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プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

アメリカを悦ばせる前原代表発言

2005-12-11 17:26:01 | 政治経済
民主党・前原代表のアメリカでの発言が波紋をよんでいます。12月11日付「朝日新聞」は社説でいつになく厳しい口調で、「前原代表は、民主党をどこへ導こうとしているのか。耳を疑う発言が米国発で届いた」と厳しく批判しました。そして、「日米同盟は何より大事。中国には毅然と対する。だから民主党が政権をとっても自民党と変わりませんよ、心配はいりません。そう米国に言いたかったのだろうか。ならば、自民党政権のままでいいではないか」と結論付けています。
民主党の前原代表が訪米先で行った講演は、自民党国防族と変わらないタカ派の前原氏の持論を色濃く反映したものとはいえ、党の外交政策と位置づけられているだけに重大です。
前原氏は講演で、中東からの原油輸送ルートなどを対象とするシーレーン(海上交通路)の防衛について「一千カイリ以遠をアメリカに頼っているが、日本も責任を負うべきだ」と述べ、そのために集団的自衛権を行使できるよう憲法改正を認める方向で検討すべきだと主張しました。前原氏は九月の代表就任の会見で「私の従来の意見は(憲法)九条第二項を削除して自衛権を明記するものだ」と述べ、党内の改憲論議の加速を指示してきました。代表就任後初の訪米で前原氏は、その立場をさらに明確にし、憲法九条の「歯止め」を取り払い、海外での武力行使に道を開くメッセージを米国に送ったのです。さらに、前原代表は、「日米同盟の進化を推進」とまで踏み込み、中国について「経済的にも軍事的にもいっそう力をつけてきている状況が出現している。これは現実的脅威だ」と“中国脅威論”まで展開してみせました。中国が東シナ海で進めるガス田開発には「きぜんとした対応が重要だ」と敵対的対応を求めています。東アジアサミットでは「米国は排除されるべきではない。米国抜きでアジア経済の発展はありえない」と米国の参加を促しています。焦点の米軍再編問題では、政治のリーダーシップで、日米安保再定義が必要だとし、いっそう密接に米軍再編の機能強化を求めています。
自民党に対し、外交政策の対立軸を示すのではなく、自民党と競い合っていっそう米国に寄り添う前原代表発言に米国政府はさぞかし満足したことでしょう。しかし、前原代表の講演内容は、米軍基地の再編・強化にたいして全国でわきおこる自治体・住民の批判の声に逆らうだけでなく、アジア諸国が警戒している自衛隊の海外派兵を拡大する点で、日本国民やアジアの人々との間に大きな矛盾を抱え込むことになりました。自民党と民主党の今後の対米従属の競い合いに目が離せません。


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