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『食べる』3

2016年09月26日 | たべること
店主です。

今日は、料理を作っている行程紹介です。


「命の海のスープ」

このテーマは10年近く、なんだかんだと続いています。

材料は具材と塩だけ。

命まるごと調和し合っている、海の世界のようなスープです。

頭の中にはすーっと前から風が吹いて、

日々の忙しさを洗い流して安らぎが生まれます。

味付けを変えれば、和風・洋風・中華風・エスニック。

はたまた、あなた風に。


では秋の初めにつくったワタシ風スープ。



ひよこ豆はさっと洗って一晩水に浸ける。
乾燥している状態の倍くらいに膨らみます。
野菜を切る間に、自然塩をひとつまみ入れて茹でる。
蓋をして、少し圧がかかるようにすると、アクが出ず、うまみが凝縮する。




野菜は火の通りやすさを考えて大きさを変えながら切る。
農薬の心配が無い場合は、煮えて柔らかくなる皮は剝かない(大根、人参など)。
剝いた皮、根、種などはよいだしになるので、痛んだところは取り除き、別にまとめていく。






今回使った野菜

トウモロコシ。芯はだしに。実は後入れ。
かぼちゃ。皮は剥かない。種はだしに。崩れやすいので後入れの為に分けておく。
タマネギ。根と皮はだしに。
ビーツ。葉の付け根と固くなっている皮は剥いてだしに。
インゲン。両端の固い部分は痛みが無ければだしに。
にんじん。先端と葉の付け根、葉があればそれもだしに。




このように分かれました。
かぼちゃとトウモロコシは後入れします。
しっかりと蓋の出来る鍋(できれば厚手のもの)に、さっと洗ったレンズ豆と
先発隊の野菜をいれます。




ひよこ豆を茹で汁ごと入れて、この水分で蒸し煮します。




海の塩を少し入れてうまみを引き出してくれるようにおまじない。




野の草に埋もれたタイムを摘みました。
大きく育ちませんが、香りは濃厚。




タイムとローリエをプラス。
トウモロコシの芯は、だしの方に入れても、こちらに入れてもOK。




こちらはだしの鍋。
水だけでもいいし、昆布や干し椎茸でとっただしを使ってもよい。


具に概ね火が通ったら、南瓜とトウモロコシ、そしてパスタを加えます。
だし汁はざるで濾して、スープ鍋に加えます。








今回はメッツエマニケと呼ばれるショートパスタを使いました。
リガトーニに似ていますが、”半袖”という意味なだけに、ちょっと短い。
スプーンですくいやすい形のものや、他の具材や味付けに合いそうなものを。
灯鳥ではいろんなショートパスタを扱っていますが、
全粒粉のものや、古代小麦、そして玄米で出来たパスタもおすすめです。

素材にこだわり抜いたおいしいパスタですから、茹で溢したりはしません。
パスタ自体がおいしいだしを加えてくれます。
ガラガラっとそのまま加えます。
もし、水分が少なかったら増やしてください。

煮えたら大事に混ぜ返して、好みの自然塩で味付けの仕上げ。
我が家ではフランスの天日海塩ゲランドの塩を使っています。

ハイ出来上がり。




スープを作るときに野菜を炒めてから煮る方法もありますが、
このやり方をするようになってからは、こっちばっかりになりました。
好みでオリーブオイルなどの、良質なオイルをかけてもよいです。





パスタと豆類は、ラ・テラ・エ・イル・チェロというブランドのもの。
かつて勤めていた食材店で扱っていて、それ以来長年愛用しています。
マルケ州の有機農業の組合であり、日本語にすると「大地と空」という意味。
栽培はもちろん無農薬、そして小麦の製粉も石臼でゆっくり低温で行い、
湧き水を使って仕込むなど、19世紀からずっと引き継がれた作りを守っているそうです。
豆は小粒でとてもおいしい。パスタは冷めても美味しいのでお弁当やつまみにもいいですよ。

そして、ラテラの缶詰ホールトマトがとても美味しいのです。
クエン酸不使用で、フルーティーな甘さ。
最近は大きなメーカーさんでもオーガニックトマト缶が出ていて安価ですが、
やっぱりちょっと違うかなーと。
ただいま品薄になっていますが、10月にはまた入荷の予定です。




あまりにも具沢山スープが好きすぎて、
陶房窯八さんに別注して作っていただいた器。
内側には釉薬をかけてあるのでスプーンの滑りがよく、
外側はそのままで土を手のひらに感じられます。
両脇のちいさな取っ手に親指をかけ、下の高台に他の指を添わせると、
熱さを感じずに器を手に持つことができます。
スープ以外にも、我が家ではあらゆる汁物、小どんぶり、雑炊など、、
ほとんど毎日登場している、超ヒットな器となっています。





パスタが入ったスープ、翌日に持ち越して食べたのですが、

ちょっとパスタが崩れてしまいましたが、これもおいしい。

山梨の人なら思い出す、次の朝のほうとう。

八戸の人なら思い出す、次の日のせんべい汁。

ピーマンマリネの話はまた次に、

そして、食への気づきの変遷ばなしも。



夏の疲れがでたり、秋の冷えに身体がついて行かなかったりする季節。

ぜひ、あなた風スープを自由な発想でお愉しみください。

そろそろ、サツマイモ、里芋、きのこ、ごぼうもいいですねー。



l'isle


写真:津島隆雄