大雨の翌日、空母キティーホークの艦尾では、大問題が発生していた。
「おぉおお!沈んじゃってんよぉ!うひょひょひょ、凄いね木田さん!」
ハルが岸壁から、キティホークの艦尾を覗き込んでいる。
「おおおー!これは、これは…」
その海面には、確かに昨日まであったはずの全長二十メートル以上あるバージ船が無くなっていた。
「ここ、確かバージ船が二隻並んで置いてありましたよね」
ノリオもカピバラ似のびっくり顔で、海面を覗き込む。
沈没したバージ船は、足場用資材の余った物や、予備の吸い込みポンプなどが置かれていた、比較的使用頻度の少ない船だった。海面には、バージ船に載せてあった角材や合板が浮いていて、S社の小船が回収作業に当たっていた。
「でも足場の載った船は無事で良かったですよね」
ノリオの言う通り、足場の載った船が沈んでいたら、洒落にもならない。
海中からは、そのバージ船の物と思われる空気の泡が、ボコボコと上がって来ている。
「木田さん、これ、どうすんのかな?」
ハルが興味本位でニコニコとしている。
「素潜りが得意な人が潜って、ロープを引っ掛けて、みんなで岸壁から引くんじゃないの?素潜りって言ったら、ハルさんの出番でしょう」
「うひゃひゃひゃひゃ!」
ハルが爆笑する。
「ロープで引けば上がるんですか?」
ノリオが半信半疑で訊いて来る。
「ノリ子、こんな巨大な鉄の塊が、人間の力で上がる訳無いだろぅ!?」
「いくらなんでも、そうですよねぇ…」
ハルに突っ込まれ、ノリオは馬鹿な質問をしたと思っているのか、苦笑いをしている。
「まあ、普通に考えたらサルベージしかないですよね」
そこへ、完全に困った顔のS社の責任者、伊沢がやって来た。
「伊沢さん、お早うございます」
「ああ、お早う…」
「これ、サルベージするんですよね?」
「今検討中だから…。しかし参ったなぁ、本当に参ったよ…」
伊沢は熊の様に岸壁をウロウロしながら、状況の把握に努めている。
「うひゃひゃひゃひゃ!木田さん、あれは相当困ってるね」
「伊沢さんのこと?」
ハルがバージ船を伝って、艦尾に移動した伊沢を見て笑っている。
「伊沢さんは、あんまり困っちゃうと、熊みたいにウロウロしちゃうからね」
ハルの言う通り、伊沢は足場の載ったバージ船の上で、ウロウロウロウロと歩き回っている。歩いては海中を覗き込み、また歩いている。
「あの様子だと、本気で困ってるよね。ま、この状況になったら、俺も一瞬パニックなっちゃうかも知れないなぁ。しかもサルベージしないと、艦が出港出来ないしねぇ」
「うひゃひゃひゃひゃ!多分このままじゃ済まないよぉ、S社は」
「どういう意味?」
「こういう時は、昔から何か色々とやっちゃうからねぇ」
ハルはS社での色々な経験を思い出しているのか、複雑な顔をしながら笑っていた。
午後、岸壁にはサルベージ業者のダイバーが二人、沈んだバージ船の状況を確認する為に潜り始めた。
「おお、準備してるねぇ、サルベージの!」
私は、フライトデッキの上から、興味津々と、ダイバーたちの作業を見守っていた。
「おぉおお!沈んじゃってんよぉ!うひょひょひょ、凄いね木田さん!」
ハルが岸壁から、キティホークの艦尾を覗き込んでいる。
「おおおー!これは、これは…」
その海面には、確かに昨日まであったはずの全長二十メートル以上あるバージ船が無くなっていた。
「ここ、確かバージ船が二隻並んで置いてありましたよね」
ノリオもカピバラ似のびっくり顔で、海面を覗き込む。
沈没したバージ船は、足場用資材の余った物や、予備の吸い込みポンプなどが置かれていた、比較的使用頻度の少ない船だった。海面には、バージ船に載せてあった角材や合板が浮いていて、S社の小船が回収作業に当たっていた。
「でも足場の載った船は無事で良かったですよね」
ノリオの言う通り、足場の載った船が沈んでいたら、洒落にもならない。
海中からは、そのバージ船の物と思われる空気の泡が、ボコボコと上がって来ている。
「木田さん、これ、どうすんのかな?」
ハルが興味本位でニコニコとしている。
「素潜りが得意な人が潜って、ロープを引っ掛けて、みんなで岸壁から引くんじゃないの?素潜りって言ったら、ハルさんの出番でしょう」
「うひゃひゃひゃひゃ!」
ハルが爆笑する。
「ロープで引けば上がるんですか?」
ノリオが半信半疑で訊いて来る。
「ノリ子、こんな巨大な鉄の塊が、人間の力で上がる訳無いだろぅ!?」
「いくらなんでも、そうですよねぇ…」
ハルに突っ込まれ、ノリオは馬鹿な質問をしたと思っているのか、苦笑いをしている。
「まあ、普通に考えたらサルベージしかないですよね」
そこへ、完全に困った顔のS社の責任者、伊沢がやって来た。
「伊沢さん、お早うございます」
「ああ、お早う…」
「これ、サルベージするんですよね?」
「今検討中だから…。しかし参ったなぁ、本当に参ったよ…」
伊沢は熊の様に岸壁をウロウロしながら、状況の把握に努めている。
「うひゃひゃひゃひゃ!木田さん、あれは相当困ってるね」
「伊沢さんのこと?」
ハルがバージ船を伝って、艦尾に移動した伊沢を見て笑っている。
「伊沢さんは、あんまり困っちゃうと、熊みたいにウロウロしちゃうからね」
ハルの言う通り、伊沢は足場の載ったバージ船の上で、ウロウロウロウロと歩き回っている。歩いては海中を覗き込み、また歩いている。
「あの様子だと、本気で困ってるよね。ま、この状況になったら、俺も一瞬パニックなっちゃうかも知れないなぁ。しかもサルベージしないと、艦が出港出来ないしねぇ」
「うひゃひゃひゃひゃ!多分このままじゃ済まないよぉ、S社は」
「どういう意味?」
「こういう時は、昔から何か色々とやっちゃうからねぇ」
ハルはS社での色々な経験を思い出しているのか、複雑な顔をしながら笑っていた。
午後、岸壁にはサルベージ業者のダイバーが二人、沈んだバージ船の状況を確認する為に潜り始めた。
「おお、準備してるねぇ、サルベージの!」
私は、フライトデッキの上から、興味津々と、ダイバーたちの作業を見守っていた。
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