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よみがえりの結び Ajrakhの布

2017年04月27日 | イベント
夫の写真展に便乗しての旅から帰ってきました。

大阪のソニーギャラリーさんにて開催中の

「写覧会」竹紙にプリントした風景写真の展覧会。

夫のギャラリートークを見守ってから、大阪の街へ。

初めての街にキョロキョロしていたのに

小さな出会いのリレーによってシナリオがあったかのような

収穫多き旅となりました。

大阪の帰りに、琵琶湖、木曽を周ってきました。

29日の企画イベントにつながる気づきと出会いが盛りだくさん。

素晴らしい料理、初めての食材、素敵なおばあさまが営む伝統の店たち。

いい買い物もたくさん。



大阪二日目に「国立民族博物館」に行ってきました。

通称「みんぱく」。

すごい渋滞で入るまでに1時間半ほどかかってしまたので駆け足でまわりました。

世界の各エリアごとに「食」「家」「祈り」「衣」などについて

土着のものから他地域との交わりによって生まれた文化など

非常に面白い展示ばかりでした。

このような資料館に興味のない方でも、かなり楽しいと思います。

(テレビで人気の「世界の〇〇!」みたいなおもしろさ。)


インドの「衣」コーナーでは、

当店でも取り扱いのある「Ajrakh アジュラック」に出会いました。

手彫りの木版に草木の染料をつけて手捺しする古代から続く布。

このコーナーではミラー刺繍などの工程が一針ずつ展示してあったり、

アジュラックの布をカッチ地方の男性が腰に巻くやり方でマネキンが着ていたり、

できたものとしては馴染みのある手法を

より鮮明に見せてくれる展示でした。


Ajrakh。本展示会でもご覧いただけます。

リゾナーレ店にお越しいただいていた方はすでにご存知の品かと思いますが

場所が変わるとまた違うように見えるもの。

そして見るひと自身の変化によっても新しいものとの出会いになるかもしれません。

私自身、初めて見た時は素敵だけど私には似合わないだろうなと感じたのに、

呼ばれるように着てみたら、あら。

「似合わないと思う」時も、「素敵だな」と感じたら合わせてみると

嬉しい発見があることがよくありますね。



あめつちの服「SANTULAN」の江口寿枝さんデザインのオリジナルTシャツ。

すでに縫製されたものに捺していくのは大変な作業だそうです。

機械プリントにはない、版のズレや色の濃淡が魅力です。

長袖と半袖。価格は11000円から。


















寿枝さんがインドから持って帰ってきてくれたショールもお持ちします。

華やかな柄ですが、自然の色味のおかげか、どんな服にもよく合います。

くるっと首に巻いたり、ショールとして羽織ったり、

頭に巻いてターバンに、腰にウエストマークするなど幅広くお使いいただけます。



Ajrakhについて、寿枝さんの言葉を何度かご紹介させていただいていますが、

ここにもう一度まとめてみました。

服のデザインだけでなく、文章もとても素敵なのでそのまま使わせていただきております。

手仕事の手間暇の重なりのように、紡がれる言葉のひとつひとつをどうぞじっくりとお読みください。


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イスラム教徒の布「アジュラック」。
草木で染めあげるその技法は、
500年以上前から父から息子へと受け継がれてきました。
草木や花・鉄を染料に木版で捺される文様には、
魔除けや幸運のシンボルが込められていますが、
各カトリ(染織りの集団職名)によってデザインが異なるため、
様々な文様が存在しています。

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世界最古の青染料「藍」を基調色とした、草花染の幾何学文様布「AJRAKH」。「暮らしの布」として、現パキスタン・シンドゥー地方を源流に西へ南へと、長い歳月を重ねながら大陸を渡りました。現在では、イスラム教徒の染色集団「カトリ」がその技法を守っています。
版木を使い「捺染」「防染」を重ね「染色」、そして繰り返される「水洗い」「天日干し」と、熟練の技と忍耐強さから優美な1枚の布が完成します。
インドの布「AJRAKH」は、木版を用いた「捺染」の中でも最古の「天然布」とされていますが、この布についての歴史的記述が残されていないため、未だ謎のベールに包まれたままです。しかし、捺染師の家系では、インダス川流域に繁栄した「インダス文明」(紀元前2600~1900年)を起源とする染文様であると代々、語り継がれてきました。 

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Ajrakhの物語
「永遠のアズール」

むかしむかし、
シンドゥー地方(現パキスタン)に高貴な王様がいました。
贅を尽くしていたその王様は、毎晩、新しい敷物の上で眠っていました。
ある日のこと、
召使いが王様の部屋へやって来るといつものように
新しいベッドシーツに代えようと布に触れたその時、
「Aaj Rakh」(=今日はそのまま!)
と、王様は大声を上げました。
シンメトリーな星のモチーフ、植物模様が
放射状に広がりをみせる複雑なパターンの繰り返し、
完璧に調和されたその美しい1枚のその布を愛してしまった王様は、
取り換えずに毎晩使いました。
やがてこの布は、王様から「Aaj Rakh」と呼ばれるようになり、
それは、
紺碧の夜空のように深い藍染めのブロックプリントでした。


この物語は、布職人の家系で語り継がれ「Ajrakh」は、シンドゥーとカッチ地方の偉大な布となったと言われています。
「Ajrakh」は、ムスリムの人々により世襲で受け継がれ、それは何世紀にもわたって変わらない染色行程で、
自然と環境に優しい草木染の布として繁栄し続けてきました。
職人は世界でも少ない地域に限定され、その歴史はおそらく私たちの想像する以上に古く、インダス文明期の発掘現場から
「Ajrakh」はインド亜大陸の中で、最も古いブロックプリントの手法の一つだろうと推測されています。
そうして、今日では村々の男性の装束やベットカバー、そして風呂敷包として、生活には欠かせない多目的な布として「Ajrakh」は身近な暮らしに寄り添い、今尚息づいています。

文:Santulan 江口寿枝


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