閑猫堂

hima-neko-dou ときどきのお知らせと猫の話など

案山子

2009-09-14 17:39:32 | 日々
峠を越えて、かかしを見に行く。

隣町に、ひときわリアルで凝ったかかしを作る人がいて、
道路沿いの田んぼを舞台に、毎年趣向をこらして見せてくれ、
地元では名物になりつつある。

かかしは5人組だ。
最初の頃は2人だったと思うが、いつからか数が増えた。
おそろいの白い半袖シャツを着ている。
背格好も雰囲気もよく似ているので、5人兄弟か、
もしかしたら5つ子かもしれない。

どこが凝っているかというと、全員ポーズが違う。
虫捕り網をかまえていたり、田の中でかがんで作業をしていたり、
あぜ道に腰をおろして休んでいたり。
かかしといっても、棒きれでできているのではなく、
等身大の人形で、関節も曲がるようになっているらしい。

麦藁帽子をかぶったり、タオルを首に巻いたりしている様子、
両手を腰にあてて稲穂を眺める姿勢も、
遠目には本物の人間そっくりだ。
しかも、それぞれの位置が、見るたびに違う
(…ような気がするのですが、気のせいかもしれません)

帰りにまた同じところを通ったら、かかしがひとりふえていた。
あれ? ひとりだけ青いシャツだ。
5人兄弟のお父さんかな。
と思ったら、それが、ゆっくり動いた。
本物のおじさんでありました。
ああ驚いた。

もうひとつ凝っているのは、稲刈りのすんだあと。
本来の役目を終えても、かかしたちは、すぐには引っ込まない。
昨年は、きれいになった田んぼの真ん中で相撲をとっていた。
ふたりが取っ組みあい、ひとりが行事をつとめ、
あとのふたりが手を叩いて観戦、という愉快な光景であった。
今年は何かなあ。
楽しみだなあ。

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