八重桜が散るころ。夏野菜の苗の植えどき。
苺の花。草苺の花。ブルーベリーの花。ぐみの花。
タンポポはみんな白い綿毛になった。
ちょっとでもさわると散っていってしまう。
これを散らさずそのまま保存する方法があると聞いた。
どうやるんだろう。
興味はあるけれど、調べたことがない。
わかっても、やってみないんじゃないかという気がする。
そういうことはたくさんある。
花壇に植えっぱなしで毎年ぽちぽちと咲くものたち。
イキシア、ヒメヒオウギ、オキザリス。
ところで一昨年の秋にたくさん植えたチューリップは
みんなどこへ行ったのか。
猪さんが掘って茶碗蒸の具にでもしてしまったのかしら。
長く長く咲きつづけているシャガ。
これから咲き出そうとしているシラン。
紫蘭の名は、ごく幼いころにおぼえた。
植えられていた濃い藍色の鉢ごと記憶している。
「この花は何かと聞かれた人が、知らなかったので知らんと答えた」
教えたのはたぶん父だったと思う。
ふだん駄洒落を言う人ではなかったので、非常に印象的だったらしい。
川沿いの斜面に、クマガイソウ、エビネ、競い合うように。
クマガイソウは毎年見るたび不思議な植物だと思う。
ぷっくりふくらんだ巾着状の大きな花を、
平家物語の熊谷次郎直実の背の母衣(ほろ)に見立てた命名。
近縁種のアツモリソウと対になっている。
よく名づけたものだ。
「熊がいそう」なところに咲くからではないんだそうだ。