鞦韆院落

北京で過ごすインディペンデント映画な日常

悪評

2016-06-23 00:27:14 | 其他
先日、雲南の大理で環境をテーマにした小さな上映イベントがありました。
これは芸術祭の一部というかたちで行われ、今回が初めてだったのではないかと思います。
中国や台湾、日本のドキュメンタリーを上映するということで、私のところにも作品を紹介してほしいと声がかかりました。

プログラムをやっている、仮にL氏としておきますが、この人とは面識もないし、以前に聞いたこともありませんでした。
私は台湾にいたときに、王宏偉からの紹介でこの人と微信でやり取りをしました。
「中国国際女性映画祭」を名乗るL氏は、なぜか私に日本語で微信を打ってきて、こちらが中国語で返しているのに、わざわざ下手な日本語を使ってきて、話が前に進みません。
ちょっと苦手なタイプです。

主旨としては、日本から2,3人の監督を大理に招きたいから、環境汚染に関わるドキュメンタリー映画を紹介してくれとのことでした。
ただ、上映まで2ヶ月もないので、サンプルを取り寄せたり字幕をつけたりしている時間を考えると非常に厳しいのです。
過去にどこかの映画祭で上映され、すでに中国語字幕がついているものを借りてくるのが一番いいのでしょうけど、適当な作品があるかどうか私も知りません。
とにかく全然知らないイベントだし、L氏のことも知らないし、王宏偉には悪いけど、ちょっと面倒くさいので私は引き受けませんでした。
それでも、L氏は4月に台湾に来るとかで、台湾で会おうとかいろいろ言われました。
その後は連絡も取らず、6月になって日本の映画を1本やることになったと微信が届き、監督が来場している写真が送られてきました。
字幕はどうしたのか知りませんが、台湾で紹介を受けたようだし、台湾で上映した時のを借りたのかもしれません。
プログラムを見ると、台湾の映画が11本もあって、あとは張賛波の『天から落ちてきた』がありました。


それからしばらくして、張賛波が微博で主催者に謝罪を要求する声明を出しました。
彼は呼ばれていたけど行けなくて、代わりにプロデューサーが行ったらしいのだけど、大理に着いても迎えも来なけりゃどこに泊まるかもわからないし、上映も途中で止まったり、まあ散々だったそうです。
それより問題なのは、これがただの上映会じゃなくてドキュメンタリー制作ワークショップになっており、「張賛波監督らの指導のもと、10日間で短編を作る」という触れ込みで18人の学生を集めており、一人あたり1980元(泊・食は別)という学費を取っているのに、ワークショップには何もプランがなく、指導する役の監督たちも何も聞いてなくて、学生も監督も大理についてから唖然としたそうです。
何度も抗議の声があがったのに主催者は逃げてしまい、丸投げされた形になった台湾人監督たちは良心で学生の相談に乗ってあげたりしたそうだけど、みんな失意のうちに日程を終え、大理を後にしたのだとか。

張賛波の数日後、今度は台湾の監督たちが連名で声明を出しました。
イベントの1ヶ月前になって、1人1時間ずつ学生との交流をしてほしいと頼まれたものの、同意した覚えもなく、現地についてからワークショップで撮影の指導をすると聞かされたことや、当初は公益のための無料ワークショップと聞いていたのに、実は有料だとわかったこと、監督たちには報酬の話はまったくなく、文句を言ったら少額(学生の情報では1人300元)の報酬を払うと言われたこと、などを挙げ、今後このようなことがないよう注意するとともに、イベント期間中に監督たちを撮影した映像(指導の様子を撮っていた模様)については一切使用しないよう要求しました。

やがて、主催者側から「準備不足から誤解を与えてしまった。すぐに問題を解決できなくて監督たちに申し訳なかった」と謝罪文が出ましたが、ずっと仕切り役だったはずのL氏は沈黙を守ったまま。
そのうち、かつてL氏と中国女性影展で同僚だったという人から、「あいつは人権活動だといって外国の大使館から金を集めて映画祭をしていたが、結局30万元を持ち逃げした」との暴露話が飛び出したり、ワークショップに参加していた学生が「L氏に日本語ができると言ったら日本人監督の通訳を押し付けられた。スタッフもひどくて、監督から預かった上映素材を紛失した」などといった話がネットに上げられました。
仕舞には、悪評を聞きつけた応亮が、L氏との絶交宣言を出してました。
応亮がもともと彼と関係があったわけでもないのでしょうが、いちいち態度をオープンにする応亮らしいやり方ではあります。

私は特に関わらなかったわけだし、被害を受けてもいないけど、依頼を受けたことをある人に話したら「あの日本人も危うく騙されるところだった」みたいな書かれ方でネットに出回ったりして、ちょっとビックリしました。
私が紹介していたら、後味の悪いものにはなっていたでしょうね。

独立電影は金儲けにならないから、詐欺師みたいな人は基本的に少ないのですが、まあ困った人はどの世界にもいるものです。
迷惑を被った台湾人監督たちには、心から同情します。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。