台風上陸予定日、外は不気味なほどの快晴だった。
S社から与えられたその日の予定は、『休日』だ。
なんだかすっかり気持ちがダレてしまった私は、昼前までホテルでゴロゴロしていると、ふいに思い立って外に出掛けた。
昨夜、多少の雨が降ったせいか、ムワっとした湿気がアスファルトの隙間から上がって来る。
ホテルから程近い、ほとんど毎日立ち寄るうどん屋に入り、『天ぷらうどん・生卵&とろろ昆布入り』を完食する。いつもは「第一回夕食の部」としてこのうどんを食すので、どことなく違和感を感じてしまう。ちなみに私の夕食は二部制となっており、ホテルに戻って入浴を終えると、「第二回夕食の部」として、再び外食をするのが定番だ。
駅前の商店街をふらつき、『どぶ板通り』と呼ばれる商店街を通り抜けると、幹線道路沿いに、大きなショッピングモールが現れる。
私はその中のシネコンを目指すと、一人で映画を観始めた。
午後七時過ぎ、合計三本の映画を観終わる。
午後七時三十分、ショッピングモールの中でハンバーガーを食べ、再び駅の方へフラフラと歩き出す。
午後七時四十分、S社の伊沢の携帯に連絡を入れる。
「伊沢さん、明日は?」
「ああ、休んでて」
「でも台風は通り過ぎましたよね」
「明日は足場を乗せたバージ船を元に戻すから、来てもらっても仕事は無いよ。だって足場が無かったら仕事にならないでしょ」
「分かりました…」
午後八時五分、何故かホテルを通り過ぎ、そして何を血迷ったのか、気が付くと身長180センチ近いホルスタインの様なニューハーフが隣に座る店で、酒を呑んでいる事に気付く。
「ねぇ、私凄いのよぉ~」
ホルスタインが私の太股を触って来る。
「へぇ~、何が?」
「フェラが」
「ふーん」
「お店が終わるまで居てくれる?」
「うーん、無理」
「居てくれたら、凄いのをしてあげるからネ!」
「ふーん、凄いのって?」
「フェラよ!」
「ふーん…」
午後九時十分、ニューハーフの店を出て、ホテルに戻ろうとする。
午後九時二十分、自分が泊まっているホテルの目の前で、中国人女にマッサージを勧められる。
午後九時三十分、古びた雑居ビルの二階で、マッサージ用ベッドに寝転ぶ。
私は薄暗い店内で、恐らくは交換されていないであろう、饐えたバスタオルの上に寝転び、ボーっと窓の外を眺めていた。冷房代の節約の為なのか、いかがわしい店にも関わらず、窓が全開だ。
気が付くと、窓の向こうにあるのは、自分が泊まっているビジネスホテルであり、そして向かいの窓は自分が泊まっている部屋の窓だ。
「おれ、あそこに泊まってるんだ…」
そのことを認識すると、何故か自分を客観的に見ている様な気分になり、私は小さくクスクスと笑った。
「何がオカシイのデスカ?」
中国人がたどたどしい日本語で聞いて来る。
「うん?何でもないよ…」
私はいつまでも窓の外を見ながら、中国人のサービスに身を任せていた。
S社から与えられたその日の予定は、『休日』だ。
なんだかすっかり気持ちがダレてしまった私は、昼前までホテルでゴロゴロしていると、ふいに思い立って外に出掛けた。
昨夜、多少の雨が降ったせいか、ムワっとした湿気がアスファルトの隙間から上がって来る。
ホテルから程近い、ほとんど毎日立ち寄るうどん屋に入り、『天ぷらうどん・生卵&とろろ昆布入り』を完食する。いつもは「第一回夕食の部」としてこのうどんを食すので、どことなく違和感を感じてしまう。ちなみに私の夕食は二部制となっており、ホテルに戻って入浴を終えると、「第二回夕食の部」として、再び外食をするのが定番だ。
駅前の商店街をふらつき、『どぶ板通り』と呼ばれる商店街を通り抜けると、幹線道路沿いに、大きなショッピングモールが現れる。
私はその中のシネコンを目指すと、一人で映画を観始めた。
午後七時過ぎ、合計三本の映画を観終わる。
午後七時三十分、ショッピングモールの中でハンバーガーを食べ、再び駅の方へフラフラと歩き出す。
午後七時四十分、S社の伊沢の携帯に連絡を入れる。
「伊沢さん、明日は?」
「ああ、休んでて」
「でも台風は通り過ぎましたよね」
「明日は足場を乗せたバージ船を元に戻すから、来てもらっても仕事は無いよ。だって足場が無かったら仕事にならないでしょ」
「分かりました…」
午後八時五分、何故かホテルを通り過ぎ、そして何を血迷ったのか、気が付くと身長180センチ近いホルスタインの様なニューハーフが隣に座る店で、酒を呑んでいる事に気付く。
「ねぇ、私凄いのよぉ~」
ホルスタインが私の太股を触って来る。
「へぇ~、何が?」
「フェラが」
「ふーん」
「お店が終わるまで居てくれる?」
「うーん、無理」
「居てくれたら、凄いのをしてあげるからネ!」
「ふーん、凄いのって?」
「フェラよ!」
「ふーん…」
午後九時十分、ニューハーフの店を出て、ホテルに戻ろうとする。
午後九時二十分、自分が泊まっているホテルの目の前で、中国人女にマッサージを勧められる。
午後九時三十分、古びた雑居ビルの二階で、マッサージ用ベッドに寝転ぶ。
私は薄暗い店内で、恐らくは交換されていないであろう、饐えたバスタオルの上に寝転び、ボーっと窓の外を眺めていた。冷房代の節約の為なのか、いかがわしい店にも関わらず、窓が全開だ。
気が付くと、窓の向こうにあるのは、自分が泊まっているビジネスホテルであり、そして向かいの窓は自分が泊まっている部屋の窓だ。
「おれ、あそこに泊まってるんだ…」
そのことを認識すると、何故か自分を客観的に見ている様な気分になり、私は小さくクスクスと笑った。
「何がオカシイのデスカ?」
中国人がたどたどしい日本語で聞いて来る。
「うん?何でもないよ…」
私はいつまでも窓の外を見ながら、中国人のサービスに身を任せていた。
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