ギリシャ神話あれこれ:ケファロスとプロクリス

 
 パートナーの愛を疑ったり、試したり、云々という行為をよく聞く。例えば、妻の権限で夫の携帯電話を盗み見て、女性からの愛のメールを発見し、ちょっと! どういうこと! ……以下、修羅場にて省略。
 素朴な疑問なのだが、そういう行為をする自分にも、愛想尽かされる原因があるとは、これっぽっちも考えないんだろうか??

 ポキスの王子ケファロスとアッティカの王女プロクリスは、美男美女の新婚夫婦。が、結婚後まもなく、美しいケファロスに横恋慕した曙の女神エオスが、無理やり彼を東の国へと連れ去ってしまう。

 が、ケファロスは妻を愛していたので、エオスの誘惑をすげなくあしらう。面目丸潰れのエオス、腹癒せにこう吹き込む。
 あなたの美しい新妻も、あなたの留守をいいことに、どうせ浮気でもしているに違いない、なんなら試してみるがよい、と。
 こうしてエオスはケファロスの姿を、全然別の男に変えて、妻を誘惑させる。

 猜疑心を煽り立てられたケファロスは、別人の姿で妻プロクリスを訪問。あの手この手で屋敷に上がり、言葉を尽くしてプロクリスを誘惑する。
 そしてとうとう、莫大な金銀宝石の贈り物が決め手となって、プロクリスと一夜を共寝する。

 こうして別の男の姿で誘惑しておいてから、ケファロスは激怒して(……どっちもどっちだと思うんだけど)、本来の姿に戻り、妻の不貞を責めまくる(別伝では、黄金の冠をちらつかせた男に、すでに寵絡されていたともいう)。
 彼女は恥ずかしいやら悔しいやらで、屋敷を走り出て、そのまま失踪してしまう。

 To be continued...

 画像は、ゲラン「アウロラとケファロス」。
  ピエール=ナルシス・ゲラン(Pierre-Narcisse Guerin, 1774-1833, French)

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