River runs through it ― 江の川シーバスフェスタ（後編） ―

　夕マズメ前から実釣再開。
しかし、一向にベイトっ気が感じられない。カゲロウが飛び回り水面に落ちて流れているにもかかわらず、モジリの一つも起きないのだ。
案の定、なんの反応もないまま夕闇を迎える。
（おかしい・・・いないのか？）
前日までは釣れていたらしいのだが・・・。
３人とも反応のないまま、暗闇は深まるばかり。これではらちが開かない。移動を決める。

　河口近くのポイントまで一気に下る。橋脚周りのポイント。この辺りのシチュエーションになると普段釣っている状況に近い。
だが、わからないのは回遊のタイミング。瀬戸内のように干満の差が大きければ見当もつけやすいのだけれど、ここは日本海。満潮と干潮の潮位差が１０ｃｍほどしかない。見た目には満潮なんだか、干潮なんだかも区別つかないような状況だ。
明かり周りは先行者がいたので、離れた位置でキャストを繰り返す。が、ここも反応が返ってこない。
（ダメか・・・。）
ここで気分転換。“つりたつ”に戻り、夜食の豚汁をごちそうになることに・・・。
美味い。生き返る思いだ。

　空腹を満たし、再びキャスト再開。
深夜を迎え、人も減り、プレッシャーも下がるはず。なんだか魚がでそうな気がする。
仮眠をとると言う二人を車に残し、一人河原に降りる。
魚の潜んでいそうな瀬尻を攻める・・・出ない。視点を変え、今度は水深のある淵を攻める。表層、中層、ボトム・・・舐めるようにルアーを通すがアタリは出ない。
時刻はすでに午前２時前、さすがに２日連続オールナイトはキツい。午後には帰路に着かねばならないし、少しは寝ておかないと。
（もう一度、さっきの瀬尻を攻めて、出なければ仮眠をとろう・・・。）
そう思い歩き始めた瞬間、ふいに後方から足音が・・・タッチの差で他の人に入られてしまった。
いや～な予感が脳裏をかすめる。案の定、数分後にはバシャバシャという音が。先ほどの人が釣り上げたようだ。
　声を掛け魚を拝ませてもらうと、サイズは小さいが銀ピカのリバーシーバス。
求めるサイズではないと自分を納得させるものの、正直くやしい。今日の状況では続いて出るとは思えなかったが、さらに３０分ほど粘ってみた。もちろんダメ・・・ハァ。運にも見放され、出るのはため息ばかり。朝マズメに勝負を掛けるため、寝る。とりあえず寝る。

　そして朝。空も白み始めた頃、再び河原に降り立つ。
もはや下手な小細工も移動もなし。この場所で勝負を掛けるのだ。
しかし・・・相も変わらずコツリともこない。昨日よりは幾分ベイトっ気はあるものの、つらい状況は続く。
（ん～、シーバス１匹釣るのにここまで苦しむことになろうとは・・・。）
総帥とＮ氏もさっぱりのようだ。

　一体、いくらキャストを繰り返しだろう？日もすっかり高くなり、集中力もなくなりかけたその時、ピックアップしようとしたルアーの後方に影が現れる。
ガバッ！出た！！シーバスだ！
しかし、流れを強く受けたルアーが無情のイレギュラーアクション・・・口を開けたシーバスは追いきれずあっけなく空振り。
（クソッ！なんてこったい！！）
結局、二度と出てくることはなかった。本当のワンチャンス・・・。

　今年も完敗だった。
川の水量が少なく、稚鮎の遡上も低調だそうで一位でも７３ｃｍ、例年に比べ数もサイズもイマイチだったようす。
　だが、すばらしいロケーションの中での釣りは実に爽快で楽しいものだった。
気さくな店長さんと奥さんの“つりたつ”はアットホームな雰囲気のお店。大会終了後には名物のホルモン煮も振舞っていただいた。感謝。

　結果的に最近の不調をそのまま引きずってしまったようだ。
すみません、ここまで引っ張ったわりには釣果なしだったりして（笑）。
来年はリベンジしますよ。きっとね。