感染症・リウマチ内科のメモ

静岡県浜松市の総合病院内科勤務医ブログ

英国のリウマチ性多発筋痛症治療のガイドライン2010

2013-07-17 | 免疫
前回につづいて、リウマチ性多発筋痛症(PMR)について。2010年の英国の治療ガイドラインから。選択基準と除外基準を設けてPMRを仮診断しプレドニン開始、応答性も観察、その後も診断確定とせず慎重なフォローアップをして類似疾患が出てこないかみる、というもの。 “密に”受診フォローを強調しているが、早々に3ヶ月毎受診となり、2年程度のフォローで治療終了を目指し、うまくいかなければ他疾患を考慮すると。やっぱり英国より日本のほうがフォローが細やかですね。



Rheumatology (Oxford). 2010 Jan;49(1):186-90.
BSR and BHPR guidelines for the management of polymyalgia rheumatica.
Dasgupta B, Borg FA,

要約

・ガイドラインの目的は、PMRのための安全かつ具体的な診断プロセス。 継続的な評価を用いており、性急な初期治療には賛成しない。
・安全な、階段状の診断プロセスをPMR評価のために推奨
・PMRの診断は、コアの包含基準および除外基準の評価を始め、ステロイド標準用量に対する応答性の評価が続く、べき。
・GCAとは異なり、ステロイドの緊急処方は必要ではなく、完全な評価を可能にするため(治療開始を)遅延させることができる。

・コア選択基準:年齢> 50歳、期間>2週間、両側の肩や骨盤帯の疼痛、朝の> 45分のこわばり持続、急性期反応
・コア除外基準:活動性感染、癌、GCA

・以下の条件の存在は、PMRの確率を減少: 他の炎症性リウマチ性疾患、薬物誘発性筋痛、慢性疼痛症候群、内分泌疾患、神経疾患(パーキンソン病など)

・GCA証拠の評価を:急な頭痛と側頭部圧痛、複視を含む視覚障害、顎や舌の跛行、側頭動脈診察異常、上部脳神経麻痺、四肢跛行や大血管病変関与の他の証拠

・初期の標準用量プレドニン(15mg/d)への応答性評価:1週間以内に>70%の患者で全般的症状改善、4週間で炎症マーカー正常化。 低い応答性では代替病態検索を促すべき。

・PMR診断はさらにフォローアップで確認されるべき。 類似疾患のためフォローアップ受診で警戒を。

・診断のための基本的最小データセット:コアの臨床選択基準および除外基準、ステロイド開始前の臨床検査、血算、ESR/CRP、尿素と電解質、肝機能検査、骨密度、蛋白電気泳動、甲状腺刺激ホルモン、CPK、RF(ANAおよび抗CCP抗体も考慮)、尿検査、胸部X線

・非定型の特徴または非PMR診断の可能性を高める特徴(→早期に専門医へ紹介を):年齢<60歳、慢性発症(>2ヶ月)、肩関与の欠如、炎症性こわばりの欠如、顕著な全身性症状、体重減少、夜間疼痛、神経学的徴候、他のリウマチ性疾患の特長、正常または非常に高い急性期反応

・指示されるレジメンは次のとおり: プレドニゾロン15mg/日を3週間、次に12.5mgを3週間、次に10 mg を4-6週間、次に4-8週間毎に1mgずつ漸減または隔日漸減(例えば、10/7.5 mg隔日)

・筋注メチルプレドニゾロンが軽症の場合に使用することができ、ステロイド関連の合併症のリスクを低減することができる。初期投与量は120mgの3-4週間毎で、20mgを2~3ヶ月ごとに削減する。

・治療は通常1-2年が必要とされる。 治療2年後でも継続的治療が必要であれば別の疾患診断を考慮し、専門家評価のため紹介を。

・PMRのためにステロイドを開始するときは骨保護薬の使用を。 ビスフォスフォネート、カルシウムとビタミンDサプリメントなど。

・治療応答性と疾患活動性に対する患者の警戒監視を。フォローアップスケジュールは: 最初の年に、0、1-3、6週、3、6、9、12月。 各受診時に、 治療に対する応答(近位の痛み、疲労、朝こわばり)、GCA症状を含む疾患合併症(頭痛、顎跛行及び大型-血管疾患)、ステロイド関連有害事象、非定型の特徴、または別の診断を示唆する特徴、 を評価。

・治療とフォローアップ期間:通常は治療1-3年、無症候性であるときはステロイドを停止できる、孤立したESRやCRP上昇はステロイド療法を継続するために指示するものではない。

・PMR再発は、原因不明の上昇したESRまたはCRP のみではなく、PMRまたはGCAの発症症状の再発である。 
・PMRの臨床的特徴:以前の高用量プレドニゾロンへ増やす。
•さらに再発:2回の再発後DMARD療法の導入を検討

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