雪崩のように一気に押し寄せようとしているのは何だ?
かつて息絶え絶えの悶絶する地下牢の中で
夢はただ一つ、陽の光を浴びることだった
或る日、伍長殿は墓場から出てきて
持ち前の弁舌で民衆の心の中に胃酸を打ちこんだ
みるみるうちに街の中心は墓場で一杯になり
いつの間にか原形もなくドロドロになった躯(むくろ)が
20世紀の墓標となったのだった
悪夢である
寝汗が枕を濡らした
アルフォンス・カポネも民衆を引きつける粘着力があった
そして、ごっそりと民衆を地底の穴に落としこんで行ったのだ
奇しくも時代の色が似てきた
墓標に「日本に一番早く上陸した水兵ここに眠る」と
書いてあったのを思い出します。
イギリスの作家で確かロバート・リンドというエッセイストが書いた
「姉であり、母であり、妻であった女ここに眠る」の墓碑銘の
エッセイがあったのを思い出します。
公園の丘から覗いたことはあります。
エキゾチックな雰囲気がありました。
「墓碑銘」には時間を超えた叙情性を感じますね。