くすんだ海、灰色の空、肌に纏わりつく湿った風。
朝一の空母の甲板の上で、幸四郎は作業員全員に無情な一言を発していた。
「さ、段取り換えをすんべぇ!」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
甲板上のS社の職人全員の動きが止まる。
「どこをやるんすか!?」
「昨日プライマー(下塗り塗料)を塗った場所だおぉ」
「マジっすか?」
「早くホースを全部縁切りして!」
幸四郎はS社の職人に指示を出す。
「ってことなんで、悪いけど段取り換えをしてもらえる?」
R社の作業用コンテナに歩いて来た幸四郎の言葉を聞いて、ハルが笑いながら突っ掛かる。
「段取り換え?もしかして昨日プライマーを塗った場所?」
「うん、そう、塗る直前に雨が降ったでしょ」
「…降ったって言っても、ほんのちょっとだおぉ」
「うん、鉄板に落ちた雨粒の数を、数えられるくらいの雨ですよね」
私もハルに便乗して、幸四郎に疑問を呈する。
「それがダメらしいよ…」
「マジで?」
「うん、ほんのちょっとでも雨粒が落ちたら、全部やり直しだって」
「このキャット(剥離ロボット)四台でやった広大なエリアを?」
「そう、全部リブラ(Reブラスト)だって」
「・・・」
私は深いため息を吐き、様子を伺っていた須藤と堂本に、段取り換えの指示を出した。
「本当によぉ?まだこっちも終わってないじゃんねぇ」
ハルがブツブツと言う。確かにやりかけの施行エリアは、まだ半分しかノンスキッド塗装(飛行甲板のすべり止め塗装)の剥離が終わっていない。
「木田さん、今日は夕方から雨が降るって予報でしたけど…」
微妙に仕事がしたくないのか、須藤が今日の天気情報を提供する。
「雨が降ろうが何だろうが、とりあえずプライマーを剥がすんですよね」
「うん、そう」
私の問いに、幸四郎が即答する。
「雨が降るのに剥がすんですか?でも塗れませんよね」
須藤の言うことも一理ある。
「うん、プライマーを剥がしておいた方が、リブラが速いからね」
幸四郎の答えには一切の迷いが無かった。
我々は5tのフォークリフトで段取り換えをすると、昨日塗られたクリーム色のプライマーを全部剥がし、今にも雨が降りそうな空母の甲板を後にした。
朝一の空母の甲板の上で、幸四郎は作業員全員に無情な一言を発していた。
「さ、段取り換えをすんべぇ!」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
甲板上のS社の職人全員の動きが止まる。
「どこをやるんすか!?」
「昨日プライマー(下塗り塗料)を塗った場所だおぉ」
「マジっすか?」
「早くホースを全部縁切りして!」
幸四郎はS社の職人に指示を出す。
「ってことなんで、悪いけど段取り換えをしてもらえる?」
R社の作業用コンテナに歩いて来た幸四郎の言葉を聞いて、ハルが笑いながら突っ掛かる。
「段取り換え?もしかして昨日プライマーを塗った場所?」
「うん、そう、塗る直前に雨が降ったでしょ」
「…降ったって言っても、ほんのちょっとだおぉ」
「うん、鉄板に落ちた雨粒の数を、数えられるくらいの雨ですよね」
私もハルに便乗して、幸四郎に疑問を呈する。
「それがダメらしいよ…」
「マジで?」
「うん、ほんのちょっとでも雨粒が落ちたら、全部やり直しだって」
「このキャット(剥離ロボット)四台でやった広大なエリアを?」
「そう、全部リブラ(Reブラスト)だって」
「・・・」
私は深いため息を吐き、様子を伺っていた須藤と堂本に、段取り換えの指示を出した。
「本当によぉ?まだこっちも終わってないじゃんねぇ」
ハルがブツブツと言う。確かにやりかけの施行エリアは、まだ半分しかノンスキッド塗装(飛行甲板のすべり止め塗装)の剥離が終わっていない。
「木田さん、今日は夕方から雨が降るって予報でしたけど…」
微妙に仕事がしたくないのか、須藤が今日の天気情報を提供する。
「雨が降ろうが何だろうが、とりあえずプライマーを剥がすんですよね」
「うん、そう」
私の問いに、幸四郎が即答する。
「雨が降るのに剥がすんですか?でも塗れませんよね」
須藤の言うことも一理ある。
「うん、プライマーを剥がしておいた方が、リブラが速いからね」
幸四郎の答えには一切の迷いが無かった。
我々は5tのフォークリフトで段取り換えをすると、昨日塗られたクリーム色のプライマーを全部剥がし、今にも雨が降りそうな空母の甲板を後にした。
そして、
「どぅーゆぁ~べすとの精神で頑張ったので、ご馳走して下さい!」
と言って、石橋大先輩の店に行って、スキヤキをご馳走になりたいです。
会計の時には走って逃げますけど…。
あの頃のマキの咀嚼メニューと言えば、学生生活に残る至極の一品だと思われ、きっとグルメな(死語だな、笑)カミヤミ雄山先生も満足されたことでしょう。
それからカミヤミ先生は勘違いをされておられるようですが、私はチュヂュメさんが湿った手で愛される様になってからは、一度もお会いしたことがありません。
ま、チュヂュメさん本人に、
「このろくでなし!」
と言われるのは納得ですが…。
私の記憶に残っているのは、○○○と女子トイレ(何でだ?)でキスをして、外に出たところを△△に、
「今、何をしていたの?」
って睨まれたことです。
いや、カミヤミさんの頑張りは、先輩として評価してましたよ、たぶん…(笑)