協力などの勉学にも取り組んでいることを知ってとても嬉しくなった。急に身近な存在のようにも思えてきた。そんなとき「憲法9条の会つくば」のイベントを松本侑子さんのホームページで知った。松本さんの講演とダブルで歌やトークが聴ける! 行くしかない!
  何の装飾もないステージに庄野さんとギタリストの男性が登場し、やがて1曲目が始まった。やはり「飛んでイスタンブール」から。庄野さんの声の張りは当時と何の変りもない。リニューアルしたメロディはむかしよりやや抑え気味に感じた。抑制のあるメロディがいまの自分にはむしろ心地よい。2曲目は久保田早紀が歌った「異邦人」。70年代のころの自分がこころに浮かんでは消えた。3曲目は「中央フリーウェイ」。松任谷由実ではなくあくまで荒井由実の名曲。歌詞をまねて中央自動車道をこの曲を聴きながら走りたいと思ったものだった。その後オリジナルナンバー(?)が2曲続いた。4曲目の「風の道」のとき話された「風の吹いてくる道が見える」という話、ふとトポスのことを思った。最後は庄野さんと会場全員で「里の秋」、「紅葉(もみじ)」を合唱して終わった。華やかなところなど何もないが、会場の一人ひとりに小さな感動を残してくれたにちがいない。そんなステージだった。
  少し暖かくなったこころとともに会場を出て、庄野さんのニューアルバム『Reminiscence』を買った。70年代のニューミュージックと呼ばれた名曲のうち、女性シンガーのヒット曲をカバーしたアルバムだ。ステージで歌われた曲の他に「わかれうた」、「なごり雪」、「パープルタウン」、「迷い道」などなどが並ぶ。ラインナップを見ているだけで感涙ものだ。「reminiscence」とは「回想、回顧」といった意味だ。庄野さんはこのアルバムにふれて「ただ懐かしいだけでなく、新しさにも注目してほしい」と話していた。いまの立ち位置から過去を振り返るだけでなく、未来を見据えること。そんなことも語っていたように思う。松本侑子さん同様、伝えること、伝えていくことの重要性を庄野さんのメッセージからも読み取れるように思った。CDを買ってサインをしてもらうとき「私もこの歳になって大学院へ行っています」と言ったところ、「お互い頑張りましょう!」と庄野さんの方から握手をしてくれた。予想外に力強い握手だった。心暖かいだけでなく、力強いメッセージを直接受け取ったような気がした。平和を、人間を、地球を愛し、守っていこうとする人がここにもいる。そんな思いが何よりも励みになった。   

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