CURRY_SAMBA

カレーにまつわるエトセトラ。

沈黙をやぶるはいっときの恥

2009年10月24日 | 行った!お店カレー
仕事柄、打ち合わせや取材で外にでる機会も週に数回ある。

この日も午前中に打ち合わせがあり
どこかでお昼ごはんを食べていくことにした。
久しぶりに「さぼうる」のカレーが食べたくなって
神保町で地下鉄をおりた。


駅からすぐ裏通りにある「さぼうる」
食事は手前、喫茶は隣の「さぼうる2」へ。

~カランカラン~


「こんにちはー、ひとりなんですけど」

「すみませんが満席です」

「じゃあ少し待ちます」


私の後ろにもすぐに一人並んだ。
さすが人気の老舗喫茶店。

それでも回転が速い時間なので、1分もたたずに2人の客が出てきた。

「お待ちのお客さま、相席でも良ければどうぞ」

「はい」

やや薄暗い、地下に案内された。
秘密基地でもありそうな、ランプの灯る地下室。
予想通りといえば予想どおり、後ろに一人で並んでいた人と
4人がけのテーブルに相席になった。

(しまった。ちょっと、気まずい…)

向かい側に座った男性は、見た目は私より若い感じで
やっぱり少し気まずそうに本を開いている。

「ご注文は?」

「あ、ビーフカレーをお願いします」

「僕もビーフカレーをお願いします」



また、沈黙がつづく。
私も本を開いたものの、全然落ち着かない。
まわりから見たら友達かカップルに見えるだろうに。
普通、相席になった人とは話すのかなあ。
それとも同じビーフカレーを二人黙々と食べるのかなあ。

などと考えていたら、この状況がコントみたいに思えてきて
なんだかワクワクしてきた。
コントだったら、話さなければ始まらない。
沈黙のまま食べるなんて気まずいだけ。
でも、もし会話になったら、どんな話になるんだろう?


程なくして、2つのビーフカレーが運ばれてきた。
私は、熱いカレーを一口食べたところで
ちょっと勇気を出してみた。

「福神漬けどうぞ」

「あ、ありがとうございます!」

顔を上げた表情から、相手も気まずく感じていたのがわかった。
それで、もう一歩踏み出してみることにした。
会話が続かなければ、やめればいいし。

「よくここへは来るんですか?」

「いえ、初めて来たんです。前から気になってたんですが、
母に頼まれた本を買ってきた帰りにちょうど通りかかったんで」

青年は近くの大学の学生ということ、千葉から1時間半かけて通っていること
ラーメンが好きなこと、おすすめのラーメン屋のことなどを話し、
私は近くの小さな出版社で働いていて、カレーが好きだということを話した。

「カレーは、いつから好きなんですか?」

「学生時代にバイトでカレー屋にいたことがあって」

「バイトまでカレーですか(笑)!」


カレーを食べ終わるころにはすっかり打ち解けていた。
名前も知らないひとと、こんなに話したのは久しぶりだった。


「じゃあ、僕は授業があるので、お先にしつれいします。
あの、話しかけてくれてとても楽しかったです。ありがとうございました!
また、もし会えたら!」

またもし会えたら。青年は満面の笑みで手を振った。
私も手を振って見送った。
一歩踏み出してみて良かったなあ。

「さぼうる」で、ちょっと楽しいひとときだった。


(写真/神保町「さぼうる」/ビーフカレー/650円)

おいしいキーマカレーの作り方

2009年10月17日 | 作った!お家カレー
ちょうど3年前に、40人前のカレーを作ったことがあったけど
いざっていうときに作れるような「我が家の定番カレー」があれば
何かの機会にパッと作って出せるのになあ、とかねがね思っていた。

で、最近は休みの日に家で過ごすことが多いので
同じレシピで何度も作って試行錯誤を重ねていた(地味~な食欲の秋)。

秋空のバーベキューで作ったキーマカレーが、そのカレー。
ただ、家では4ないし8人前で作るので、
16人前だと煮込み時間が違ってくるので、難しかった。
それでも「おいしいおいしい」って何度もお代わりしてくれたりする人もいてくれて
練習した甲斐があったなあーと思った 

そのレシピはこんな感じ。

 材料(4人分) 



ホールスパイス
・レッドペッパー  3本
・マスタードシード 小さじ1
・シナモン     3片
・クローブ     5個
・ベイリーフ    6枚
・カルダモン    2個
・クミン      小さじ2

パウダースパイス
・ターメリック   小さじ2
・レッドペッパー  小さじ1
・コリアンダー   小さじ4



・玉ねぎ(みじん切り)  1個
・ショウガ(すりおろし) 大さじ1
・ニンニク(すりおろし) 大さじ1
・オリーブオイル  適量
・ココナツパウダー 200ml(水で溶いた合計)
・ホールトマト   200ml



・とりひき肉   500g
・ヨーグルト   100ml
・ガラムマサラ(エスビーカレーパウダー) 小さじ1



1 鍋にオリーブオイルを熱し、ホールスパイスをすべて加えて炒める



2 マスタードシードがぱちぱち弾けてきたら
玉ねぎ、しょうが、にんにくを加える



3 玉ねぎがしんなりしてきたら、ヨーグルトとココナツミルク



4 ホールトマトを加える



5 全体がなじんできたらパウダースパイスを全部加え、
10分間かきまぜながら強火で煮込む



(水分がとんで、こんな感じになる)



6 ひき肉を加えてよく混ぜながら炒める



(汁気がなくなるまで5分くらい炒めると、こんな感じになる)



7 ガラムマサラを加えて風味をつけ、さらに5分くらい炒める



8 完成!

試行錯誤の間には、ココナツミルクを倍の量入れて超クリーミーなキーマカレーになったり
(それはそれで結構いけた)、ひき肉を豚×とりで混ぜてみたりしたけれど(これはイマイチ)
いまのところ一番できが良かったのがこの日のカレー。



ドライカレー風にライスのまわりにかけて食べたり



うどんにのせて、トマトとバジルと合わせてみたり



そぼろみたいにお弁当にいれてみたりしてもGOODでした!

<参考文献>
「カレーのすべて」(柴田書店、26ページ)



(写真/完成したキーマカレーを小分けにして保存)

秋空のバーベキュー

2009年10月13日 | 作った!お家カレー
楽しみにしていた三連休も、あっという間に過ぎていく。
たまっているブログの記事を整理したいなあと思いつつ
気付いたら最終日の夜。
あーこうして20代が過ぎてゆくのね。

最近は、カレーを「食べ歩く」より「作る」ほうにやや傾いていて
9月後半から3週間連続でキーマカレーの研究をしていた。
その成果を出す日がついにやってきた!

「BBQで、16人前作ってほしい」というオファー。
ガンバルぞー

と、いうわけで秋空の下、川原で作ったのがこのキーマカレー。



好評につき、残りわずか。
ちなみに黒いのは、落ち葉じゃなくてローリエです(笑)。

レシピは次回!


(写真/バーベキューで作ったキーマカレー/荒川トーキョーサイド)

井の中のカレー大宮を知らず!

2009年10月06日 | 行った!お店カレー
東京に住んでいると、大宮=埼玉だけど
京都にも大宮という地名があることを初めて知った。

大宮といって思い出すのは、スピッツのかくれた名曲
「大宮サンセット」。
いい曲なので、ちょっとだけ紹介します。


「大宮サンセット」

この街で俺以外/君のかわいさを知らない
今のところ俺以外/君のかわいさを知らないはず

大宮サンセット君はなぜ/悲しい目でほほえむ
大宮サンセット手をつないで/歩く土曜日


この曲の思い出といえば、数年前の11月に母校の大学の学園祭で
同期だった男の子とギターでデュエットしたこと。
「私、ハモリができない」ってことをその時にはじめて告白したところ
「それは多分、中学校の音楽の授業を真面目に受けていなかったからだねー」といわれて
そんなもんかなあ、と思った。

リードヴォーカルは、普通に歌えるんだけど
ハモリとなると、歌える気がまったくしない。
協調性がないのかなあ、と今さらながら思うようになってきた

                            


さて、京都の大宮。

前回にひきつづき京都旅行で訪れた南インド料理のお店は、大宮にあった。
駅の名前も「大宮」。住所でいうと、中京区にある。
お店の名前は「ティラガ」。
ちなみに「ティラガ」とは、サンスクリット語でインドの人達が額につける赤い粉のことで
まぁるい輪の形をしていることから「完全無欠の良いシンボル」とされている。
店長、スブラマニヤンさんの母の名前でもあるそう。

トップの写真はちょっと暗いけど、実際やや暗めのたたずまい。
どこかの雑誌で紹介されていたのを目にしてずっと行きたいと思っていた。
東京の南インドをひととおり巡って、いざ出陣!

店員さんは、もちろんインド人。内装もエキゾチック風。
日本語の上手なフロア係と調理係と2名で、キッチンから大声で話す声が聞こえてきて
まさにインドの食堂にいるような気分。
メニューはドーサやミールス、ワダなどの南インド料理がひととおりと
ナンやタンドリーチキンあどの北インド料理もひととおり。

もちろん、せっかくなので南インドの定食「ミールス」を注文。
一番シンプルなAセット(1500円)にした。

はじめに出てきたのは、意外にもトマトスープ。
ラッサムかな?と思いきや、辛くもないし、酸っぱくもない。
本当にトマトスープ。


辛そうに見えてクリーミー。
いやん。モテるタイプやわ。


ナンがミールスで選べるのは南インド派としてはギモン。
でも、気になって1人はナンにしてみたところ、なかなかだった。


ミールスAセット 本体(1500円)

真ん中にライス、パパド。
上から時計回りに
 アルゴビ…じゃがいもとカリフラワーがゴロゴロの炒め物
 クトゥ…ほうれん草と豆の炒め煮のようなもの。和風っぽい。
 ポリヤル…ミックス野菜のカレー
 サンバル…ミールスに定番の豆と野菜のカレー。かなりいいレベル。
 野菜カレー…ふつうにおいしい
 カラコルム…初めて聞いた名前。味の濃いカレーだった。
 ラッサム…イールスに定番の酸っぱ辛いトマトスープ。おいしい。

そういえば、あるべきはずのヨーグルトとワダ、プーリは付いてなかったなあ。
けど、カレーが数多かったのが印象的。
夜のミールスで1500円はとてもお手軽だし、味も全体的にレベルは高かった。
東京にあったら、きっと人気になっているにちがいない。
大阪の都島というところにも支店があるらしい。

それにしても。

「大宮」で思ったけど、全国の駅の名前で同じところはけっこうあるらしくて
路線検索をすると「東京?京都?」とか、聞かれることがよくある。
登録商標みたいに、登録してあるのは使えないようにすればいいのにね。
みたいなことは鉄っちゃんの中で話題になったりするのかな。

(写真/京都「ティラガ」/ミールスAセット/1500円)