南極の大自然で生きる皇帝ペンギンの奇跡のドラマ
あたりまえの愛情と優しさが、心に満ちてくる
■監督・脚本 リュック・ジャケ
■キャスト 吹替版:大沢たかお、石田ひかり、神木隆之介
字幕版ロマーヌ・ボーランジェ、シャルル・ベルリング、ジュール・シトリュック
□オフィシャルHP http://www.gaga.ne.jp/emperor-penguin/
マイナス40℃の南極に冬がやってくる3月、多くの生き物たちが暖かさを求めて北へ移動する中、
逆に南へと旅を始めるものたちがいた。 ペンギンの仲間の中でもっとも大きい、皇帝ペンギンたちだ。
隊列を組んで行進を始めるペンギンたちが目指すのは、外敵が近づきにくい氷山に囲まれた土地だ。
ここでペンギンたちは、お互いのパートナーを見つけるための求愛行動を始める。 5月末、産卵を
終えたメスたちは卵を自分のパートナーに託し、100キロあまり離れた海へ向かう。
自分とこれから産まれるヒナのための餌を求めて。
おススメ度 ⇒★★★ (5★満点、☆は0.5)
cyazの満足度⇒★★★☆
動物の子孫を後世に残す本能的な行動を、極寒の地南極で、そこに生きる皇帝ペンギンの生態を、
まるで人生に喩えるが如く、おそらく莫大な時間と労力を費やして撮ったドキュメンタリーがこの映画だ。
生きることに理由もなく、自然の節理に従いながら、ただただ子孫を残すための厳しい現実と
闘いながら過ごしていく。 そこには年に一度の出会いを求め、長いたびを重ねて良き伴侶を求め、
そしてわが子を産み育てる。 厳しい寒さと飢えと油断すると命がけの彼らの旅はまさに人生
そのものだと思う。 しかも子供を育てる雌雄のペンギンは、本来持つ愛情と優しさと、時として厳しさを
持って子供に対峙する。 自らの危険をも省みず、ひたすら卵を温め続け、子供に飢えささないように
遠い道程を旅を繰り返す。 時に一方通行、片道切符になる旅に臆せず。
カメラはただ彼らの姿を捉えて離さない。 彼らは語るわけでもなく、彼らなりのコミュニケーションを
とりながら、互いの種の繁栄を望みながら果てのない旅を続ける。
大きな抑揚のある映画でもないし、ひたすら皇帝ペンギンの行動過程を淡々と描いていく。
ここでの大きなテーマは“夫婦愛・親子愛”だろうか。 そして人間(高等動物)に対してのアンチテーゼだろうか。
彼らは彼らの智恵で、卵を温め、少しでも寒さから逃れるために、強風に背を向け、集団で円陣を
組むかのよう寄り添い、互いに温め合う。 彼らの世界の秩序なのか、生きる術なのか、真ん中の
ほうが温かいその輪を均等にすべく、順番に中から外へと順番が決まっているかのよう変わっていく。
自然の中に当然の如く彼ら社会の身を守るための規律が出来上がっているかのようだ。
人間社会において、親と子の関係において悲惨な事件が日めくりのように繰り返されている。
痛みを分からない薄っぺらな親子関係、それは全て当てはまる訳ではないが、一部の親子関係の
不具合が取りだたされ、それが大きくクローズアップされている。 観ているほうも他人事として済ましてしまう。
この映画は“皇帝ペンギンの優しく強い愛の絆”ではなく、人間社会(関係)への抗議だと僕は観てしまった。
少し前に観た『ディープ・ブルー』や『WATARIDORI』にしても、一貫しているのは後世に残す自分たちの
“種”であり、“生き残る術”なのだと思う。
監督のリュック・ジャケ氏は、動物行動学の研究者でもあるらしいが、この映画を撮るのに3人の仲間と
南極で8880時間かけたそうだ。 前2作もそうなのだが、膨大な時間をかけて撮られたドキュメンタリーは
ただ感動するだけでなく、薄っぺらになった人間社会(愛)に苦言を呈しているような作品に感じる。
感じ方は自由かもしれないが、やはり親子で鑑賞してもらいたい作品である。
そうですね・・・皇帝ペンギンの強さはもちろんのこと、今の人間に欠けているものがこの映画では描かれていましたね!親子の絆、夫婦の絆。僕も結婚して子どもが生まれた際に再度この映画を観たいです!初回鑑賞の時とは異なった印象を受けるでしょうから・・・。
南極の零下40℃とはどのような社会なんでしょうか?
旅行先の夕張の零下10℃で「こんなとこで生きれない(**)」とあっさり降参してしまった私としては、8880時間ペンギンの生態を研究されたリュック・ジャケ監督に頭が下がります。
>ここでの大きなテーマは“夫婦愛・親子愛”だろうか。 そして人間(高等動物)に対してのアンチテーゼだろうか。
ホモサピエンスは『文明という偉大なも』のを見つけたときから、『一番大切なもの』を段々見失って来たのではないかと思います。
この映画を見て『一番大切なもの』を再発見して欲しいですね。
(これは、私の仕事の『最も大きく、最も難しいテーマ』ですが。。。)
未見だけど、CFとcyazさんのコメントで映画の雰囲気が分かったような気がして。。。
ちゃんと、鑑賞しますので、、、(@@)
>僕も結婚して子どもが生まれた際に再度この映画を観たいです
是非そうして下さい!
ある意味、この映画は僕自身へのアンチテーゼだったと思っています。
>『一番大切なもの』を再発見して欲しいですね
ほんと、そう思いますね!
忘れたもの、忘れかけているもの、そんな事柄が映画というツールで表現され、
考え直すきっかけになるなんて寂しいことですが・・・。
kanonさん、御覧になったら是非感想送って下さいね^^
とにかく動物が大好きで、動いている姿を見るだけでもとても幸せになれるので、この映画は本当に楽しく観ました。
ゲストの石田ひかりさんが、「見終わったら、ペンギンン達がとても愛おしくなりました」とおっしゃっていましたが、今その言葉の意味がしみじみと理解出来るような気がします。
忍耐強くて、でも優しい彼らの愛嬌のある姿は、
仰る通り愛おしいという一言に尽きると思います。
彼らの姿に「今一番欲しいものはなあに?」と声を掛けてあげたくなりました^^
本当に素晴らしい映画でした!
DVDになったら、メイキングも観てみたい。
この前TVでちょっと放送してたけど、
ものすごい至近距離で撮影してたのでビックリでしたよ。
サントラも買っちゃいました!
こっちゃん
>DVDになったら、メイキングも観てみたい
そうですね^^
こういうドキュメンタリー映画の撮影秘話みたいなものが見れると、
ますます映画の価値が出るように思います!
彼らを語る上で、ストーリーや必要以上のナレーションは必要ないんだ、と思いました。
WATARIDORIもそうでしたが、彼らの行動・存在自体、私達は良く知らないと思うので、今回この映画を通してまたひとつ、地球上の生物のすばらしさを知ったのではないでしょうか(^^)
もっと色々な映画館で上映され、いろんな人に見てほしい映画です。
>ストーリーや必要以上のナレーションは必要ないんだ
仰るとおりだと思います。
僕は字幕で観たかったのですが、いつも観るシネコンでは吹替しか上映されていなかったので><
ただ♂一匹に♀複数(羨ましい(笑))が絡んでいる時は、どれが♂なのか↓でも入れて欲しかったですね(笑)?!
『WATARIDORI』←素晴らしい映画でしたね!
詰め込み主義の教育のホンの2時間は、子供たちにこういう映画をみせてあげてほしいと思います。
将来、皇帝ペンギン研究家が増えるかも^^