思考ダダ漏れ

なんとなく書こう

2017-10-02 14:01:35 | 日常
  広葉樹の茂みを眺めていると、度々跳ねたように揺れ動いているのが見える。それは水滴が落ちる反動に過ぎないが、ただそれだけの事実にすら、何か新しいものを見つけたような心地に浸ることもある。
  茂みも完全ではない。その節々には内側の影が見える。僕はこの空間を愛する。時に小人となって、霧に隠れ行く山の連なりを眺めるのも、時に茂みとなって、虫どもの腹を満たしてやるのも良いだろう。

  針葉樹に飛び回る虻が、柚子香る冬至を連想させる。しかし、この虻は、その香りさえ知ることもなく、積み重なる枯葉の底で生き絶えるのだろう。僕はその上を踏み締め、押し潰れた虻の亡骸を見ることもなく、底冷えの肉体が求めるままに、温かい柚子酒へ手を伸ばす。