京の昼寝~♪

なんとなく漠然と日々流されるのではなく、少し立ち止まり、自身の「言の葉」をしたためてみようと・・・そんなMy Blogに

『ホテル・ルワンダ』

2006-02-19 | 洋画


「愛する家族を守りたい。」
ただひとつの強い思いが、1200人の命を救った・・・。




■監督 テリー・ジョージ
■脚本 ケア・ピアソン・テリージョージ
■キャスト ドン・チードル、ソフィー・オコネドー、ニック・ノルティ、ホアキン・フェニックス、ジャン・レノ

□オフィシャルサイト  『
ホテル・ルワンダ

 フツ族とツチ族の間で続いていた内戦が終息、和平協定が結ばれようとしていた1994年、ルワンダの首都キガリ。外資系高級ホテル、ミル・コリンの支配人ポールは、近くフツ族の民兵によるツチ族の虐殺が始まるという噂を耳にする。やがてフツ族大統領暗殺の報道がなされ、フツ族が武器を片手にツチ族を襲撃し始めた。フツ族のポールは、ツチ族の妻・タティアナと息子たち、そして隣人たちを守るため、ホテルに匿うのだが…。


 おススメ度 ⇒★★★ (5★満点、☆は0.5)
 cyazの満足度⇒★★★★


 人が、生か死かの窮地に追い込まれたとき、誰しもが自分が一番大事だと思い、その思いに従って行動してしまうだろう。 だがこの映画の主人公、実在のポール・ルセサバギナは違っていた。 それは彼の生まれ育って来た過程や生い立ちを事細かく説明しなくても、この映画の中のポールを観ていると容易に理解できることだ。 ただフツ族とツチ族の関係はよく把握できなかったものの(見た目に違うという説明が映画の中での会話でもされていたが)、隣り合わせた生死の狭間で迫り来る恐怖と、生き残る術を求める続ける姿には、生死の境を生きていない僕らにはわからない。

 何故、どこが、って言われると正直困るのだが、究極の状態に置かれた人間が、その中で自分の存在を捨て、家族のために、仲間のために、そして孤児のために、そして万人のために、矢面に立って生き残るため努力する。 その姿にはなりふり構わない嘘偽りない人間の本質を見て取れた気がした。 自分がこの究極の選択を迫られたらという、主人公たちに最も近いところで思考していた感じだ。 正直そういう意味では疲れた。

 感動が直接得られる映画ではないと思う。 しかし、主人公と生き抜いた実感に近いものを共有できる映画である。 これを一口に説明するのは本当に難しい。 だから直接観て欲しい。 決して裏切らない映画である。

 ポールを演じるドン・チーゲン。 黒人俳優と言うのはなかなか馴染みがないのだが、彼は顔を観ただけでわかるタイプの俳優だと思う。 彼は幾つなのかよくわからなかったが、まだ41歳だとこの映画のHPを見てわかった。 決して表情のある役者さんではないが、まっすぐな演技ができる役者さんだと思う。 この映画で感じた彼の演技で、英語をたどたどしく話している。 これは意識的なものなのかどうかわからないが、普通に話しても良かったのではないかと思う。 多分、ご本人自体がそんな英語の話し方であったに違いないと思う。 生きていく上で、ポールの正義感が多くの人を救ったことは間違いない史実である。 ゆえに
“アフリカのオスカー・シンドラー”と呼ばれたのも理解できるところだ。 ドン・チードル自身もこの映画で2004年のアカデミー主演男優賞にノミネートされている(cf:『第77回アカデミー賞決定』。 1年以上も経ってこの映画でも彼の演技を観たのだ、もっと早く観れていれば、と思える演技だった。

 殆ど予備知識なしに観たのだが、ニック・ノルティやホアキン・フェニックス、ジャン・レノが出ていることも知らなかった。 この人たちが、ドン・チーゲルの脇にいたことがこの映画に厚みと真実味を与えていたことは間違いないところだ。

 ただ残念なのは、ポールの奥さん役のソフィー・オコネドーだった。 もう忘れているかもしれないがドン・チーゲル同様、彼女もこの映画で2004年のアカデミー賞助演女優賞にノミネートされていた。 だが勇気ある賢人ポールの奥さんとしては、。ただただ慌てふためいたり、絶叫したりで、本編の中で描かれていた二人の出会いの話の中で、元看護士だったという割には何もしないできない役だった。 もう少しポールの行動を理解し、サポートできるのではないかと残念でならなかった。 最もご本人がそうだったかどうかはわからないが、少なくても彼女を一番そばで見ていたポール・ルセサバギナがこの映画の特別顧問をしていて彼女をこう描くことに異論がなかったのだとしたら、これも事実だったのかもしれないが・・・。

 この映画は別な側面でも人を動かした。 それは「
『ホテル・ルワンダ』日本公開を応援する会」が署名運動をし、4000名もの署名を集めたことだ。 ポールのように生死に関わる訳ではないに城、アカデミーノミネートされた優れた作品を埋没させることなく日本で上映されるよう働きかけることは素晴らしいことだと、一映画ファンとしては嬉しい限りだ。 あとで聞いた話だが、この作品の上映に率先して行動した人が、この映画の配給会社であるメディア・スーツに入社したと聞いた。 なんだか不思議な縁もここに生まれているのを知って嬉しくなった。 メディア・スーツの社長とはちょっとした知り合いなので、今度機会あったら聞いてみよう(笑)

 1月の『スタンドアップ』といい、2月の『ホテル・ルワンダ』といい、実話をベースにした映画に出会えたことは本当に良かったし、感慨深いものだった。



コメント (56)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« なかなか捨てられないもの~ | トップ | 「博士の愛した数式」(小川... »
最新の画像もっと見る

56 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
映画 (はな)
2006-02-20 00:51:50
ホテルルワンダ見たいです 

少し前 白バラの祈り 見てきました

涙がとまらなかったです
返信する
映画を超えたもの (あかん隊)
2006-02-20 10:46:19
こんにちは。ご無沙汰しております。こちらのブログは、ずっと拝見していましたが、当方が遅滞しておりまして。

映画を超えた映画だったと、つくづく考えさせられるものでした。この映画が公開されたことを本当に嬉しく思います。彼の方は、アルバイト、ということのようです。ご本人は、熱く、張り切っていらっしゃるとか。
返信する
大勢の人に観てもらいたい映画でした。 (ルールー)
2006-02-20 12:07:59
ドン・チードルの英語は現地訛りのアフリカン・イングリッシュで、リアリティを徹底的に追求した結果だとどこかで読みました。

実際のポールは一流大学出で西欧で教育を受けたバリバリのエリートだそうなので、彼の英語がそうだったのかわかりませんが、もしかしたら監督とチードルで作り上げた独自のポール像ということなのかもしれませんね。

チードルはアフリカ系アメリカ人俳優なので、この役は本当に演じていて複雑な心境だっただろうと思うと、あの謙虚で誠実な迫真の演技にはいくら賞賛してもしたりないほどです。

とにかく大勢の人に観てもらいたい映画ですね。

知ったからといって何もできないのは同じなんだけど、知るこそこそがはるかに大事だと気づかされる映画でした。
返信する
ぜひ~ (cyaz)
2006-02-20 17:42:03
はなさん、コメントありがとうございましたm( )m



>ホテルルワンダ見たいです

せっかく上映されたので是非観て来て下さい!

 

>少し前 白バラの祈り 見てきました 涙がとまらなかったです

そうですか^^ 観てみたいですね~♪

返信する
おひさしぶりです~ (cyaz)
2006-02-20 17:56:58
あかん隊さん、コメントありがとうございましたm( )m



>映画を超えた映画だったと、つくづく考えさせられるものでした

そうですね! 史実は史実として実際にはもっと凄いことが起こっていたんでしょうね?



>この映画が公開されたことを本当に嬉しく思います

公開されてからこの映画が昨年アカデミーにノミネートされていたことを思い出しました。 少し恥ずかしかったです><



>ご本人は、熱く、張り切っていらっしゃるとか

そうですか^^ みんな最初は熱意を持っているのですが、いつのまにかその情熱の矛先が違うところを向いちゃうんですよね(笑) しっかり頑張って欲しいですね^^



返信する
情報ありがとう~ (cyaz)
2006-02-20 18:02:28
ルールーさん、TB&コメントありがとうございましたm( )m



>ドン・チードルの英語は現地訛りのアフリカン・イングリッシュで、リアリティを徹底的に追求した結果

やっぱりそうでしたか^^ 冒頭からとても気になっていたんです(笑)



>監督とチードルで作り上げた独自のポール像ということなのかもしれませんね

実在の彼のインタビューでもあればわかrつかもしれませんね^^



>あの謙虚で誠実な迫真の演技にはいくら賞賛してもしたりないほどです

過去の作品にもかれのそういうところは良く出ていましたよね^^



>とにかく大勢の人に観てもらいたい映画ですね。知ったからといって何もできないのは同じなんだけど、知るこそこそがはるかに大事だと気づかされる映画でした。

『スタンドアップ』もそうでしたが、トゥルーストーリーは何も出来なくても、少しでもそのこと自体に触れることが大切なことだと思います。 僕たち映画好きはそれを少しでも多くの人に観てもらえるようスピーカーになることでしょうか!
返信する
有頂天ホテルもどっちも (saheizi-inokori)
2006-02-23 10:16:13
同じホテルでも大違い。それでもどっちも見てしまってそれぞれに笑ったり泣いたり考え込んだり・・。ルワンダのことは一人でも多くの人に伝えたいですね。
返信する
ですねぇ~ (cyaz)
2006-02-23 12:35:08
saheizi-inokoriさん、TB&コメントありがとうございましたm( )m



>同じホテルでも大違い。それでもどっちも見てしまってそれぞれに笑ったり泣いたり考え込んだり・・

それは僕もおなじでしたね^^



>ルワンダのことは一人でも多くの人に伝えたいですね

本当にたくさんの人に観ていただきたい作品ですね!

返信する
Unknown (がちゃ)
2006-02-23 13:05:37
TBコメントありがとうございました。

今年は、社会派ムービー、と雑誌などで読みましたが、ホントにそんな感じになりました。

「ミュンヘン」「ホテル・ルワンダ」(「スタンド・アップ」)と見てきて、まもなく公開の「シリアナ」も、とても見たいとおもいます。

自分が、世界のこと、なにもしらないんだな、っと感じさせられます。

何がおきてるのか、貪欲に知りたいと思う、この頃です。

返信する
貪欲に~ (cyaz)
2006-02-23 17:34:32
がちゃさん、TB&コメントありがとうございましたm( )m



>まもなく公開の「シリアナ」も、とても見たいとおもいます

クルーニー、マット・デイモン、楽しみですね~♪



>自分が、世界のこと、なにもしらないんだな、っと感じさせられます

時として映画は勉強になりますよね!



>何がおきてるのか、貪欲に知りたいと思う、この頃です

多くの人たちが触れて欲しいものですね^^



返信する

コメントを投稿

洋画」カテゴリの最新記事