今回は、最近読んだ連作歴史ミステリーを紹介します。
☆七姫幻想
著者=森谷明子 発行=双葉社 税込み価格=1680円
☆本の内容紹介
寵姫の閨でなぜ大王は死んだのか――?遥か昔から罪の匂いをまとってきた美しい女たちがいる。時代を経てなお様々に伝わる織女伝説をモチーフに、和歌を絡めながら描く七編の連作ミステリー。鮎川哲也賞受賞作『千年の黙』で注目を浴びた作家の最傑作。
*図書館で借りた本なので画像はありません。ご了承下さい。
以前、紹介文にもあります同じ著者の「千年の黙 異本源氏物語」(こちらの記事で少し紹介しています)を読んだことがあり、とても面白かったので、図書館でこの本を借りてみました。こちらの本もストーリーが面白く、すっかり引き込まれてしまいました。しかも読みやすい文章だったのであっという間に読み終えてしまいました。
この「七姫幻想」は、七夕の七姫(織姫の別名。朝顔姫(あさがおひめ)・梶の葉姫(かじのはひめ)・糸織姫(いとおりひめ)・蜘蛛姫(ささがにひめ)・秋去姫(あきさりひめ)・薫物姫(たきものひめ)・百子姫(ももこひめ)の七姫をモチーフにした姫たちを主人公にした歴史ミステリーです。吉野の奥でひっそり暮らし、機織りを職業としていたある一族の女性たちと、その女性たちに関わった人たちの古代から江戸時代にわたる歴史が、七編の連作小説によって語られます。
この小説はフィクションという色の濃い物語だと思いますが、歴史上の人物や史実もところどころに登場するので、歴史好きにとってはたまりません。登場する歴史上の人物は、兄弟で愛し合った軽皇子と軽郎女、万葉歌人の大伴家持、清少納言の父の清原元輔、後朱雀天皇女御の藤原生子など……、ね、ちょっとわくわくしませんか?
特に私が心引かれたのは、四番目に収められている「朝顔斎王」という話でした。なんとこの話、娟子内親王と源俊房のお話なんですよ!それで、簡単にあらすじを書いてみますね。
この話の時代設定は、娟子内親王が斎院を退下してから数年経った頃だと思われます。
閑院での暮らしが息苦しくなった娟子内親王は、下鴨神社近くの離宮に移り住むのですが、動物の死骸を投げ込まれたり、庭の朝顔の花を折られたり、あげくの果てに離宮を放火されてしまいます。
そんな娟子内親王を身を挺して守ったのが、幼なじみの源俊房と、女房の少納言でした。では、娟子内親王に嫌がらせをしているのはいったい誰?物語のラストで証される事件の思いがけない真相には驚かされます。そして、少納言によって娟子内親王が気づかされる真実の愛には感動させられました。独立した1編の物語として読んでも読み応えがあると思います。この「朝顔斎王」、ネット上の書評でもとても評判が良かったです。
この他の話も、悲恋あり、ちょっとオカルトっぽいものありとなかなか味わい深かったです。皇子を生むことを強いられた後宮女性たちの悲哀も感じられて切なくもありますが…。基本的にはどの話もミステリーですので、謎解きの面白さもあります。お互いの話に関連性もありますので、それを楽しむのも一興ではないでしょうか。お薦めです。
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☆七姫幻想
著者=森谷明子 発行=双葉社 税込み価格=1680円
☆本の内容紹介
寵姫の閨でなぜ大王は死んだのか――?遥か昔から罪の匂いをまとってきた美しい女たちがいる。時代を経てなお様々に伝わる織女伝説をモチーフに、和歌を絡めながら描く七編の連作ミステリー。鮎川哲也賞受賞作『千年の黙』で注目を浴びた作家の最傑作。
*図書館で借りた本なので画像はありません。ご了承下さい。
以前、紹介文にもあります同じ著者の「千年の黙 異本源氏物語」(こちらの記事で少し紹介しています)を読んだことがあり、とても面白かったので、図書館でこの本を借りてみました。こちらの本もストーリーが面白く、すっかり引き込まれてしまいました。しかも読みやすい文章だったのであっという間に読み終えてしまいました。
この「七姫幻想」は、七夕の七姫(織姫の別名。朝顔姫(あさがおひめ)・梶の葉姫(かじのはひめ)・糸織姫(いとおりひめ)・蜘蛛姫(ささがにひめ)・秋去姫(あきさりひめ)・薫物姫(たきものひめ)・百子姫(ももこひめ)の七姫をモチーフにした姫たちを主人公にした歴史ミステリーです。吉野の奥でひっそり暮らし、機織りを職業としていたある一族の女性たちと、その女性たちに関わった人たちの古代から江戸時代にわたる歴史が、七編の連作小説によって語られます。
この小説はフィクションという色の濃い物語だと思いますが、歴史上の人物や史実もところどころに登場するので、歴史好きにとってはたまりません。登場する歴史上の人物は、兄弟で愛し合った軽皇子と軽郎女、万葉歌人の大伴家持、清少納言の父の清原元輔、後朱雀天皇女御の藤原生子など……、ね、ちょっとわくわくしませんか?
特に私が心引かれたのは、四番目に収められている「朝顔斎王」という話でした。なんとこの話、娟子内親王と源俊房のお話なんですよ!それで、簡単にあらすじを書いてみますね。
この話の時代設定は、娟子内親王が斎院を退下してから数年経った頃だと思われます。
閑院での暮らしが息苦しくなった娟子内親王は、下鴨神社近くの離宮に移り住むのですが、動物の死骸を投げ込まれたり、庭の朝顔の花を折られたり、あげくの果てに離宮を放火されてしまいます。
そんな娟子内親王を身を挺して守ったのが、幼なじみの源俊房と、女房の少納言でした。では、娟子内親王に嫌がらせをしているのはいったい誰?物語のラストで証される事件の思いがけない真相には驚かされます。そして、少納言によって娟子内親王が気づかされる真実の愛には感動させられました。独立した1編の物語として読んでも読み応えがあると思います。この「朝顔斎王」、ネット上の書評でもとても評判が良かったです。
この他の話も、悲恋あり、ちょっとオカルトっぽいものありとなかなか味わい深かったです。皇子を生むことを強いられた後宮女性たちの悲哀も感じられて切なくもありますが…。基本的にはどの話もミステリーですので、謎解きの面白さもあります。お互いの話に関連性もありますので、それを楽しむのも一興ではないでしょうか。お薦めです。
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