思い出したエピソードをいくつか。こんなことがあるたびに傷ついていましたが、これも「コドモのすること」と笑って許せる、そして笑い話にしてしまえる、そんな日が来るといいなと思います。
お歳暮に大きな新巻の鮭を贈ったことがあった。(近所に住んでいる)叔父と半分ずつしてもらうつもりだったが「うちに来て切ってもらえば」と言うと「だめよ、ぜったいだめ!」と拒否。「そんなことしたら好きなように切って、大きい方を持っていくに決まっている」のだという。「そうでしょ、そう思わない?」「ぜったいそうするわよ」「そんなのいやよ、ぜったいいや」と言い張る。あとで見ると、鮭は母が自分で2枚におろしたらしく、切り口がぎざぎざの哀れな姿になっていた。
実家に帰ったときに、父と弟と4人で出かけた時のこと。父は手術のあとで歩くのがまだおぼつかなかったが、母は父を助けようともしないでひとりで車に乗り込み「何をぐずぐずしてるのよ」「さっさとしなさいよ」と父をののしる。そして自分は車くらいすぐに乗れる、シートベルトの締め方だって知っていると得意げだ。目的地に着いても、父には目もくれず行ってしまう。父をいたわる気などない。そんなことより何でもさっさとできる自分をほめてもらいたいらしい。このとき以来、父はいっしょに出かけるとは2度と言わなかった。
叔父とわたしは気が合うのだが、母よれば叔父は、この上もなく意地悪で冷たくて強欲で狡猾でケチらしい。たとえほんとうにそうだとしても、ひとが機嫌よくつき合っている人間のことをよくもまあそこまでこきおろすものだと思うが、反対意見は禁止。「ひとをぐさりと傷つけるようなことばかり言うのよ」「近くに住んでいないあなたにわかるわけがないわ」あげくは「あんたたち仲が良くていいわね」
その叔父の長男はいわゆるニートだ。母はその従弟がかわいそうでならないと言う。「父親がああだからあんなことになったのよ。子供は愛情をもって暖かく優しく接してやるものよ。そうしてやればけっして『へん』なことにはならないのに」これを聞いたときには椅子から転げ落ちそうになった。弟もわたしも、子供の頃、母に暖かく優しく接してもらった記憶はひとつもない。わたしたちが「へん」なことにならなかったのは、たんに意気地がなかっただけ。
父が亡くなったあと、叔父がごみ屋敷の整理を手伝ってくれた。ついでに家の中をチェックし、危険だからと階段に手すりと滑り止めをつけてくれたのだが「これって足がひっかかるのよねと『友だち』が言っていた」と、何度もくりかえしわたしに言う。実際にひっかかった経験はないようなのだが。台所の照明も、暗いと気持ちまで暗くなるだろうと明るくしてくれたのだが「明るすぎるから元通りにしたの」と、これまた何度も何度もわたしに言う。せめて黙っていてくれたらいいのに。
お歳暮に大きな新巻の鮭を贈ったことがあった。(近所に住んでいる)叔父と半分ずつしてもらうつもりだったが「うちに来て切ってもらえば」と言うと「だめよ、ぜったいだめ!」と拒否。「そんなことしたら好きなように切って、大きい方を持っていくに決まっている」のだという。「そうでしょ、そう思わない?」「ぜったいそうするわよ」「そんなのいやよ、ぜったいいや」と言い張る。あとで見ると、鮭は母が自分で2枚におろしたらしく、切り口がぎざぎざの哀れな姿になっていた。
実家に帰ったときに、父と弟と4人で出かけた時のこと。父は手術のあとで歩くのがまだおぼつかなかったが、母は父を助けようともしないでひとりで車に乗り込み「何をぐずぐずしてるのよ」「さっさとしなさいよ」と父をののしる。そして自分は車くらいすぐに乗れる、シートベルトの締め方だって知っていると得意げだ。目的地に着いても、父には目もくれず行ってしまう。父をいたわる気などない。そんなことより何でもさっさとできる自分をほめてもらいたいらしい。このとき以来、父はいっしょに出かけるとは2度と言わなかった。
叔父とわたしは気が合うのだが、母よれば叔父は、この上もなく意地悪で冷たくて強欲で狡猾でケチらしい。たとえほんとうにそうだとしても、ひとが機嫌よくつき合っている人間のことをよくもまあそこまでこきおろすものだと思うが、反対意見は禁止。「ひとをぐさりと傷つけるようなことばかり言うのよ」「近くに住んでいないあなたにわかるわけがないわ」あげくは「あんたたち仲が良くていいわね」
その叔父の長男はいわゆるニートだ。母はその従弟がかわいそうでならないと言う。「父親がああだからあんなことになったのよ。子供は愛情をもって暖かく優しく接してやるものよ。そうしてやればけっして『へん』なことにはならないのに」これを聞いたときには椅子から転げ落ちそうになった。弟もわたしも、子供の頃、母に暖かく優しく接してもらった記憶はひとつもない。わたしたちが「へん」なことにならなかったのは、たんに意気地がなかっただけ。
父が亡くなったあと、叔父がごみ屋敷の整理を手伝ってくれた。ついでに家の中をチェックし、危険だからと階段に手すりと滑り止めをつけてくれたのだが「これって足がひっかかるのよねと『友だち』が言っていた」と、何度もくりかえしわたしに言う。実際にひっかかった経験はないようなのだが。台所の照明も、暗いと気持ちまで暗くなるだろうと明るくしてくれたのだが「明るすぎるから元通りにしたの」と、これまた何度も何度もわたしに言う。せめて黙っていてくれたらいいのに。