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ノスカピン鎮咳剤の再発見

2005-06-13 | 癌全般
Cox-2阻害剤やスタチンなど現在医薬品として使用薬に抗癌作用が発見され研究されていますが、ノスカピンも有効な癌治療薬になりうる可能性があるようです。著者の承諾を得て一部紹介します。


古くから日本をはじめ、多くの国で使用されている鎮咳剤ノスカピンに近年抗癌作用が発見されている。ノスカピンは、非依存性のアヘン誘導体(ケシから作られる)である。モルヒネと併用することで相乗効果を示し、しかもアヘンアルカロイドの主な副作用である便秘を引き起こさないとされた。
1958年に米国NCIによってその細胞傷害性特質が実験により判明したが、ノスカピンはすでにパテント取得が不能であったためにその後の研究には至らなかったもよう。唯一の試験が1961年John's Hopkins大学で行われた。
再度癌治療薬としての再発見に至ったのは1997年、米国のEmory Univ. School of Medicineによってであった。微小管の集積を妨げ細胞分裂を止める、その主要な抗微小管物質がノスカピンであった。当初の動物実験(1998年)では、ほとんど副作用なしにヒト乳癌の腫瘍量を3週間で80%縮小させた。2000年の追加論文では多くの臓器に対するノスカピンの毒性はほぼ皆無であったとしている。ノスカピンは、心臓や脳卒中を防ぎ、また多くの癌の増殖因子であるとされるブラジキニン拮抗薬であり、その効果はシスプラチンをはるかに凌ぐと示唆している。Emory大、ミネソタ大、インドのデリ大、などで、さまざまな癌における研究がなされた。
2002年にEmory大は癌治療への適用としてのパテントを取得したが、使用法のみのパテントに企業からの臨床試験の資金提供はかなわなかった。しかしながら、Emory大研究者らはノスカピンの構造に人工的化学変化を加え、新たな類似薬品を作るのを成功させ、それによって2004年1月Emory大は正式にパテントを獲得、それらのライセンスをカリフォルニアのCougar Biotechnology社に委託した。現在South California大では、NHL、CLLの第1,2相試験が行われている。(Mosh Rogonsnitzky著ノスカピンより抜粋)

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