紋やのつぶやき

職人?たる上絵師のグチリ・知られざる失敗談・紋のウンチクを気の赴くまま語ろうと思いますが、どうなりますやら?

「珍しき紋」(9)-家紋額

2006年10月02日 18時05分21秒 | 珍しい紋
昨日の「功名が辻」には目新しい紋は無かったからお休み。見落としもあるかも(汗)

家紋額の注文がありましたが、見本付きの「五瓜に古木梅」の紋。
「五瓜」はいいんですが、「古木梅」は色々形が違う紋が多いです。
紋帖には一種類掲載されているだけで、紋帖通りの紋を付けることは余りありません。
        
  <平安紋監>の古木梅         <標準紋帖>の古木梅
良く見ると、一方を90度回転させただけで、同じ紋です。
こうして紹介してアップして、初めて知りました(汗)
紋帖もいい加減な所があって気をつけなければなりません。
「古木梅」(こちら参照ー梅)紋は紋帖通りの紋は殆ど無く、見本付きできます。

「五瓜に古木梅」紋はほんのたまにある紋で、版下というか刷込んだ紋は二種類ありました。両方とも見本付きで来ました。上絵の紋です。
        
で、当の「五瓜に古木梅」の見本は、<鏡掛け>に付いてる紋と黒留袖に入っている紋と二つ来ましたが、同じ紋でも双方違っていました。
<鏡掛け>の紋は、上絵師が描いた紋でなく、大きな紋でしたが略して描いている様でした(デジカメに撮っておけばよかった)
<黒留袖>の紋の方がしっかりしていたので、その紋をベースに作りました。
    
金潜紙の色紙に、黒インクで刷込んだ紋です。

完成させて納めたのですが、注文者の呉服屋さんが先方のお客さんに納品したら、当家のお父さんが<チョット私のイメージと違う、花の形とか・・・>とおっしゃって、クレームがつきました。
こちらは上絵師の描いた留袖の紋を見本にして額を作りましたので、これ以上描きようがありませんし、落ち度も無いはずです。
間に入っている呉服屋さんも困ってしまって、結局<大じいさんの紋付の着物を捜す>という事で、納品延期です。

今は紋付の着物を買うと、その家の家紋を別紙に描いてくれるサービスをしている呉服屋さんもありますが、変った紋を家紋としている方は、しっかりとした{紋}を、額とか何かに保存されておく事をお勧めします。(お節介な事かもしれませんが・・・・・)

お口直しに、五瓜に蟹さんの紋です。