チョイさんの沖縄日記

辺野古や高江の問題等に関する日々の備忘録
 

<検証>コンクリートブロック投下は違法行為、その4点の理由---知事はただちに岩礁破砕許可の取消しを!

2016年01月30日 | 沖縄日記・辺野古

 防衛局は昨年11月22日未明にコンクリートブロックを積んだクレーン台船を大浦湾に進入させた。これらは汚濁防止膜を固定するためのアンカーであるが、岩礁破砕許可の範囲を逸脱したものだという指摘により、その後、2ケ月以上も海に投下できない状態が続いている。しかし、宜野湾市長選も終り、防衛局はまもなくこのコンクリートブロックを投下するのではないかと言われている。

 この問題について質問を受けることが多いので、コンクリートブロック投下は法的にも絶対に認められないということを再度説明しよう。

(コンクリートブロックを積んだクレーン台船。もう2ケ月以上も大浦湾に碇泊したままだ。中央部右側にコンクリートブロックが見える。その左側は固定式汚濁防止膜設置のためのH型鋼であろう。)

1.岩礁破砕許可の範囲外で県漁業調整規則違反

 防衛局の埋立承認願書では「本埋立工事を施工するに当り、埋立工事期間中の海水の濁り拡散防止を目的として汚濁防止膜を展開する」とされている。汚濁防止膜には浮沈式汚濁防止膜(下図の赤線)と固定式汚濁防止膜(下図の青線)の2種類があり、大浦湾一帯に約3000mに渡って設置される。

                  (「中仕切岸壁新設工事の」特記仕様書より)

(防衛局が提出した固定式汚濁防止膜の構造図には、海底に「根固め用袋材」を設置するとは記載されていない。)

 防衛局が最初に汚濁防止膜を設置するのは、護岸工事はまだまだ始まらないから、上の図の海上作業ヤードの左側であろう。そこでは浮沈式汚濁防止膜(上図の赤線)と固定式汚濁防止膜(上図の青線)の設置が予定されている。

 浮沈式汚濁防止膜の固定のためにはまず海底に大きなコンクリートブロックを投下する。公文書公開請求で入手した埋立本体工事の設計図書では、浮沈式汚濁防止膜設置のためには57トンのブロック108ケを始め、44トン、14トン等をあわせて総数236ケものブロックが投下される。ところが、一昨年8月の岩礁破砕許可は15トンまでのものしか出されていない。15トンを超えるブロックを投下することは許可の範囲外であり、漁業調整規則違反である。

 ところが、この問題が大きくなってくると防衛局は「全てのブロックを15トン以下に変更する」と言い始めた。ブロックの大きさは計算に基づいて算出されているはずだが、それを突然変更するというのだからデタラメにも程がある。当初の計算で57トンが必要とされていたのだから、それを15トンに変更するというのなら、設置個数を4倍にするというのか?

2.固定式汚濁防止膜設置のための「根固め用袋材」(栗石を入れた網袋)投下も岩礁破砕許可が必要

  固定式汚濁防止膜は、浮沈式汚濁防止膜とは異なり、まず海底に「根固め用袋材」(412ケ、1トン/個)を並べて不陸整正し、そこにH型鋼を置いて固定することとなっている。しかし、一昨年8月の岩礁破砕許可申請には「根固め用袋材」設置については全く記載されていない(上図構造図)。412トンもの「根固め用袋材」の設置はサンゴ礁等に大きく影響を与えるものであり、改めて岩礁破砕許可の手続きが必要である。

3. 翁長知事の作業中止指示

 このコンクリートブロックの問題については、県民会議等が県への要請を行なった結果、県も防衛局に文書照会を続けている。そして、翁長知事は防衛局長に対して、昨年12月18日、「当該照会内容の確認ができるまで、先に搬入された汚濁防止膜用コンクリートブロックを海域に投入しないよう」と指示をしている。防衛局はまだ県の照会文書に対して回答をしておらず、知事の指示を無視してブロックを投下することは絶対に許されない。

4.環境監視等委員会での審議もないままブロックを投下することはできない

 以前、仲井真前知事が埋立を承認した際、留意事項で環境監視等委員会を設置するようにとの条件がつけられた。防衛局は昨年2月、工事の施工区域周辺に49ケのコンクリートブロック(2トン~45トン)を投下し、それがサンゴ礁を破壊して大きな問題となった。昨年4月9日の第4回環境監視等委員会でその問題について協議され、「コンクリートブロック投下について具体的な事前説明がなかった。」と批判されている(議事概要P10)。そのため防衛局は、「汚濁防止膜の設置も含め、事業の実施に当たっては、環境監視等委員会の委員の指導・助言を含まえ進めていく考えである」と県にも約束した(2015.7.13県への回答文書)。今後のコンクリートブロック投下については、事前に委員会で説明しなければならないのである。

 しかし、その後の環境監視等委員会は、委員への寄付金等の問題の対応に追われ、まだ今後のコンクリートブロック投下について審議されていない。今回、防衛局がコンクリートブロックを投下すれば、環境監視等委員会の指示に底触することとなる。

 なお、第4回の環境監視等委員会では、「今後、アンカーを設置する際には、下で潜水士が見ていて、サンゴがない所に落とすことができなかったのか」とも指摘されている。前述の中仕切岸壁新設工事の特記仕様書には「潜水士」が計上されており、投下にあたっては潜水士を入れることとなっている。

 

 以上、説明してきたように、クレーン船のコンクリートブロックや「根固め用袋材」を大浦湾に投下することは絶対に許されない。しかし、防衛局は違法を承知で投下を強行する恐れがある。それを止めるためにも、知事はただちに、一昨年8月の埋立本体部分の岩礁破砕許可を早急に取り消さねばならないのだ。

 

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