桃井章の待ち待ち日記

店に訪れる珍客、賓客、酔客…の人物描写を
桃井章の身辺雑記と共にアップします。

2006・5・3

2006年05月04日 | Weblog
午後から『ハナミズキの有る家』に使う映像を撮る為、光が丘公園へ。ハナミズキが今が盛りと咲き誇っている。光が丘には四年ぶり。六本木から大江戸線で35分かかるこの街に住んでいたことがある。撮影しながら当時のことが甦る。店を三時過ぎまでやって、仮眠した後、五時の始発電車で(接続が悪い為)一時間かかってこの街まで帰って(途中は当然居眠り)、出勤するサラリーマンたちと入れ違うように団地の一室で眠る。そして夕方になると今度は帰宅するサラリーマンたちと反対に店へ出かけていく。そんな生活を一年半程続けて、さすがにヘトヘトになって、広尾近くに引っ越した。あの光が丘での生活は俺の人生の中で何かエアポケットみたいな時期だ。人を部屋に引き入れたり、休日に呼ばれればフットワークよく出かけていく俺なのに、あの光が丘にいる時は、都心から離れている為か、引き入れる機会もなく、呼ばれることも少なかったから、俺にしては珍しく孤独を感じていた。でも、今考えるとそれもよかった。孤独が似合わない俺にこの街は初めての体験を与えてくれた気がする。多分もう一生の内にこの街を訪れることはないだろうと思いつつ、俺は光が丘を後にした。