閑猫堂

hima-neko-dou ときどきのお知らせと猫の話など

深夜貨物の謎

2014-11-12 16:53:35 | 


夜11時すぎ。
家のすぐ下の道路を大型貨物車両が通っていく。

田舎の山中の県道だから幅が狭い。
歩道というのはほとんどなく、路肩はすぐ田畑や崖。
むこうから大型バスやダンプがやってくると、すれ違いできるのか
不安になるような場所もいくつかある。
そんな道を、深夜に大きなものが通る。 

この夏ごろから、ときどき気になっていた。
家の窓からは見えない。音だけが聞こえる。
重量感のある音だが、ふつうのダンプの音とは様子が違う。
ああいう単純な体育会系(?)の音ではなくて、
「きゅうい~ん」とか「ぽー」とか「こーんこーん」とか、
妙にSF的な音が混じっている。
宇宙船が地上走行実験をしているような感じ。
スピードは異常にゆっくりだ。徐行に近い。
あるいは停まって何かしている・・ような気もする。
人の声がする・・ような気もする。
なんだろう、あれ。

見に行きたいけれど、家から道路が見えるところまで50メートルほど、
その間は真っ暗なので、ライトを持たないと歩けない。
道側から見るとあまり人家がありそうに思えないところだから、
暗闇から急に人が出てくるとむこうがビックリするかもしれない。
それに、ほんとに宇宙船だったら怖いので・・
いや、宇宙船じゃないにしても、何かの秘密兵器を運んでいて、
見てしまったら記憶を消されるのかもよ・・(「メン・イン・ブラック」か?)
などなど、勝手に想像して遊んでいたところ、ひょんなことから謎が解けた。

 


 
これはその道を歩いて10分あまり下ったところ。
路肩にはみ出して、くっきりと太いタイヤの痕がついている。

 

反対側から見たところ。ガードレールぎりっぎりで通過しています。
ここは、このあたりの道としては、たいして急カーブとはいえないし、
特に道幅が狭いわけでもない。(もっと狭いところがざらにある)
ここが曲がりきれずにはみ出すって、どれだけ大きい車なのか。

 

 

 

そしてタイヤの溝の幅と深さがハンパでない。
なんなの、これ。

 


正体は、大型トレーラーでした。
そして、積み荷は、なんと、羽根!

風力発電の風車の羽根(ブレード)です。
フランスだかスペインだかのメーカーの製品で、
船で港まで来て、そこから山奥の工事現場まで、陸路で運ぶ。
交通量の少ない深夜、羽根を1枚ずつ、特殊なトレーラーに載せて、
護衛(?)のトラックや誘導の人が前後について、
慎重にゆっくりゆっくり運ぶんだそうです。
羽根1枚といっても、 大型のものなら長さ30~40メートル、
重さ5~8トンにもなるそうで、そりゃあ、深くめりこむわけですね。

風力発電は「自然環境に優しい」 と思われがちですが、
羽根1枚でもこれだけ重いものを(1基に羽根は3枚)
山のてっぺんに建てるには、まず木を伐採したり、
岩を削ったりして、大型重機が登れるような道を作り、
何千トンというコンクリートをつぎ込んで土台を作らねばならない。
にもかかわらず、本体の素材は強化プラスティックだから、
耐用年数はせいぜいもって20年くらいなんだそうで、
1年か2年でぽっきり折れて放置されてる風車もあるみたいです。
ここまで手間ひま労力をかけて、誰か儲かるのかなあ。
わたしにはよくわかりません。

それにしても・・坂とカーブだらけの狭い道を、よく通るなあ。
こんど「きゅうい~ん」が来たら、見に行ってみよう。

<追記>
で、見に行った話は→ 「ブレード」 

 

 

本日の「いいね!」


「モノのない暮らし」が、あなたを豊かにする

・・と、言うだけなら簡単で「いいね」。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする