高齢でインスリン使用中の糖尿病患者で、腰痛にて整形外科受診、XPでbamboo spine疑われ当科へ紹介あり。問診すると疼痛は仙腸部あたりで今年から、これまで腰部痛歴なし、疼痛は動作時にひどくなる、夜間の増悪なし、屈んだりの動作に不自由なく、強直性脊椎炎ASらしくない。腰椎は各椎体の前面の骨化が目立ち一部骨棘形成あり、ASの鑑別疾患としてびまん性特発性骨増殖症(DISH)も考えられた。
179 Diffuse idiopathic skeletal hyperostosis
Marc C. Hochberg, Alan J. Silman, Josef S. Smolen, Michael E. Weinblatt, and Michael H. Weisman
Rheumatology , Fifth Edition 179 , 1801-1806.e1
要約
・びまん性特発性骨増殖症(DISH)は、強直性増殖症またはフォレスティエ病Forestier diseaseとしても知られている
・DISHは軟部組織、主に靭帯および腱•靱帯付着部の石灰化と骨化を特徴とする疾患。
・1824年にWenzel は、高齢患者の不規則な骨増生"固定化immobilizing "を2つ以上の隣接する椎骨で記録、一世紀後にForestierはこの疾患の包括的なデータを発表、軸椎および末梢の両方の症状を定義された症候群と認識、びまん性特発性骨増殖症という用語につながった。
・有病率は年齢と体重とともに上昇、男女ともに発生するが2:1で男性優位性。 45歳の年齢以前にはまれ。
・Dishの診断基準は主に、胸椎の放射線検査所見に依存
・典型的には4つの連続した椎体椎間板変性疾患を起こす新しい骨形成の確認で、炎症性腸疾患や椎間関節変化の除外をする。しかし日常的には、加齢関連の椎間板や椎間関節の退行性変化がDish変化と連動して発生してくるのが一般的。
・骨面に接する腱付着部領域にある軟骨細胞が活性化され、その後の骨形成に有利に働く周囲の基質への変化を引き起こす。
・病態は広範な新しい骨の形成、新生骨量増加、異所性骨形成で、とりわけ腱付着部領域に新しい骨成長の存在、により特徴付けられる。 この疾患の歴史で最初に、胸椎での前方腱付着部領域での著明な骨成長に注目されてきたが、異なる程度に様々な骨格構造に影響をおよぼす可能性がある。
・DISHにおいてはもともとの骨皮質は、骨化した靱帯の下に残存している。一方 脊椎炎では、 ベースとなる多発性硬化症が存在しているときは、骨皮質浸食は炎症が活動的なとき特に椎体のコーナーで特徴的である。
・加齢とともに発生する椎間板変化と共存すると、椎間板材料の膨出から前方に大きな前脊髄造骨性変化を来たしうる。頚椎や腰椎領域では造骨性変化で特徴的な橋渡し病変となり、脊柱管狭窄症の恐れもある。
・末梢の新しい骨形成は、特に踵、膝、肘の周囲に、腱付着部領域で顕著である。
・Dishのびまん性骨増殖は、指節骨房phalangeal tuftingで増加した骨形成、手管状骨の増加した骨皮質厚、および種子骨の大きさの増加を含む。
・DISHは、関節リウマチ、乾癬性関節炎、脊椎関節症、または痛風などの炎症性関節疾患と共存できる。
・DISHにおいて新しい骨沈着のプロセスは、無症候性である。しかし、骨成長の結果、頸部、背部または末梢関節の硬直性の増加を引き起こす可能性がある。 臨床的には、肩と股の内転の減少、指と膝の屈曲減少がある。
・DISHの最も重要な鑑別の一つは、強直性脊椎炎、または関連疾患である。通常は、元の骨皮質の保全と前縦靱帯内にあふれんばかりのでこぼこした骨変化がDISHの特徴である。この疾患で時折、仙腸関節の前方の骨増殖症により悪化しており、関節炎症の融合像として誤って読まれる可能性がある。MRIでは炎症関連の骨浮腫の欠如として確認できる。
・Dishの造骨性末梢関節変化は、分布は変形性関節症に似るが、初期段階で早期の補強と関節腔の相対的な保全により区別される。
・B27関連の炎症性関節症で見られる骨びらんまたは骨膜増殖を欠いており、ピロリン酸カルシウム結晶沈着症で見られるかもしれない線形石灰化とは区別される。
・先端巨大症も新しい骨形成を特徴とするが、加えて、皮下軟部組織や軟骨の肥厚が顕著であるとされている。
・DISHと肥満、耐糖能異常および成人発症2型糖尿病との関連が指摘されている。成人発症2型糖尿病患者におけるDISHの有病率は 13%から50%までの範囲。高インスリン血症はおそらくDISHへの関連で記述されてきた。インスリンは腱付着部の軟骨細胞によって軟骨内骨化を推進する。
・骨太large-bonedで、 腹部肥満を伴う大筋肉質者とメタボリックシンドロームでは、Dishの高いリスクが予想できる。 末梢腱付着部症enthesopathies 、腰、肩の凝りや、または大規模な指こわばり、ではこの疾患をもっているかも知れない。 最善の対処法は 体重の減量とフィットネスプログラムである。
・DISHに関しての特定の治療法はない。 局所麻酔薬とステロイド注射などは疼痛を緩和する。
・50歳以前に発症したDISHの特徴を調べた報告あり。同年代のOAの患者と比較して、腰椎と胸椎の痛み、腱鞘炎/腱付着部炎、肥満、第一親族でのHTSとDMの存在、が有意に多かった。 またフォローアップ時にDMを発症する可能性が高かった。(Osteoarthritis Cartilage. 2009 Jun;17(6):825-8.)
179 Diffuse idiopathic skeletal hyperostosis
Marc C. Hochberg, Alan J. Silman, Josef S. Smolen, Michael E. Weinblatt, and Michael H. Weisman
Rheumatology , Fifth Edition 179 , 1801-1806.e1
要約
・びまん性特発性骨増殖症(DISH)は、強直性増殖症またはフォレスティエ病Forestier diseaseとしても知られている
・DISHは軟部組織、主に靭帯および腱•靱帯付着部の石灰化と骨化を特徴とする疾患。
・1824年にWenzel は、高齢患者の不規則な骨増生"固定化immobilizing "を2つ以上の隣接する椎骨で記録、一世紀後にForestierはこの疾患の包括的なデータを発表、軸椎および末梢の両方の症状を定義された症候群と認識、びまん性特発性骨増殖症という用語につながった。
・有病率は年齢と体重とともに上昇、男女ともに発生するが2:1で男性優位性。 45歳の年齢以前にはまれ。
・Dishの診断基準は主に、胸椎の放射線検査所見に依存
・典型的には4つの連続した椎体椎間板変性疾患を起こす新しい骨形成の確認で、炎症性腸疾患や椎間関節変化の除外をする。しかし日常的には、加齢関連の椎間板や椎間関節の退行性変化がDish変化と連動して発生してくるのが一般的。
・骨面に接する腱付着部領域にある軟骨細胞が活性化され、その後の骨形成に有利に働く周囲の基質への変化を引き起こす。
・病態は広範な新しい骨の形成、新生骨量増加、異所性骨形成で、とりわけ腱付着部領域に新しい骨成長の存在、により特徴付けられる。 この疾患の歴史で最初に、胸椎での前方腱付着部領域での著明な骨成長に注目されてきたが、異なる程度に様々な骨格構造に影響をおよぼす可能性がある。
・DISHにおいてはもともとの骨皮質は、骨化した靱帯の下に残存している。一方 脊椎炎では、 ベースとなる多発性硬化症が存在しているときは、骨皮質浸食は炎症が活動的なとき特に椎体のコーナーで特徴的である。
・加齢とともに発生する椎間板変化と共存すると、椎間板材料の膨出から前方に大きな前脊髄造骨性変化を来たしうる。頚椎や腰椎領域では造骨性変化で特徴的な橋渡し病変となり、脊柱管狭窄症の恐れもある。
・末梢の新しい骨形成は、特に踵、膝、肘の周囲に、腱付着部領域で顕著である。
・Dishのびまん性骨増殖は、指節骨房phalangeal tuftingで増加した骨形成、手管状骨の増加した骨皮質厚、および種子骨の大きさの増加を含む。
・DISHは、関節リウマチ、乾癬性関節炎、脊椎関節症、または痛風などの炎症性関節疾患と共存できる。
・DISHにおいて新しい骨沈着のプロセスは、無症候性である。しかし、骨成長の結果、頸部、背部または末梢関節の硬直性の増加を引き起こす可能性がある。 臨床的には、肩と股の内転の減少、指と膝の屈曲減少がある。
・DISHの最も重要な鑑別の一つは、強直性脊椎炎、または関連疾患である。通常は、元の骨皮質の保全と前縦靱帯内にあふれんばかりのでこぼこした骨変化がDISHの特徴である。この疾患で時折、仙腸関節の前方の骨増殖症により悪化しており、関節炎症の融合像として誤って読まれる可能性がある。MRIでは炎症関連の骨浮腫の欠如として確認できる。
・Dishの造骨性末梢関節変化は、分布は変形性関節症に似るが、初期段階で早期の補強と関節腔の相対的な保全により区別される。
・B27関連の炎症性関節症で見られる骨びらんまたは骨膜増殖を欠いており、ピロリン酸カルシウム結晶沈着症で見られるかもしれない線形石灰化とは区別される。
・先端巨大症も新しい骨形成を特徴とするが、加えて、皮下軟部組織や軟骨の肥厚が顕著であるとされている。
・DISHと肥満、耐糖能異常および成人発症2型糖尿病との関連が指摘されている。成人発症2型糖尿病患者におけるDISHの有病率は 13%から50%までの範囲。高インスリン血症はおそらくDISHへの関連で記述されてきた。インスリンは腱付着部の軟骨細胞によって軟骨内骨化を推進する。
・骨太large-bonedで、 腹部肥満を伴う大筋肉質者とメタボリックシンドロームでは、Dishの高いリスクが予想できる。 末梢腱付着部症enthesopathies 、腰、肩の凝りや、または大規模な指こわばり、ではこの疾患をもっているかも知れない。 最善の対処法は 体重の減量とフィットネスプログラムである。
・DISHに関しての特定の治療法はない。 局所麻酔薬とステロイド注射などは疼痛を緩和する。
・50歳以前に発症したDISHの特徴を調べた報告あり。同年代のOAの患者と比較して、腰椎と胸椎の痛み、腱鞘炎/腱付着部炎、肥満、第一親族でのHTSとDMの存在、が有意に多かった。 またフォローアップ時にDMを発症する可能性が高かった。(Osteoarthritis Cartilage. 2009 Jun;17(6):825-8.)