初心者のクラシック

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幻想序曲「ロメオとジュリエット」

2006年06月19日 | チャイコフスキー
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はチャイコフスキー:幻想序曲「ロメオとジュリエット」です。

ロメオとジュリエットは作家シェイクスピアの作品としてここで紹介するまでも無く有名なんですが、クラシックでもこの作品を題材にしてたくさんの作曲家が曲を書いています。今日はその中でチャイコフスキーを紹介します。曲の長さからするとおそらくこの作品が一番短いので、演奏時間としては聴きやすい曲になっていると思います。

しかしながら、曲調はかなり暗いもので「まさに悲劇!」と言わんばかりに悲劇的な音楽になっています。もともとの物語の内容からしても当然言えば当然なのかもしれませんが、やっぱり暗いんですね。ただ、崩れ行く滅びの美学として聴いてみると、ハマって聴けるんじゃないでしょうか?
いつもなら、物語の簡単なあらすじを紹介しているんですが、今回のこの作品については今更紹介するまでもないですよね。


 暗い影を落としていくようなクラリネットの序奏(イントロ)から始まります。
 そして、それに更に追い討ちをかけるかのように、低音の弦楽器(コントラバスや
 チェロ)がどんよりしたフレーズを演奏します。楽器がヴァイオリンになると、
 その雰囲気はさらに悲劇的に聴こえてきます。
 その後もしばらく同じような暗い雰囲気をひきずりながら曲は続きます。途中に
 入るハープの音色も何故か悲しく聴こえます。
 曲調が変わるのは、チェロの悲鳴にも似たフレーズが入るところからでしょうか、
 その後はホルンも悲しい雄たけびをあげて、悲しさは更に倍増します。そして、
 悲劇は急に訪れます。更にスピードアップして曲は悲劇の色合いを更に強めていき
 ます。ロメオが決闘でもしている様子なんでしょうか?激しいフレーズは鳴り響く
 シンバルの効果もあって、奈落の底にでも落ちていくかのようです。
 そんな悲しい曲の中、一瞬おだやかなメロディが流れてきます。まるでそれまでの
 悲しみを癒すかのような優しいフレーズなんですが、それまでがそれまでなだけに
 優しいメロディも、やはりもの悲しく聴こえてきます。そのメロディが美しければ
 美しいほど余計に悲しく聴こえてきます。
 ひとときのやすらぎの時間が終ると、再び曲は序盤に聴いた悲劇のフレーズへと戻り
 ます。序盤にもましてクライマックスへと向かう悲しみの曲は、トランペットと
 シンバルの激しい悲鳴にも似た響きは、もはや誰も止める事はできないと思わせる
 ほど、激しさを増していきます。
 エンディングでは、ロメオとジュリエットの悲劇のシーンを思い出してしまうほど
 許されぬ恋に落ちた二人の運命をかなり切実に歌い上げています。迫り来る運命に
 逆らう事の出来ぬ想いは最後のチューバやコントラバスの重低音に象徴されている
 ように聴こえます。とどめのドラを合図に悲劇は幕を閉じ、悲しい物語は最後には
 フルートやヴァイオリンの静かな演奏によってラストを飾り、ティンパニの運命の
 響きとも言える印象的なドラムロールで曲を終わります。


わざわざ余暇を過ごすのに、こんな暗い曲を聴かなくても(勧めなくても)いいじゃん。と思うかもしれませんが、クラシックはこういう暗い曲も多いんですね。でも、映画でも悲劇の人気作品もありますし、J-POPでもバラードとか悲しい曲がここちよく聴こえる事ってあると思いますから、クラシックでこういう暗い曲を聴くときも同じイメージで聴いてもらうと感覚は分かって頂けると思います。ただ、こういう曲はハマると結構魅力的に聴こえてくるんですよね。ここまで激しく暗い表現って音楽ではクラシックが一番向いていると思いますよ。


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フィラデルフィア管弦楽団, チャイコフスキー, オーマンディ(ユージン)
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【コレってどんな曲】
喜:★★★★★
怒:☆☆☆☆★
哀:☆☆☆☆☆
楽:☆☆★★★

≪おすすめシチュエーション≫
悲劇のヒロインの気持ちが味わえる一曲ですね。

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1.幻想序曲「ロメオとジュリエット」は今回の曲ですね
2.弦楽セレナード(ワルツ)の記事はこちら
3.スラヴ行進曲の記事はこちら
4.イタリア奇想曲の記事はこちら
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