【BEST 1】
ルノワール『大水浴』
一目見て、鳥肌が立ちました。この『女性大水浴図』の裸婦の肌の美しさには。
綺麗な肌の人っていますが、それにしてもこの特に真ん中の女性の肌の美しさ! それを際立たせる官能的なポーズ、そして背景の川の青さや林の緑も絶妙な色加減です。両脇の二人の肌の色はあえてトーンダウンさせて、真ん中の女性の肌艶を特に際立たせています。
ホント鳥肌が立った後、見ていてどんどん今度はぼくの体温が上がってくる、HOTになってくるんですよ。ドキドキしてくる。絵画なのに。すごいなぁ・・
これほどの裸婦像は、遠く日本にはなかなか出張してこないですね※ 畳2枚ぐらいの大きな絵です。
この絵の展示室の右手側の突き当りに、これもぼくの好きなアンリ・ルソーの、『カーニバルの夜』があって、感激。同じく、畳2枚ぐらいの絵です。
そして面白かったのが、先ほどの気持ちの高ぶりが、このカーニバルの夜の絵でみるみる鎮まっていったんです。高揚感が、どんどん沈静化してスーッと落ち着いていきました。
ぼくの感じでは、この絵の季節は、日本でいうと10月の秋の夜長といった気候です。そしてこの渋い色彩と、良く晴れ渡る秋の夜空に輝く蒼い月。
味で言うと、先ほどのルノワールの絵は、激甘辛のチリソース味で、こちらのルソーの絵はクール・ミント味。
見たもので実際、体温もほんの少しですが上がったり下がったりした感じがする。
美術館側としては、ルノワールの大水浴を見てホットになった後は、ルソーのカーニバルの夜でクール・ダウンしてね、といった配慮で近くに展示しているわけでもないと思いますが、この気持ちの上下が面白い展示の仕方だったな。そして、見る人の体温を上げたり下げたりするような絵画って、そう易々と描けるもんじゃないんだろうな、と思います。
他にも、近現代美術の世界的傑作の展示作品のチョイスのセンスが本当に素晴らしいし、見せ方もさりげないですが、とても良いです。例えば、モディリアーニの「もの憂い」絵は、一作に一部屋使って、寂しそうに展示してあるし。
ってよく見ると、これってお手洗いの前ではないんでしょうか? この気負わなさや、全体的に展示面積的な間取りのゆとりは、アメリカの美術館ならではの広さだと思います。余裕あるな~。
前回のブログでも書いた通り、訪問したタイミングがラッキーなことに鑑賞者で混雑していない時で、お一人で来られていた地元の電動車椅子に乗ったお客さんも、展示室を縦横無尽に行き来して、美術鑑賞を堪能されていました。もともと広い展示室の上にバリアフリーの建物なので、どなたでも来られて思う存分に世界的芸術を楽しめるのは、これからの高齢化社会には嬉しい配慮ですね。
入場してチケットセンターの後ろは、よく見ればシャガールの大壁画! 贅沢ですよね・・。
そして数時間で見たい展示の的を絞って見るにしても丁度良い広さに、入館時にもらえる館内案内地図(各国語で揃っています)がとてもわかりやすく、迷わずに行きたいところにスッスッと行けるのも、ポイントが高い。
フィラデルフィアの訪問先でボク的に一番満足したのは、この美術館です。ぜひぜひ行ってみられることをお薦めします! はるばる日本から行った甲斐がありました!
ちなみに、シルベスター・スタローンの映画『ロッキー』はフィラデルフィアが舞台で、この美術館も出てきます。だから、美術館の公道に面したところに、ロッキーの像がありましたよ。