平安夢柔話

いらっしゃいませ(^^)
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真夜中の出来事 ~京都1泊旅行2006年春8

2006-05-09 00:00:00 | 旅の記録
 私が夜中に目が覚めるときは、「良い夢を見ているのに現実に引き戻されたくないというような感じで徐々に目が覚めていくか」、「夢にうなされて目が覚めるか」のどちらかです。つまり、目が覚める直前の夢はたいてい覚えています。覚えていなくても、「夢を見ていた」という感覚は必ずあります。
 ところが、この日の夜中(7日の早朝)は、突然目が覚めたのでした。夢を見ていたという感覚が全くなかったのです。よっぽど熟睡していたのでしょうね。「えー!もう朝なの?」と思って時計を見ると3時20分でした。「ああ、良かった!あと3時間眠れるー」と安心した私は再び眠ろうと思ったのですが、突然隣のベッドで寝ているだんなさんのことが気になったのでした。

 以前にも少し書いたことがありますが、私のだんなさんには糖尿病という持病があり、明け方に低血糖昏睡を起こしたことがありました。そのため、私は夜中に目が覚めるとだんなさんの様子を確かめるということがよくあります。そしてこの時も私は「何かおかしい!」と思ったのです。案の定、起こしてみるととても調子悪そうな様子なのです。

 だんなさんは、何年かに一回、低血糖昏睡で夜中にこんな感じになることがあります。そしてその何年かに1回が、まさか今夜だなんて……!

 ただ、このようになった場合は病院で点滴注射をしてもらえばすぐに回復することがわかっていましたので、躊躇はありませんでした。私は部屋を飛び出し、エレベーターで2階のフロントに急ぎました。部屋からまっすぐ行ったところがエレベーターだったという、分かり易い道順だったのは幸運だったと思います。フロントに着くとすぐ、救急車をお願いしました。京都には15回以上訪れていると言っても、一度も病院にかかったこともなく、病院がどこにあるかは全くわかりませんので…。

 しかし、救急車が来るまでの時間が長かったこと……。病院で注射を打ってもらえば治ることは頭ではわかっているものの、「もし手遅れになったらどうしよう…」と思うといてもたってもいられず、再び部屋を飛び出してフロントに急ぎました。今考えると私はかなり取り乱していたと思います。救急車を待っている間のことはあまりよく覚えていません…。多分5~10分くらい経った頃、救急隊員の方が部屋に入ってこられました。

 と言うわけで、救急車で病院に到着した私たちです。あらかじめ私が救急隊員の人に病状をお話ししてあったこともあり、病院ではすぐに処置をして下さいました。点滴注射を打ってもらうと15分くらいでだんなさんの症状が回復し、普通に会話ができるようになっていました。一安心です。

 私もようやく落ち着き、「あの、すみません、ここはいったいどのあたりなのでしょうか?」と尋ねてしまいました。お医者さんも看護士さんも、「おかしな質問をする人…」と思ったかもしれませんが。
「京都駅から東南の方向ですよ。」と看護士さんが答えたので、「ああ、山科あたりですね」と私は言いました。
 すると、「そこまでは行かないのですけれど…」と返事が返ってきました。そこで、近くにどんな名所があるか尋ねたところ、「三十三間堂」という答えが返ってきました。ああ、このあたりは後白河上皇の法住寺殿のあった所なのねと思いました。そして、このように歴史についての妄想ができるようになっただけ、私にも心の余裕が出てきたのだと、嬉しくなりました。

 ホテルに帰ったのは5時頃でした。タクシーがホテルに着いたとき、空が白々と明るくなっていることに気がつきました。
 歩いて帰ってきただんなさんを見て、ホテルのフロントの人はびっくりしたようでした。考えてみるとこの夜は、ホテルの従業員の方、救急隊員の方、病院の先生や看護士さんと、色々な方にお世話になりました。本当にありがとうございました。
 約2時間半後には、何もなかったようにホテルの食堂で朝食を食べている私とだんなさんがいました。

 今考えると、私がもし夜中に目が覚めなかったらどうなっていたかと思うと恐ろしくなります。しかも、私はあの夜、突然目が覚めたのですから…。初めの方でも書きましたが、目が覚める直前に夢を見ていたという感覚がないのです。まるであの時は、誰かが私を起こして下さったとしか思えません。それはいったい誰だったのでしょうか?神様?それとも敬愛する紫式部かも?京都に来ていたことですから、紫式部が起こして下さったのかもしれません。きっとそうに違いないと、私は今では思っているのです。
 そう言えば旦那さんは、一番低血糖昏睡が重かったとき(10年ほど前)、
真っ暗のぐるぐる回る世界の中で、信長が現れて「わしの方に来い」と招かれたそうです。信長を大好きな旦那さんは何の躊躇もなく、招かれるままに歩み寄ったそうです。すると周りがとても明るくなり、「おお、もう大丈夫だ」と言う男の声が聞こえ、次々にいろんな声と供にぼんやりと姿が見えてきたそうです。
旦那さんは「信長が俺を死の世界から連れ戻してくれた!」と、今でも信じています。私も、「大好きな紫式部が助けて下さった」と信じても良いですよね。


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